…頭が、よいのだろう? 4
同じ思いの人々が、集まり、集団が目的を持てば。
それは、どんな規模であれ、組織だ。
具体的な方法を思い付いて、動きだすには、十分な時間が経過している。
逆に、今まで、管理者に意識させないほど静かなのが、不気味なぐらいだ。
小さな反発すら、アリサの記憶には、ないのだから。
「だから守護者には、龍の知恵だけではなく、強力な力を持たせ。
戦争を終わらせた、ブレスのまがい物すら、使えるようにした」
物理的な力は、抑止力だ。
龍と同等の力を持つモノに。
力で、言うことを聞かせようとしても、無駄だ、という。
では、意見を通すにはどうすべきか。
話し合いという手段で、法廷のように戦うしかない。
核兵器は、威力を相手が理解しているから。
所持しているだけで、政治的な抑止力になるのと同じだ。
逆に言えば、それ以上の意味はない。
打ったところで、なんの意味もないのだから。
威力が高すぎる、戦略兵器は。
使い道が少なすぎて、使えと言われても困りものだ。
核兵器という継続的な金食い虫を保持する理由は。
政治的な発言力を各国が得るために必要な費用とリスク、スペースだ。
核兵器でなくても、原子力発電所があれば。
核兵器は早急に作り出すことができるのだから、保有しているのと変わらない。
だが、アリサは核兵器ではない。
高威力のブレスだとしても、撃たれなければ、なんの驚異ですらない。
「力」を使うためには、ワンアクション必要なのだから。
もし、アリサが「力」を使う前に。
眠らせるなり、殺すなり、無力化したとき。
この前提は、すべて崩れ去り。
アリサの敵は、抑止力の排除に成功してしまう。
車を一撃で破壊する方法があるなら。
車ごとアリサを抹殺する方法は、いくらでも、あると言うことだ。
敵にとって、抑止力の排除は、難しいことではない。
策があるなら。
後は、どのようにして、相手を策にハメるか、なのだから。
そして、策を行うなら。
相手の行動が読みやすく、周りにバレずに行える場所。
それは、間違いなく、この先にある。
「ドラゴンスキンの外周路…」
赤龍の強力なブレスが、地面をエグり、できたクレーター。
円の真ん中を、まっすぐ進む道を作るのは、できないことは、ないのだろうが。
荷馬車が通れるほどの道を、つくるとなれば、話は別だ。
巨大クレーター中心に。
重量があるものが通っても大丈夫な、強度がある道をつくる。
アリサの言った規模のクレーターにだ。
これが、どれだけ、現実離れしたことか。
山と同じ高さの土を、気が遠くなる距離、積み上げなければならない。
橋をわたすにしても。
ソレだけの強度があるものを作るには、多大な時間と労力と資金が必要だ。
いまだに発掘作業が進んでいるとなれば。
掘っている場所を、埋めなければならない。
何をやっても、得られるメリットより、デメリットが高くついてしまう。
ならばクレーターに干渉しないよう、道を引くことになるのは、当然だ。
それが、ドラゴンスキン外周路。
ドラゴンスキンは、南北に引かれた街道を、遮るように存在しており。
東西には、自然があふれている。
南から、北大陸・中心都市ブルーキングに向かうなら。
ドラゴンスキンを、通らなければならない。
異世界タクシー出発点、港街ブルーリバーで、アリサを見失っても。
ドラゴンスキンで昼夜問わず、監視していれば。
敵は、アリサを確実に発見できる。
絶対に通過するだろう道の分岐点。
ドラゴンスキン外周路に入る、クレーター南北二ヶ所のどちらか。
これが敵にとって、最大のチャンスポイントだ。
あとは人気の無いところで、事をおこせば、全ては闇に消える。
「でも、考えすぎなんじゃないの? これまで、何もなかったじゃない」
「…本気で、言っているのか?」
最初の話からして、おかしいと気づければ、大きく変わったのかもしれない。
その最初を、どこからにするか、難しい話だが。
「私が、ココにいるのが、かんばしくない、のね?」
「…そうだ。不思議なほど、な」
なぜ、東西北、三人の管理者は。
密会がバレた時点で、スグにアリサを拘束しなかったのか。
抑止力そのものである、守護者同士であれば、可能だったと言うのに。
しない理由は、簡単だ。
家の名前と、対面があるからだ。
管理者は、一人で全てをまわしているわけではない。
守護者についた者が、反旗を翻すようなことは、避けなければならない。
強行策とはいえ。
アリサであっても対談で、納得させようとしたのだから。
守護者どうしの物理的な対立は、あり得ない。
復興・発展しようと協力し合わなければならない、青龍の使いには。
だが、ありえない対立は、間接的に起こってしまった。
東西南北、全てが独立している自治区だ。
都道府県、東京だけを、周りの県がつまはじきにすれば。
どの立場であっても痛みを伴う。
各大陸とのかかわりを持ち。
関係を構築するため訪れる国際拠点。
中央島に一番近い、南管理区が離れてしまうのは、かなりの痛手だ。
守護者たちの本音は。
再度対話をして、アリサとの関係を良好に保ちたいと思っているはずである。
では、なんで、アリサは追われ、対立しているのだろう。
対立したのではなく、誰かが対立させた、と考えるのが自然だ。
対立させた、のなら。
管理者以外の第三者が働いたと、考えるべきだ。
細かい違和感、それをスッキリさせる答えは。
反龍信仰勢力だ。
現在、北大陸には、曲がりなりにも王国があり。
青龍は、意見するだけに、とどまっている。
大戦直後の昔と違い。
もうすでに、青龍を必要としなくても。
国は機能を、十分に発揮できる所まで発展したのだ。
王政府からすれば、正直、青龍の存在は、政治的な障害でしかなく。
目の上の、たんこぶなら。
天皇殺しを考えても、おかしくないのだろう。
「面白い!」「続きを読みたい!」など。
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