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異世界召喚

始めての掲載になります。ドキドキ…。

色々と不手際・お見苦しい点もあるかと思いますが、生暖かく見て頂けると有難いです。

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2023/02/25 話し方や表現等の見直しをしました。


「くあぁぁぁ、まだ眠いなぁ…」


 ベッドの中で伸びをしながら、僕こと高杉 透(たかすぎ とおる)は呟いた。

 昨日は夜中までゲームをしてたから寝不足なんだよね。


 どんなゲームかと言うと、RPGゲームで勇者が魔王を倒すっていうよくあるやつだった。

 昨夜はクリア直前の魔王を倒す所で…キリが悪くてついついやり過ぎちゃったんだよね…。でも、その甲斐もあって邪悪な魔王を倒しきる事はできたので、気分的にはスッキリだ!


「うーん…。だるいから学校休みたい所だけど…無暗に休むと双葉が煩いからなぁ…」


 立花 双葉(たちばな ふたば)は幼稚園の頃から通っている合気道道場の娘さんで、いわゆる幼馴染って奴です。

 彼女を一言で表すなら…『乱暴者』だと思う…。決して本人の前では言えないけどね……。


「しょうがない!頑張って登校しますかっ!」


 そうして僕は、そそくさと登校の準備を始めた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 ガラガラガラ…


「おはよー…」

「おぅ!親友おはよー!おいおい、朝から元気ないなぁ」


 教室に着いて挨拶をすると、佐藤 和也(さとう かずや)が元気に挨拶を返してきた。本人曰く親友らしい。


「貸したゲームの調子はどう?」

「昨夜やっとクリアできたよ。ベタな展開だったけど、まあまあ面白かったかな」

「厳しい評価だなぁ。でも、良い言い方をすれば王道って事っしょ?」

「まーね。魔王を倒すっていうストーリーは受け入れやすいんだろうね。『人類の敵』で退治されて当然だって皆が認識してるから、納得感あるもんね」


 そんな僕の話を聞いた和也が何やら考え始めた。そして、少ししてからこう答える。


「それって…もしも良い魔王がいたとしても一方的な偏見で殺されるって事だよな?なのに、みんな違和感も何も感じない…そう考えるとちょっと怖くね?」

「まぁ魔王なんだから仕方が無いんじゃない…」


 そんな適当な返事をしていると、双葉が話しかけてきた。


「おはよう!ねぇ目の下の隈が酷いよ?また夜遅くまでゲームしてたんでしょう?」

「う…おはよう。悔しいが正解だよ…」

「もうっ!パパからも不測の事態に備え「あ!白鳥さんもおはよう!」


 お小言が始まりそうだったので、僕は双葉の横に立つ女性に話しかけて話を逸らした。唐突に振られて白鳥さんはビクッとする。


「あ、あの、透くん!おはようございましゅ!」


 彼女は双葉の親友で、クラスのアイドル的存在の白鳥 麗奈(しらとり れな)さん。なんでガサツな双葉と一緒にいるのかは、僕の中では学園七不思議の1つになっている。


「もう麗奈ったら何思いっきり噛んでるのよ。ほらほら落ち着いて!」

「うぅ…恥ずかしぃよぉ…」


 うんうん。癒されるなぁ。

 しかし、そんな朝の癒しタイムに嫌な気配が近づいてくる。


「透、朝から何を白鳥さんに迷惑かけてるんだ?」


 こいつは城之内 隼人(じょうのうち はやと)。何故だかわからないけど、やたらと僕に絡んでくるんだよな…。


「はぁ…隼人、唐突に何だよ。挨拶してただけで何も困らせる事なんてしてないよ」

「君はもう少し()という物をわきまえた方が良い。話しかけるだけでも迷惑なんだろう」

「城之内くん…私は別に迷惑だなんて思ってないよ」

「ははは。白鳥さんは優しいですね」


 こいつはホントにムカつく奴だ…。

 そんな微妙な空気に教室が包まれる中、更にクラス委員の佐々木 圭介(ささき けいすけ)が話しかけてくる。


「そこの君達煩いぞ。もうホームルームの始まる時間だ。そろそろ席に着きたまえ」


 くぅ、こいつも中々…。でも言ってる事は正しいので、各々席に戻って行った。ちなみに隼人は不満気な表情をしている。


 ガラガラッ!


