14話 鉄鋼街ドラゴンスキン 人員二名 暴れる子供と汚い空 1
「それでね、ウルドさん」
「はい。話しにくいんで、乗ってもイイですか?」
「それだけは、絶対にやめて」
よく見れば、よく見るほど、ウルドは汚い。
かきむしった髪からは、フケが跳び。
ボサボサの髭は、無精髭を通り越した、アートだ。
「ちなみに、ウルドさん。種族は何ですか?」
「ああ、こりゃ失敬。見ての通り、物作りを愛するドワーフ族でさぁ」
ずんぐり、むっくりが、シックリきてしまう体型。
一見、ただの中年デブに見えるが。
少し力んだ両腕をみれば、無駄な脂肪は、殆どないと分かる。
ウルドは、デブに見える、筋肉だるまだ。
筋肉をつければ、マッチョになり、ボディラインが、良くなると考えるが。
それは、あまりにも。
ボディビルディングのイメージが強すぎる。
彼らは、筋トレをしているのではない。
ボディメイキングしているのだ。
体質もあるだろうが、しっかり太ってから、体重を絞らず筋肉をつけると。
そのままの体型のまま、体脂肪率だけが下がり。
筋肉だるまの完成する。
力を入れていない筋肉と、ただの脂肪の見分けが、大抵の人にはデキないが。
いろいろなアルバイトで出会った、人たちが。
琴誇に教えてくれるのだ。
大きいお腹も。
力めば、鋼鉄の腹筋になると。
「アリサ。ドワーフって、なんなのか、説明してくれる?」
「本人に聞いた方が、早いと思うけど?」
「なにソレ? よく知らない部下を煙たがる上司、みたいな反応」
「え? 琴誇の言う通りで、間違ってないわよ?」
「ちょっと待とうね? 南のトップさん。
ドラゴンスキン在中軍の、責任者の名前も知らないってさぁ?
ドウ言うことなの?」
「軍の管理は、師団長を通じてしか、やってないもの。
その方が、無駄がないでしょ?」
「琴誇。完全に、ピラミット体制らしいですねぇ?」
「まだ、アリ社会だと思ってたのに」
「どういう意味? ナビィちゃん?」
「こっちの話です」
ウルドは放って置かれ、困り顔を隠さない。
「ドワーフ族の事を、説明すればよろしいんで?」
「そうしてもらうと助かります。
話が進んで、第三者が、イライラしないと思う」
「第三者?」
琴誇は、ガルフを指さし。
ウルドが、ガルフを見れば、ガルフの片目が、ウルドに向けられた。
そのまま、顔が琴誇に戻ってくる頃には。
「…では、ですね?」
「完全にビビってますよ、この人。
仮にも、ココの軍隊の一番上なのに」
「ナビィ。人を指さして、ディスるの、やめなさい」
ドワーフ族。
聞いて、想像する人物像は、同じだろう。
三頭身の体は、子供のように小さいが。
大きな斧を、片手で軽々振り回すほどの力自慢。
ファンタジーには、必ずと言って良いほど、登場する種族。
武器を打つ、鍛冶師としての姿も、印象に強いのかもしれない。
剣や槍で戦をしていた時代。
体格に自信がなく、戦に行かず、鍛冶の道を進めば。
小柄な男性が集まり、鋳造工程を人力で行っていたら。
そんな、おじさん達がデキ上がり。
端から見れば、鍛冶師達の風貌が全て同じよう見え。
同じ職業のモノは、気性も、行動も似てくるのは、当然なら。
ドワーフで思い浮かぶ、イメージの元は。
昔、鍛冶師と呼ばれた、彼らだったのだろう。
「僕、ドワーフの登場は、もっと遅いと、思っていたのに」
「ああ、工業区の事ですかい?
その前に、お嬢。この方は、本当に何も知らないんで?」
「本当に何も知らないわ。
だから、めんどくさがらず、最初から話して、あげなさい」
「なんか、偉そう」
「偉いのよ! 私は!」
「で、ウルドさん。なんで、そんな反応を?」
「普通は、純粋にドワーフ族だっていうと、驚かれるからでさぁ~」
「なぜです?」
「大戦のせいで、純粋な種族ってのは、なかなか…」
「ああ、なるほど。ハーフが多いのか」
「そうことでさぁ。
ドワーフ族も、ドワーフブランドとでも、言いましょうか。
種族を説明しろといわれても、見てのとおり。
と、しか言いようがないですねぇ?
体小さく、男は、俺みたいな、体格のモノが多い。
女性は、シュッとしているけど。
背が小さく、力があるのは、一緒でさぁ~」
「合法的なロリ、もしくは、ショタと言うことですね、琴誇」
「うん、ナビィ。ちょっと、うるさい。
ウルドさんは、なぜ、こんなところで門番を?」
「何でと言われても…。
あっしは、ドワーフのスキルを、力技にしか、生かせないからですねぇ?」
「力自慢が、力技?」
「戦闘って言うと、角が立つんですが。
戦うことに関してしか、あっしの力は、生かせないんでさぁ~」
「えっと…。
門番として、多少の暴力沙汰ぐらい、モノともしないから。
ドラゴンスキン軍隊の、一番上だって言うのに。
こんなところで、腕組んで寝ていたと?」
「そういうことでさぁ~」
「ちなみに聞くけど、純血のドワーフって、どれだけ貴重なの?」
「ハーフじゃないヤツは、現場には、いないですねぇ?」
「琴誇。言ってイイですかぁ?」
「駄目だよ?
思っていても、言っては、いけないことが、あるんだよ」
「間違いなく、左遷ですよね!?」
「コラ! 言ってるそばから、ザックリいかないの!」
「純粋な種族だって言う肩書が、周りの遠慮を買って。
ここのトップっていう冠を、つけてもらえた感じですよね?」
「やっぱ、そうなんですかいねぇ?」
「ほら、明らか様に、落ち込んじゃったじゃないか!」
「じゃあ、琴子が、そうじゃないと証明してみれば、イイんじゃないです?」
「え! 僕? え~っと。
じゃあ、今のこの町の治安や、噂とか教えてください」
一番上なのだから、それ相応の口ぐらいはある。
琴誇の期待は、予想外の角度から、切り崩された。
「え~っと。ドラゴンスキン南商業地、治安部へ、行ってくだせぇ」
「面白い!」「続きを読みたい!」など。
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