表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/247

鉄鋼街ドラゴンスキン 5

 ドラゴンスキンの町のつくりは、

 必要な施設が、一塊に、なるように作られている。

 採掘・工業地が中央で、一番外が住宅・教育、といった具合だ。


一番中央に近い職人が、モノを売りに、一つ外の、商業区に行き。

 商業区から商人が、一つ外の住宅地へ。

 住人からすると、商業区までしか、行く必要がない。

 人の流れが、非常にわかりやすく。

 立ち入りを規制するのも、容易だ。


 工業地域は、高熱のかまど等、危険物が多数、存在する。

 無用な地域に、足を、向けないようになっているのだ。

 身分証明があることにより。

 足を踏み入れることが、できるのは、決まった資格を持った人物だけだ。

 このように、管理することで、流れを円滑化、不正の排除すら容易にした。


 各職業の立場から言えば、それ以上のことを、しなくて構わないと言うことだ。


 不正を、考えさえしなければ。

 自分が、どのようにして生活すれば良いのか。

 分かりやすい形が示されているのだから、それに習って、仕事をすれば良いだけだ。


 余計なことは、ほかの資格者の分野と思っていれば、それで良い。


 あとは、ドラゴンスキンの自警団と、南の常駐軍で。

 工業区域・商業区域・住宅区域・発掘区域。

 治安の安定を図りながら、不正者を洗い出させれば、それで町は回っていく。


 警察が自警団なら。

 軍は、警察以上に権限と自由が許されている

 治安部隊と、考えて問題ないのだが。


「え! ちょっと待ってよ」


 ゆるやかに、流れていた車窓は。

 ここまで長い説明を、悠長に進めた、アリサの口によって、止まった。


「だから、話の腰を折らないでよ」


「うるさいなぁ、このバカちんが!

 今、とんでもないことを、自分で言ったの、気づいてる?」


「え? 何か言ったっけ?」

「この、科学者脳が! なんで、一つの事しか、考えられないんだよ!」

「何で、私は、バカにされてるの?」

「…当然だな」


 横から不意に聞こえてきた、ガルフの声に驚き。

 アリサは、疑問を解決する為、背後を振り返る、琴誇の顔を覗きこむ。


「軍隊いるじゃないか! しかも南の!」


「そうねぇ」


「そうねぇ、じゃないよ!

