…頭が、よいのだろう? 5
青龍が、今の時代に、いるのか・いらないのか。
関係者に聞けば、龍信仰を破るわけにもいかず、必要と答えるのだろう。
だが、本音を言えば、「どちらでも構わない」だ。
少し邪魔に思えるから、いなくなれば、楽ができるのに、と、思う程度。
そこへ、管理者にメリットがある話と。
国から青龍を排除する話が、セットで浮上した場合どうなるか。
青龍を、どうするかという議題は、分かりやすく「排除」に傾くだろう。
アリサ以外の管理者三人が、結託している時点で。
全てが始まる前に、反龍信仰勢力が、今の状況の絵を描いていると考えるべきだ。
なら、最後まで青龍を守る立場。
心変わりすることのない南の守護者、アリサはすごく邪魔だ。
いま、アリサがこのタクシーに乗っている、このタイミングは。
非常によろしくない。
敵が行動に出ているなら、もう、青龍を排除するべき方策はあるのだから。
あとは、策が失敗してしまう要因を、排除するだけの段階なのだから。
ここまで、状況が、デキあがっているのであれば。
今回の賃走冒険は、最初から、仕組まれていたことになる。
アリサが、ブルーリバーまで逃げ。
陸路で王都に向かうように仕向けられ、まんまと、その通りに動き始めた。
だが、ここで誤算が発生する。
「琴誇の乗り物に乗ったから、私は、ココにいれるんだ」
アリサは、乗るハズだった荷馬車全てを使わず、琴誇のタクシーに乗り込んだ。
敵側からすれば。
手を回していた馬車への工作が、この時点で、失敗に終わったのだ。
さらに言えば。
ドコにいるのか、正確に掴むことが、できなくなってしまった。
車で移動しているのだ。
早馬を走らせても、所在をつかむことすらできない。
相手は、相当、焦っただろう。
いくらドラゴンスキンを、見張っていれば良いといっても。
途中経過がわからなくては。
やみ討ちも、行き当たりバッタリになってしまい。
準備不足で、見逃す可能性を否定できない。
だが、グリーンランドの空が赤く染まった。
アリサは、想像以上の速度で、進行していると知らしめた。
敵は、焦りを強くさせただろう。
ドラゴンスキンに、急いで連絡をとったハズだ。
だが、予想された時間になっても。
ドラゴンスキンに現れないと思えば。
まだグリーンランドにいるという、判断をするしかない。
バカを、やらかしたからこそ、相手を混乱させることに、成功したのだ。
敵は、こちらの速度を、完全に読めなくなったのだから。
「…雇い主が、ココまで来られたこと事が、奇跡だ」
「でも、推測の域を出ないじゃないの」
ガルフは、深く息を吐き出し、あきれたように答えた。
「…では、なぜ、俺は、ココにいる?」
「琴誇が、そう言ったからよ」
「…まだ、伝わっていないな」
「どう言うことよ」
「…俺の前にいる役立たずが、雇い主を、ココまで連れてきた」
「それは…」
アリサは、「運転しているのだから、当然だ」と、いう言葉を飲み込みこんだ。
ガルフが言わんとするところは、ソコではない。
「琴誇が、私に問いかけていた」
「…感謝しろ。雇い主が思い描く成功は。
縫い糸ほどもないと言うのに、ココまでこられたのだから」
「適度に、適切に」
「…バカな行動と、恐ろしく正確な行動。
だから、相手は掴みかね、この乗り物を捕らえられない」
「……」
「…正確な行動が、俺をココに座らせている。
これ以上の確信は、ないと思うが?」
返す言葉もなく。
ただ、アリサは、泣き崩れている琴誇を見つめる。
アリサは、まるで、こじつけのような。
確信など、何一つない話に、妙な危機感すら感じ始めた。
どこかで、分かっていたのかもしれない。
思い付く限り。
できることを、やっていただけと言うには。
状況が、一つの方向に向きすぎている。
この世界のことを、あまりよく知らないガルフの言葉が。
想像以上の説得力で。
これから、おこるだろう出来事の実感を、アリサに与えた。
「なんで、実感が、今さら来るのよ…」
「…辞典そのものには、文字しか、載っていないものだ」
「なんて、皮肉」
「面白い!」「続きを読みたい!」など。
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