 そして、タイミング良く担任の海老原 梓(えびはら あずさ)先生が入って来た。


「皆さんおはようございます!今日も元気に勉強頑張りましょうねっ!」

「おはようございまーす!」

「あずちゃん先生おはよー!」


 満面の笑みで挨拶をする先生。いつも過剰に元気なんだよなぁ。

 だが、そんな先生の願いが叶う事は無かった…。


 唐突に教室の床が輝き出す。

 六芒星と謎の文字…アニメとかで見る魔法陣ってやつみたいだ。


「えっ…」

「なにこれ…」


 呆然とする生徒の中、海老原先生が叫ぶっ!


「みんな!今すぐ教室から出…」


 しかし、海老原先生の声が全て聞こえる前に光に包まれてしまい、辺りは完全に見えなくなる。そして静寂が訪れた…。

 立っているのか、浮いているのか、どっちが上かもわからない…。叫んでみても、自分の声さえ聞こえない…。


(なんだ……何が起きているんだ……みんな大丈夫なのか?)


 そして、意識が段々と薄れて行き、いつの間にやら深い眠りへと落ちていた……。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「うっ…。こ、ここは…?」


 目が覚めた時、僕達は薄暗い部屋に横たわっていた。部屋の様子を見てみると、床には例の魔法陣が描かれている。

 そして周りは…中世ヨーロッパ風の甲冑を着た人や魔法使いみたいな恰好をした人に囲まれていた…。


「えっ…何なの……」

「怖い……」


 異様な雰囲気に怯えるクラスメイトたち。

 ひとまず僕は双葉と白鳥さんの手を引いて、2人を守る様に僕の後ろに導いた。僕の意図を理解して、2人を隠す様な位置に移動してくれる和也。さすがは親友だ。


「あ、あなた達は何なんですか!?これは誘拐や拉致監禁に相当しますよ!?せ、説明を求めますぅ!!」


 おぉ、海老原先生…凄い勇気だ。頼りになる。すると、先生の発言に応じる様に、囲んでいる集団の後ろから1人の女性が出て来た。


「唐突な事で驚かれた事でしょう。申し訳ございません」


 騎士を侍らせて、とても上品な仕草で謝罪してくる。


「わたくしはアクル王国の第一王女、イザベラと申します。まずお伝えしたい事は、我々には皆様に対して危害を加える意思はありません」


 アクル王国?聞いた事が無いな…。


「し…信じられません!私たちを教室に帰して下さいっ!」

「そうですよね。一方的に信じて欲しいと言われても、難しいのは当然だと思います」


 そして自称王女様は、綺麗な顔の眉間に皺を寄せて、申し訳なさそうに絶望的な事を言い出した。


「残念ながら……皆様をすぐにお返しする事は出来ないのです…」

「なっ…何故ですかっ!?」

「その辺りの事情も説明させて頂きたいのですが、長い話になります。……場所を変えませんか?」


 ここは窓も無いし狭くて圧迫感が有る。しかも石造りで冷たい。落ち着ける部屋に行けるならその方が良さそうだ。


「わかりました…。ただ、生徒達に危害を加えないと約束して下さい!その上で全員で移動するという事なら、移動したいと思います!」

「はい、もちろんです。先ほどもお伝えした通り、危害を加えるつもりは毛頭ございません。ご安心ください」


 海老原先生は決意を込めた眼差しで頷くと、振り返って生徒全員に話し始めた。


「みんなの事は先生が絶対に守ります!とても不安だと思いますが…バラバラになるのは1番ダメだと思います。だから…先生に着いて来てくれませんか!?」

「海老原先生、俺も先生と同意見です。ただ、全てを1人で背負い込む事は無いと思います。俺たちにも協力させて下さい」

「そうだよ!城之内君の言う通り!みんなで協力して乗り超えよう?」


 そして生徒達から次々と肯定的な声が上がる。


「怖いけど…あずちゃん先生を信じるっ!」

「先生!俺の事も頼って下さい!」

「みんな…ありがとう…!先生は…世界一幸せ者な先生ですっ!」


 感動した海老原先生は涙ぐんでいた。


「それでは宜しいでしょうか?移動致しますので、こちらに着いて来て下さい」


 そして、お姫様、騎士、僕達、騎士、魔法使い(?)のフォーメーションで、石造りの螺旋階段を登っていく。


 それから5分ほど進むと、僕達は広い廊下に出た。どうやら今までは地下室にいて、地上に出てきたみたいだ。廊下は絵画や陶器等で彩られ、天井は高い。たぶんお城の様な建物なんだと思う。

