鉄鋼街ドラゴンスキン 2
当時の軍隊規模は、現在アリサが持っている軍隊の
10分の1にも、満たなかったそうだ。
サラリと、自分の軍隊規模を晒してしまうのは、さすが、アリサだろう。
当時の軍隊は、数が少ないとは言え。
給料をもらえない志願兵の集まりにしては、だ。
統率力と意識の高く。
それだけが、この軍をまとめ、作り上げていた。
ボランティア集団に、一流企業並みの意識があった。
そう、考えれば。
当時の奇跡的な、軍の在り方が、想像しやすいだろう。
南の管理区が、ないモノを絞りだし、全力で復興作業を進めている中。
赤龍が、作り上げてしまったクレーター周辺で。
大局を見る人間には、気づかれない規模での、変化が始まっていたのだ。
名前もない土地で、発掘という男の力仕事を。
何のルールもなく、おし進めてしまった。
彼らは生活しか考えていないから。
戦後復興において。
鉄鋼資源が、どれだけの意味を持つのかまで、考えてはいなかった。
なぜ、戦後の価格とは言え、高く扱われているのか、を。
管理されない集落は、勢い、とどまることを知らず。
あるのか・ないのか。
ハッキリしない利権を主張した結果。
集落というより、スラムに近い環境が、デキていく。
ヤクザだとか、ギャングだとか、マフィアだとか。
港で生まれた現代社会とは違い。
陸の上の鉄鋼資源をめぐり、基礎が形作られていく。
この、クレーターで、金が稼げず。
病すら治せないクズは、死んでしかるべきだ。
当時のスラムに住む、誰もが。
常識として持っていた価値観である。
そうなってしまったのも、仕方なかったのかもしれない。
自然といえば、自然なのだ。
現在のドラゴンスキンも、そうだが。
金属資源である鉱石が、だ。
砂場で遊ぶ子供達が使うシャベルで、ひとかきすれば、出てくるのだ。
コレを、金山と言わずして、なにを金山と言えようか。
通常の鉱山や、炭鉱より、格段に、採取効率が良く。
少ない労力で、膨大な金銭を生んでいく。
誰の目にも、見えて分かる、圧倒的な採掘量。
金属と言われ、鍛冶と言われれば。
一目散に、武器を想像するだろうが、そうではない。
なにげなく使っている、生活用品だけでも。
金属製のモノを探せば、どれだけ重宝しているか。
農業・畜産など、ジャンルを問わず、金属は必要なのだ。
当時の南の管理区の状況下。
鍛冶を行えるほどの、金属資源と、職人が、完全に不足している事情。
すべてが、金属製品を高騰させていた。
需要と供給、その格差。
必要とされている数より、圧倒的に、提供している数が少ない場合。
それを金額にすると、誰もが、驚く数字を、たたき出す。
物理的に、鉄と金は、紙一重に、なったのだ。
スラム街で働く者たちは、荷馬車から、金など投げ捨てろと。
こぞって、言うようになる。
金は、誰にでも、分かる貴重品だったが。
ただの工芸品にしか、なりえないモノが。
戦後復興、まっただ中で、売りさばく手間が、時間が、そうさせた。
電気製品があれば、話は大きく変わったかもしれないが。
武器を振り回して、戦っている文化レベルである、この世界は。
金の利用価値が、分からなかった。
売る先が、特殊すぎた。
金を、加工するためには、時間が、かかりすぎて。
金銭に変わるまでに、鉄以上に手間が、かかってしまうからだ。
北大陸の権力者でも、金を持っていないことは、良く分かっている。
売買は、できるかもしれないが。
払い出してもらえるのが、いつになるのか、分からないとなれば。
明日の食べ物を、優先して当たり前だろう。
彼らは、皆、権力者ではなく。
労働者の集まりでしかないのだから。
精密機械には金が必要だ。
銅以上に、配線として使うのに相応しい金は。
家の中にある、家電すべてに、使われている。
基盤、半導体として。
だが、それが存在しない、この世界では。
残念ながら、キレイな金属以上の価値は、ない。
通貨として、鋳造で打ち出すまで、金そのものを、使う手段がないのだ。
その点、鉄・銅・鈴のようなくず鉄と、すら言われるモノは。
レーレシアに持っていけば、スグに、おカネにかわる。
それを握りしめ。
レーレシアで、一杯ひっかけるほうが。
何倍も、価値が、あるように見えても仕方ない
野菜のかけらを、大切に食べている皆よりも。
良いものを食べ、飲んでる優越感が、そうさせるのだ。
金を、数日かけて荷馬車で運ぶぐらいなら。
鉄や銅、鈴、亜鉛など。
金属製品を生み出すのに、必要な鉱石を運んでしまったほうが、稼げたのだ。
当時、技能者は。
鍛冶職人は工房も含め、管理者達、税金の元、保護されていた立場だった。
首都レーレシアですら、金属の買い付け市場は。
他の血気盛んな、市場の片隅で。
こぢんまりと、開設する程度のモノでしかなかった。
買い付け市場、鉱石資源の。
全体の90パーセント以上が、ドラゴンスキンで、賄っていたとは、気づけず。
運営され続けてしまう。
彼らが、資源をレーレシアで売り。
レーレシアで通貨を使ったのが、より、発見を遅らせたのだ。
管理者も、資源確保に躍起になれば、なるほど。
外に、目が行くのだから。
灯台の下は、暗いのである。
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