理解なんて、最初から求めていないんだ… 4
反論したくても、やるといった事を曲げないアリサを。
アリサの直下で動いている以上、誰よりも理解しているのも悩みものだろう。
紙を投げてよこしたアリサに、どれだけの感情がわくのか。
その場にいなかった、琴誇でさえ、見てきた事のように想像できた。
「言うは易しってやつだねぇ、それは」
「いやな顔しながらも、作る順序は、かなり的確だったから、さすがと思って。
ねぎらいに、いろんなもの、送っておいたけど」
軍を減らすも・増やすも。
維持費と行動量で悩むといったアリサが。
軍隊を、どういう使い方をしているのか、良く分かるというものだ。
「たぶん欲しいのは、物じゃなくて、休日だと思うよ?
管理者の贈り物って、なんか、嫌なイメージ、受けるよねぇ~」
「賄賂なんて送ってないわよ! 送っても意味ないし!」
「アリサはそうだよねぇ…。
賄賂は、立場上の有権者に、お願いするときに送るモノだしねぇ…」
「いまは…。たぶん、ドラゴンスキン東・西からカーブを描きながら。
王都に合流する道までは、できあがってるハズよ」
アリサが言う、ドラゴンスキンを介さず。
王都に合流するという、ドラゴンスキンの東・西に引いたハズの道。
こんなにも曖昧で、ザックリとした、説明で、琴誇が分かるハズもなく。
「でも、道なんかなくても、この車なら、走れるんじゃないの?」
なんて、無茶な要求さえ、言いのけてみせた。
「アリサのおバカさん。なんで、そんなことを言えるの?」
「走ってるじゃない」
「もしかして、山でも、軽々走れると思ってる?」
「いけるでしょ」
「いけないから!」
なぜ、作られた道を、選んで走る必要があるのか。
確かに、どこでも車は走れるイメージはあるが。
今、乗っているのは。
アスファルトの上を走れば良いと考えている、オンボロクラウンである。
そもそも、普通自動車が舗装されていない道を走ることじたい。
バカの所業だというのに、適当に走ってみろとは、いい加減すぎる発言だ。
舗装されていない道は、グリーンランド出入りの道同様。
車の重みで沈むのだから。
南の管理区で、アリサが引いた道は。
歩いて行けば、迷わず目的地にたどり着け。
荷馬車が安全に通過できれば良いモノだ。
逆に言えば、今まで、隣の道に行くにも。
方向を正しく理解できる方法がなければ、簡単に迷ってしまい。
荷馬車は、かなりの苦労を、強いられていたということだ。
現代日本の道端で見る緑と違い。
手入れされていない緑と大地が、いくらでもある、この世界で。
手が入っていない道を走るということに。
どれだけのリスクがあるか、想像できない。
北海道内にある、何もない緑の中を、近道だから車で突き抜けなさいと言われ。
やるヤツはいないだろう。
アスファルトの道は、道路公団や地域の皆様によって。
ひかれた猫やら、落ちた大きなゴミなどがないから。
平気で法廷速度すら守らず走っても、事故にならずに済んでいる。
だが、この世界は違う。
人の手が入っていても、グリーンランドのような状態なのだ。
手が入っていない場所に、何があっても、おかしくない。
どこがゆるい土なのか、わからないまま走り続け、どこに木があるか。
腐り、倒れている木が、いきなり出てきても。
当然ながら、車は急には止まれない。
山や森は、人の身長ほどもある草が、一面に生えているのだから、視界もゼロだ。
自然がないところで暮らしている、都会っ子が知らない、大切な自然は。
すぐ隣にあれば、とんでもない暴力を、ふるってくる存在だ。
それが嫌だったから、人は寄り添い、居住区から緑を排除したのだから。
忘れてはいけない。
人が寄り添って暮らし始めたのは、自然と動物、虫、等々。
それらが怖く、危ないものだから、集団になって、身を守ったということを。
「ドラゴンスキンの東・西の道って、ドコにあるの?」
「ドラゴンスキンよ」
「はぁ?」
「だから、ドラゴンスキンに南から入るとね。
東か西に回って、北のブルーキングに向かう道へ合流している道は、あるのよ。
でも、ソコが危険だったから、軍をつかって、キレイにしたの。
住民を納得させて、軍隊長の言うとおりのスペース確保、大変だったなぁ…」
よもや、ドラゴンスキンを避けて通りたい話をしていて。
ドラゴンスキン内部の話をしているとは、琴誇も驚きだ。
さすがアリサ、というところだが、道の説明は難しい。
そもそも、タクシードライバーに対して。
明確に走る道を、説明できる人は、少ない。
タクシードライバーに対してどころか、たいていの場合。
道を明確に説明できる人は、マレだ。
大きな建物・誰でも知っている公共の建物へ行ってくれ。
と、説明するのだから。
それで、なんで遠回りしたとか言うのか、疑問である。
車は、自転車じゃないし。
車が走る経路が限られてるの、分かってますよね?
と、ナビィの毒が炸裂するだろう。
「面白い!」「続きを読みたい!」など。
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