 なんで、さっきの話し合いで、ソレを、言わないんだよ!」

「え、なんで?」

なにか、話が、かみ合わない。


「……ん? ああ、そう言うことなのか?」

 琴誇は、深くうなずき。

 そして、表情が変形していく。


「うわぁ~。マジかぁ…」


 軍隊と言われ。

 自衛隊と言われ。

 何を想像するだろう。

 銃・戦車・戦闘機・戦艦の、いずれだろうか。


 鍛え抜かれた戦士たち。

 殴られたら殴り返す、暴力的な組織が、頭に浮かぶのが、普通だろう。


 だが、アリサの軍隊という組織の認識は、便利屋なのだ。


 琴誇・ナビィは。

 戦争を、少なからず作り話で触れ。

 軍隊という組織が、どういう物か、どういったときに、必要か、知っている。

 軍隊とは、暴力に対する、抑止力であり、対処法だ。


 軍隊を、なくすということは、この二つを、失うと言うことである。


武器が、あるから争いになるのだ。

 もう、これは、言葉遊びでしかない。


 今日もドコかで、犯罪が行われ、警察が動いているのに。

 その中、警察を失えば、歯止めが利かなくなる。

論点のすり替えなどではなく。

 本質的には、全く、同じことになるだろう。


 軍隊をなくした場合は、分かりやすく最悪だ。

 国土か海域侵犯を止められないので、やりたい放題。

 国を通して、何とかしようとしているうちに、手が付けられなくなる。

行くとこまで行った先には、もれなく。

 皆の首に、ポチという首輪が、つく未来が待っているかもしれない。。


現代において、戦い・破壊行為が表面化した時点で、止める術はない。

核兵器など使わなくても、だ。

一日で、国にある首都・インフラ施設は、確実に消滅するだろう。


 焼野原になった後、無抵抗に殴られて。

 戦争になった時点で、経済戦争の負けが、確定しているのに。

 その上で、国民を守れもしない国家を。ドコの先進国が、信用するのだろうか。


 政治が政治でなくなり。

 国民が何を言おうと。

 取り返しがつかなくなれば、頭を下げるしかなくない。

 みな、おとなしくポチに、なるしかない最悪の未来を、回避するために。

 抑止力・対処法は、必要なのだ。


 力を持っていないヤツに、わざわざ力を使う必要はない。

殴って黙るなら、わざわざ説得する必要がない。

 銃で、頭をこずき。

 邪魔なら、打ち抜いて、捨ててしまえば良い、だけ、の話なのだから。


 軍隊は、戦争をしないために、誇示し、維持・強化し続けなければならない。

 目に見える、国家技術レベルであり、力の象徴なのだから。

 ガルフに至っては、戦いの真っ只中にいたハズである。


 そう、この車内で、アリサ以外、この世界の軍隊を知らないのだ。


 アリサの話す、軍隊は。

 一度でも、拳を振り上げただろうか。

 強烈な龍信仰がおこした、軍という組織の変化。


 大戦時、龍によって、強制的に、戦うものは排除され続けたのだ。

 軍隊は、その筆頭に並ぶモノだったのだろう。

 なのに、なぜ、軍隊は、いまだ、存在できているか。


 理由なんて、シンプルだ。

 軍が、軍で、なくなったからだ。

 各国間で力を誇示する必要を、龍が奪い去ったのだ。

各国を龍が統治しているのだから、国家間戦争が起こりえない。


 隣大陸へ行く手段を限定され。

 外交、そっちのけで、内政だけでも、最悪の問題が、起こらない環境が。

 軍という組織を、大きく変えたのだろう。

国はあれど、四龍が世界統一したのだから、こうなるのだろう。


 戦後復興の流れから。

 軍は、そのまま、行政執行部隊になったのだと、考えるべきだ。


 現代日本に存在する、市役所や消防、税務署等々。

 国として、必要とする施設や、役目を行うモノを。

 全て「軍」と、表現していただけだ。

 軍施設とは、戦うために用意するか思えてしまうが。

 この北大陸では、行政施設である。


 「戦い」という概念が、そもそも、この北大陸から、欠落しているのだ。


それでも、隣国とのやり取りはあるのだから、

 最低限の軍事力は、見せる必要は、あるのだが。

 戦争前提で構えているのと、体裁を整えるだけの軍隊では。

 全くの別物だ。


 アリサが、琴誇達の言葉を否定しないのは、一応、理解があるからだろう。


「琴誇。どうしたの? 急に、面白い顔になって」

「なんか、その言葉に、腹も立たないや。アリサちゃん、軍っていうのはね…」

「なに、今更、あらたまって」

「アリサを、守ってくれるんだよ?」


「……。え?」


 自衛するための力だとか。

 けん制だとか。

 威圧とか、究極に仕方ない暴力だとか。


 軍が、そういった使われ方を、されてこなかった弊害だろう。

 琴誇は、ここまで、さんざん聞いた。

 アリサの、バカだと思える発言の数々が、納得できてしまった。


 ここは異世界で、そもそも、常識が違いすぎるのだ。

 常識が違えば。

 物事の考え方も、感じ方も、結果も、すべて変わって、当たり前だ。

 この世界に、やってきたメンバーは、勝手に勘違いを、していただけ。


 アリサの立場からなら、そう言えてしまうだろう。




「面白い!」「続きを読みたい!」など。

少しでも、思った方は。

ぜひ、ブックマーク、いいね よろしくお願いします。


それだけで、皆様が思われている以上に

モチベーションが上がります。


お読みの上で、何かお気づきの点や、ご意見ございましたら遠慮なく


ツイッター @chicken_siguma

URL  twitter/chicken_siguma にて、DM または


chickenσ 公式ライン @729qbrtb

QRコード http://lin.ee/iH8IzAx にて 承っておりますので。


今後とも、長いお付き合いよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