 ワンチャン、何処かのテレビ局のドッキリ企画とか期待したけど……それは無さそうだなぁ……。


 そのまま数分歩いていると、目的の場所に着いたみたいで部屋の中に促された。豪華な応接室で、大きなテーブルと人数分以上の椅子がある。


「どうぞ、お好きな席にお座りください」


 一番奥の椅子に座りながら、イザベラ王女が椅子を勧めてきた。イザベラ王女の正面に海老原先生が座り、他の皆は思い思いの席に座った。


「それでは、皆さんの質問に答えさせて頂こうと思います」

「ではまず……ここは何処なんですか?」

「此処は、アクル王国の王都ドルワにある王城です」


 聞いた途端、海老原先生がイザベラ姫に食って掛かる。


「な…何を言ってるんですか!私たちはさっきまで学校の教室にいました!日本を出るほどの時間は経っていないはずです!」

「ニホン…やはり……。我々は召喚魔法で皆さんを呼び出させて頂きました。魔法が成功していれば、ここは皆さんが過ごした世界とは別の世界という事になります」

「なっ…」


 海老原先生も生徒達も、驚愕と不安の表情になる…。


「如何でしょうか?アクル王国と聞いてお心当たりなどは?」

「いえ…ありません…。魔法?本当にそんなものが…?」

『おぉ…』


 周りを囲んでる人達からどよめきが起きる。


「どうやら魔法の無い世界からいらっしゃったご様子…。ニホンという国名…。伝承の通りですね」


 こっちの気も知らないで、お姫様は胸を撫で下ろした。


「何で私達を召喚なんてしたんですか?どうしたら返してくれるんですか?」

「この世界では……千年前に大災害が起こりました」


 王女様は、質問に答えずに昔話を始めた。


「魔王が……魔族や魔獣を従えて各国を攻め滅ぼして行ったのです。その力は凄まじく、この世界の人間では対抗する事が出来なかったと伝えられております」


 まさか……。


「その為、魔王に対抗する力を異世界に頼る(・・・・・・)事になりました。当時最高の時空魔法の使い手であり、私の先祖でもあるエルザ様が異世界から勇者を召喚したのです。そして勇者様は、激闘の末に魔王を討伐され、世界には千年の平和が訪れました」


 そして、浪々と語っていた王女様が悲痛な表情になる。


「しかし……残念ながら平和は永遠には続きませんでした。5年前の事になりますが…魔物が集落を作って図々しくも建国を宣言したのです。そして神託が下りました。それは『千年前に匹敵する災厄が迫っている』というものでした……」


 お姫様は両手を前で組むと、祈る様にしてこう言った。


「どうか、世界を救って頂けないでしょうか!!」

「そ…そんな勝手な!生徒達を危険にさらす訳には行きません!帰り方を教えて下さい!!」

「一方的にお呼び立てしてしまい非常に申し訳なく思っております…。ただ…今のお言葉は……我々には『死ね』と言われたのと同義です」

「うっ…」


 俯きながら呟く王女様に、流石に海老原先生も何も言えなくなる。


「あと、戻り方なのですが…先程の部屋で私が帰還魔法を使えば戻れる…のですが……」

「お、脅す気ですか?」

「いえいえ、誤解なさらないで下さい。協力しないと戻さない(・・・・・・・・・・)とか、そんな事を言うつもりはありません」


「では『私が』とはどういう意味でしょう?イザベラ王女様にしか戻せないんですか?」

「時空魔法は非常に稀有な才能ですし、私より優れた者はいないと自負しております。少なくとも、この国にはいません。そして、私でも力不足でして…長期間魔力を貯めたり、特殊なアイテムで補助する必要が有るのです」


「そんな…。その『魔力を貯める』というのは、どれくらいかかるのですか?」

「少なくとも半年…。あとは補助アイテムがどれだけ集められるかで変わってきます。希少なアーティファクトなのですが、先ほどの召喚で大半が壊れてしまいました…」

「そんな…」


 王女様の話を聞いて海老原先生が絶句してしまう。


「すぐに返還する事が出来ず申し訳ありません。これは相談なのですが、帰還の準備は全力で進めさせて頂きますので、その間だけでも我が国で訓練をお受けになられませんか?」

「なっ…生徒に危険な事をさせる訳には行きません!」


 ここで、これまで黙って聞いていた隼人が話に参加した。


「先生、受けてみてはどうでしょう?」

「城之内くん、何を言って…」

「ここは我々の常識が通用しない世界の様です。安全を他人に依存するのは危険です。訓練を受けない事が生死を分かつ可能性があります」

「確かに…。この世界特有の危険があるなら……対処方法を教えてもらった方が良いかもしれませんね……」


 海老原先生は少し考え込んでから王女様に回答する。


「わかりました!ただし、あくまでも安全を確保した上でお願いします!!」


「ありがとうございます。では早速ですが…皆さんの『特性(・・)』について調べさせて頂きたいと思います」

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。

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