理解なんて、最初から求めていないんだ… 5
誰もが、道を明確に説明できたなら。
タクシー料金が高い安いのクレームは、大幅に減らせるだろう。
高いと思うなら、行政に殴り込んで。
バスや電車のように、運賃の半分を出すと国に言わせることをお勧めする。
タクシードライバーが自分で考え、もっとも良い道を選んだとしてもだ。
走るとクレームを受ける可能性があるのだから。
言われるがまま、走っていたほうが、タクシードライバーは楽なのだ。
道選びに、グチグチ言われることがないのだから。
「じゃあ、ドラゴンスキンで、待ち伏せされているのも、南北の分岐手前だね。
いっそのこと、ドラゴンスキンに行かないで、海でも行ければ良いんだけど」
冗談半分で言った琴誇に、アリサは、シレッと言い放つ。
「行けるわよ?」
「はぁ?」
「東管理区の中央街と、西管理区の中央街に、グリーンランドから、のびる道が」
「アリサ? 今日ほど、ほほを叩きたいと、思った日はないよ?」
「なんでよ! 元からある道を聞かない、琴誇がいけないのよ!」
「もう何でもイイから、早く説明してよ」
アリサいわく。
東西南北・中央と五つの青龍軍の選りすぐりが。
北の大陸から、中央島に向かうのだ。
海路を使う手もあるが、船に乗るリスクに怯えてまで行く必要はない。
北管理区は、中央島まで遠すぎるため。
独自の海路を持っているが。
陸から、ほとんど離れない海路を使っているぐらいだ。
と、なれば。
ブルーリバーへ向かう陸路が、必要となってくる。
大群遠征のため、道幅は広ければ、広いほうが良い。
戦うことを忘れた軍隊だ。
歩けば自然に、道になっていくのも、うなずける。
大群遠征ともなれば、途中で食料を仕入れる必要も出てくる。
そうなれば、近くの村・街を経由していく必要があり、道が自然にできていく。
そして、お金が落ちていくから、村が裕福になり、規模が大きくなっていく。
作られた道というより、必要だから自然に、できた道。
この道をアリサは、旧道と呼んだ。
四つダイヤのように区切られた北大陸、東・西・南・北管理区。
東・西・南管理区は、漁ができ。
飛龍便も海沿いにあり、東・西管理区首都は、港町になっている。
東・西港から。
南港である、ブルーリバーを目指すのに、一番早く。
安全にたどり着くための、陸路。
それは、海沿いの街道を行くことだ。
ブルーリバーに真っすぐ向かうには。
グリーンランドの森が邪魔をして、大群遠征に向いていない。
なら森が薄い、海岸沿いを開拓してしまい。
すり抜けたほうが、安全だったのだ。
こうして、旧道は、三つデキたのである。
東・西管理区の首都から、海岸線をすり抜け、ブルーリバーに向かう二本と。
ブルーリバーから北に抜ける、王都向かう道の一本だ。
アリサが整備した、異世界タクシーが走る、南管理区・南北道は。
大森林地帯での被害が無視できなかったため、旧道を本気で整備した結果だ。
このとき、南管理区が東・西遠征を気遣い。
海岸線が危険な場合、内側の陸路を行けるよう。
海岸線の途中から分岐した、グリーンランドへ向かう道が、作られた。
アリサが言う、海沿いに出る道とは、ソレのことらしい。
「まぁ、道に名前なんて、勝手につくものだから。
あんまり気に、してなかったけど」
東・西海岸線を行く道を、何のひねりもないネーミングの、東・西遠征街道と言い。
途中分岐する道を、東・西内陸遠征街道。
ブルーリバーから、王都に行く道を、南中央街道と、呼んでいるらしい。
「つまり、海に抜けられるけど、王都へは遠ざかるわけだね。
しかも、西か東の首都に、行っちゃうんだね」
「そういうことになるわね」
琴誇の思う国道以上に、大雑把な「道」の概念に、ため息を吐き出した。
道は、とことん、人がいなければ、必要ないものらしい。
どこかに、定期的に行きたいと思わなければ。
必要ないモノのだから、しかたないのだろう。
人がいれば、それだけ行き先が増える。
その分、道が必要になるのは、必然だろう。
東・西、内陸遠征街道を使うにしても。
東・西、遠征街道にぶち当たり。
そのまま、東・西どちらかの首都への直行ルートが、確定してしまう。
そこから王都となれば。
必ず東・西どちらかの首都を経由して、王都まで続く道に入る必要がある。
この世界に、車のような文明の利器が登場するには。
そもそも、道が悪く。
街道・旧道を行こうとする、人の絶対数が少なすぎるのだろう。
どれだけ、陸路が度外視されてきたか、分かるが。
基本、自給自足。
水を井戸からくみ上げなければ飲めないような、生活レベルなら。
どこかに旅行に行くほど、余裕なんてないというのが、本音だろう。
東・西どちらかの首都を経由し、王都に入ってい行くなら。
アリサが、さんざん口にしてきた事も、崩れ去ることになる。
「とりあえず、ドラゴンスキン回避ができるのは良いとして、問題は、その先だね。
もう、南の管理区じゃないんだから、相手は、大掛かりなことが、できちゃうよ」
「そうねぇ~。でもほかに、道はないわよ?」
「…ならば安心しろ。…今更、変わらん」
急に会話に入ってきた、ガルフの声に、琴誇の体が跳ねた。
「面白い!」「続きを読みたい!」など。
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