理解なんて、最初から求めていないんだ… 2
お金を払って押し付ける、誰からも見えない、下の下に。
起こってしまった問題の責任を、本人が受けないのであれば。
あとは、スライド式だ。
責任放棄は、どんどん、どこかへ向かっていき。
買い取られていなければ。
誰かが、ただ、ただ、ワリを食うのだ。
そして、ワリを食った人物を指さし。
責任放棄した、その口で「かわいそう」と、つぶやく。
そんなことになって、と。
普通は、そうなって、いないと。
目に見える範囲で、かわいそうな人がいるのなら。
見ている本人も、つるし上げられていないだけで同罪だろう。
要因の一つに、加担しているのだから。
ガルフの、瞳の奥に見た、どこまでも吸い込まれそうな、黒い瞳の奥。
悪循環を、ここで、完全に断ち切ると言う意思。
自分が、どう思われようと関係なく。
ただ、断ち切ることだけ、に、偏った行動。
だから、ガルフは言ったのだろう。
こうは、したくなかったと。
結果だけを追っていけば、正解しか見えない、果てで。
人の情は。
物事において、最後の最後で必要なものだと。
そう、言われているような、気さえしてしてまう。
「アリサ、やっぱりガルフさんは、スゴいんだよ。
僕なんかじゃ、到底、マネできない事を、したんだ」
こんなセリフを、よく言えるものだと。
琴誇自身が、一番、驚いていた。
あんなに、暴れ狂って、どうしようもなかった、姉への気持ち。
それがウソのように、引っ込んでしまっている。
荒療治といえば、そうなのだろう。
思い出そうとするたび、ガルフに押し付けられた、恐怖が先走り。
すべて頭の中から、吹き飛んでいくのだから。
解決なんてしていないと、琴誇自身の心は、叫び続け。
胸から、這いずるような。
じんわりとした痛みが、いつまでも、張り付いたままだが。
車は、走り出している。
なぜ、ガルフは、追っ手が、すぐそこまで来ていると思ったか、分からない。
だが、ガルフの行動すべてが、確信をもって訴えるのだ。
もう、追いつかれるというのに。
動き出せない状況が、どれだけ危険か、分かっているのか? と。
感情が暴れ、どうしたら良いか、分からなかったのに。
今は、こうして、ココまで考えられるようになったのだ。
どういう形であれ。
自分を立ち直らせた、ガルフの荒療治を、琴誇は、否定できなかった。
否定する言葉なんて、いくらでも、あると言うのに。
「私には、理解できないわ」
「……」
そうしなければ、皆、死んでしまうから。
難しく考える必要なんて、どこにもない。
死んでしまうから、そうしただけ。
琴誇は、神・後藤が言った、本当の意味をかみしめる。
「理解なんて、最初から求めていないんだ…」
もう、そうする他ないから、そうしただけ。
誰かに同意を求めようとか、理解を求めようとすらしていない。
台風や落雷は、許可など求めはせず、勝手にやってくる。
ガルフには、強硬手段に出るほど、確信している何かがあった。
それは、ガルフが、琴誇に言ったことが全てなのだろう。
追っては、鼻先三寸のところまで迫り。
目の前には、敵が待っている可能性がある。
それを何とかしなければ、全滅する。
なぜ、分かるのか。
なぜ、そこまで見えているのか。
竜の力をもつアリサでさえ、読み取れない事柄を。
この車内で、いち早く感知できたのか。
話し合いをしようにも、ガルフはただ、黙っているだけ。
琴誇が、ココからどうするか。
それによって、この先ガルフが、ガルフ自身の判断で。
どうするかを、決めるのだろう。
どこまでも、自分勝手に見える行動。
だが、逆を言えば、極限まで待ち続けている。
もう、待てないから行動しただけだ。
そこに、ガルフは、理解を求めていない。
ならば、神・後藤が、琴誇に向けて言ったことも。
同じ意図が、含まれていたに違いない。
なってしまったのだから、何を言ったところで変わらない。
そんなに言うなら、なぜ、危ないと分かっていながら。
このままでは、届かないと分かっていながら。
なぜ、なにもしなかった?
理解を求めていない、納得しなくても良い。
納得なんて、最初から求めていない。
キツく言った先の人間に、聞いているのは。
これから、どうするかだ。
過去の間違いの訂正なんて。
原因の追究なんて、今は、求めていない。
だからガルフは、何度も問いかけるのだ。
わかっていたはずだ。
知らないハズが、分からないハズがない。
先送りにし続けたんだろう?
終わってしまえば、言えることなんて、一つだ。
忙しいと逃げ、先送りにして。
できない理由を、貼り付けて。
なぜ、終わった今、そんなことを言うのだ?
俺に、こういう事を、させないでくれ。
「…楽しく生きなきゃ、いけないもんな」
こんなに不器用で、めんどくさい人物も珍しい。
「何を言っているの? 琴誇?」
ガルフに、こういうことを、させてしまったのが、琴誇なら。
こうも、ヒドい事を、させてしまったのが、自分なら。
琴誇に、できることは、一つだ。
ガルフが、何もしなくて良いように。
嫌な思いをしなくて良いように。
これ以上、異世界交通メンバーを取り囲む状況が、ヒドくならないように。
事前に、最悪を回避することだけだ。
「アリサ? ドラゴンスキンを通らないで、王都に行く道はある?」
「面白い!」「続きを読みたい!」など。
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