あきらめる、と 2
「大違いよ。管理できるモノと。
管理できないモノじゃ、大違いじゃないの」
「琴誇君? 核兵器を狙って打つのと。
管理できなくて、爆発させちゃうのは、違うってことだよ」
「ああ、そういう話ですか。
じゃあ、内側から、大出力の攻撃魔法なり。
打ち込んだら、どうなるんです?」
「エネルギー変換されて終わりよ。
龍レベルの一撃なら、消滅させることが、デキるかもしれないけど」
「そんなに、龍ってスゴいんですか?」
「え? 本当に、なにも知らないのねぇ?
当たり前でしょ」
「俺も、しらな~い」
ルインの得意気に話す、眉が歪んだ。
あえて触れないのが、大人の対応と。
琴誇は、黙って言葉の先を待つ。
「龍はねぇ。魔法・魔術の両方において。
この世界に、勝てる存在は、いないわよ。
圧倒的なマナ変換能力。
そして、存在そのモノが、魔力の化け物なんだから」
この世界に存在する魔術・魔法。
マナを魔法にする力、魔術に必要な自分自身の魔力。
どちらも、この世界に生きている、どんな存在よりも。
飛び抜けているのが、龍。
そう、コレが本当のチート性能である。
「龍なら、なんとかデキるかも、しれないってわけ?」
「龍ならたぶんね。
この魔法の核だと思われる。
あの、空の天辺に、ある光の玉を、破壊できるかもしれない」
「エネルギー変換されずに?」
「龍なら、エネルギー変換する速度を上回る力で。
魔法そのものを、ねじ曲げて破壊できちゃうわよ。たぶん」
琴誇は、思った以上の龍の力に、チラリとアリサを見るが。
ただただ、実感は、」遠ざかって行くだけだった。
「不穏な言葉が聞こえたんだけど? いくつも」
「うるっさいわねぇ。
そんな、あり得ない話したって、ドウしようもないでしょ!」
「いえ。ありえるんですよ。コレが」
「ま、まさか。琴誇君。
君の出会いには、主人公補正が、かかっているんじゃないか?
まて、言うな」
寺田は、手をつき出してまで、琴誇の言葉を制止する。
「なんなんですか」
寺田は、深いため息を吐き出し。
再度、琴誇を見た。
「…琴誇君。ズルい、なんかズルいよ。
僕の主人公補正に、浮かれた心を返してよ」
「言葉を待った、僕に謝ってもらってイイですか?
それ、28歳が言う言葉じゃないですよね?
よし、じゃあアリサ!」
と、頭を撫でられる人物に、視線は集まった。
「えへへぇ~」
寺田・ルイン二人の視線は。
お互いの顔に向かい、琴誇にかえってくる。
「琴誇さん。え? どういう事?」
「琴誇でイイよ」
「じゃあ、琴誇ぉ。
俺、事と次第によっちゃあ、ちょっと、車外にお呼びだしだよ?」
「寺田さんは、呼び捨て許しません」
「なに、その待遇の違い。
ルインちゃん、呼び捨ての権利を、俺にもよこすんだ!」
「琴誇、どういう事なの?」
「彼女が、この南の管理者様です」
長いと言うには短い沈黙。
そして、真顔は真顔のまま、口から疑問を溢れさせた。
「…はぁ?」
「そんな顔が見れると、思ってました。イイですか?
コチラ、龍族であらせられる、アリサさんです」
新参二人の目線がまた、行っては帰り。
紹介された人物に、視線が集中する。
「あ~り~さ~だよ~」
当の本人は、手をあげ、笑顔で宣言する。
新参二人は、アリサを揃って指をさし。
「え、コレが?」
「え、コイツが?」
長年連れ添った夫婦のように。
息が合いすぎたタイミングで、吐き出された言葉に。
琴誇は苦笑を隠さない。
「はい、そのとおりです。よく、ご挨拶できたねぇ~。よ~しよしよし。」
「えへへぇ~」
「こんな、ペットみたいな扱いを受けている。
コノ人が、南の管理者様なの?」
「なにか、おかしいの?」
「コレが、知恵と教養の青龍大陸。
南地区管理者、アリサ=デリエッタ=シモン様なの?」
「残念ながら」
「なにそれ?
なにその、ガチャで、虹色ばっかり並べちゃってる感じ。
琴誇君、それは、ズルすぎるよ」
「じゃあ、アリサ。
お外で全力ブレスを、あの天辺の光に向かって、打ち込んでみよっか」
「全力でイイの?」
「うん。もう、これ以上ないくらい。
とんでもないの撃っていいよ。」
「わ~い。はじめての、全力だぁ。
ルインちゃん、どいてぇ~」
今、否定されようとした方法が、採用された瞬間だった。
「いえ、ちょっと待ちなさいよ。
私が、追い付いていけてないわ」
「あとから、理解できれば、イイと思うよ」
「一つだけ教えて。なんで、アリサ様は、コンナなの?」
「かくかくしかじかの、ポンポコたぬきさん、だからです。」
「琴誇君。そのフレーズ気に入ってたんだね」
「…。あとで、説明してちょうだいね。」
「今は、甘えっ子モード全開中なんです」
「分かったわ。よく分からないって事が」
ルインを押し退け、外にでたアリサは。
隠していた翼と尻尾を広げ、右拳を胸の前に置き、目をつぶる。
アリサの回りに、いくつも浮かび上がる、光の魔方陣。
数が増えていくにつれ。
アリサの体を、青い光が包み込んでいく。
車内のルインは、その姿を、呆けたように眺め。
急に、体をビクリとさせ、声をあげる。
「もう、なんでもイイわ。アナタ、協力しなさい!」
「お~れ~?」
自分の顔を指差す28も、端から見れば、これ以上なく滑稽だ。
「急いで、この乗り物を守るわよ」
「ルインさん。聞き捨てならない言葉が、聞こえたんですが。」
「アナタ、知ってたんでしょ?
全力ブレスが、どれだけの威力か、分かってるわよね?」
グリーンランドで、空を赤く染めた一撃。
アリサは、初めての全力だと言っていた。
雲すら消し飛ばした一撃が、全力ではないのだ。
「いえ、全然」
「面白い!」「続きを読みたい!」など。
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