恋って、どうやって始まるの? 3
話は、誰もが想像しない切り口どころか。
オチが、全く予想できない展開を見せていく。
「だって、王女様と一緒になるためには、もっと他に方法があるし。
わざわざ、命を懸けてまでやる必要ないでしょ?」
おおよそ、十代が言い出すとは思えない、リアリズムを漂わせて。
「こういった話は、序盤・中盤で、主人公が死んでしまうのが常よ。
もう、本末転倒じゃない」
ソレを言い出せば、大抵の物語は本末転倒である。
そういった物語は、ソコから趣旨が変わっていくものである、が。
「初恋だからって、全てを捨ててまで、追う必要ないでしょ。
つながりさえ持っていれば、なんでもできたでしょ?
なんで、そうしないのか、分からないの」
そして、話は、一周して戻ってくる。
「そうさせてしまう、恋ってなに? 私には、理解できないわ」
思った方向から、どんどん脱線していくのは、さすが、と、しか言いようがない。
周りの空気を読み取ってか、アリサは、疑問の最後を、こう、締めくくる。
「私が、おかしいのかも、しれないけど」
「うん。そうだよ」
主に、アリサの価値観と、感性だと言わないのは、優しさかもしれない。
「ハッキリ言われると、傷つくんですけど」
「ねぇ、ナビィ?」
「なんですか?」
「えっと。女性の方が、そういうの、早いんでしょ?」
「そうですね。男性より、感情の生き物ですしね」
「僕の頭には、なぜか、神様になる前の、後藤さんが浮かんだよ?」
「それは…。いえ、間違っていないですね」
「なんで、こんなに、こじらせてるの?」
「琴誇よりマシでは?」
「……」
「ごめんなさい。今のは、全面的に、私が悪かったです」
「私が、こじらせてるって、なに?」
「えっと。アリサは、今まで、どんな生活してきたの?」
「随分、ぶしつけな質問ね」
「じゃあ、聞き方変えるけど、どうして、そう思ったの?」
「どうしてって、言った通りよ」
「めんどくさいなぁ~。
そう思うってことは、さぁ~。
そうじゃないとおかしいとか、思った事件かなにかが、あるってことでしょ?」
「あ~、そういうこと。パーティーで、同世代の子達と話をしてたら。
誰が素敵だとか、初恋がなんだとか」
「その話に、ついていけない、アリサだったと?」
「え、悪いの?」
「悪いとか、言ってないでしょ? めんどくさいなぁ~。経験ないだけじゃないか」
「めんどくさいって、二回も言った!」
「うん。すごく、めんどくさい」
「また言った! なにが、そんなに悪いのよ!」
「アリサは、小さい時から、どう育ったのかな?」
「そこに行き着くのね」
「いきついちゃうねぇ~」
「え~っと…」
アリサの癖なのだろう。
話を切り出す前、一度、整理して話そうとする。
言いたいことを、頭の中で、ひとまとめにするわけだ。
この時間が、数十秒に渡るとき。
それは、聞き手側の度量が試される。
人間、過去の映像を頭の中で、どれだけ巡らせることが、できるだろうか。
「出生から、言った方が良いわよね、詳しく」
「そ、そうだね」
それ見たことかと、ナビィの目線が、琴誇を突き刺した。
その目は、言い出しっぺが、最後まで責任を取ってくださいと、琴誇に言っていた。
このときばかりは、後ろの座席で寝ているガルフが、どれだけ羨ましいことか。
そして、アリサは、誰にも望まれていないストーリーを語りだす。
途中をハショらない、自分語りを。
「私のお母さんが守護者で。
お父さんとの結婚は、お母さんの一目ぼれ、だったらしいわ。
それで、私が生まれました。
数少ない龍族と、ノーマンのハーフってことで、かなり、もめたらしいわ」
「ノーマン?」
「えっと、普通は、どこかの種族として生まれるのよ。
犬・ネコ・虎、何でも良いわ。
それで、普通は、種族ごとの技能を持っているのよ」
「ああ、つまり、僕がノーマンだ」
「琴誇? なにか特別な能力を持ってるでしょ。さっき、外でやってたような」
「なにかやってたって、良くわかったね」
「じゃあ、琴誇は、ノーマンじゃないわ」
「どういうこと?」
「ノーマンって言うのは、生まれながら、なんの適正もない人の事を言うのよ。
普通、どの種族にも属していない場合。
魔法適正が大なり、小なり、出るんだけど。
それすらない人を、スキルなしのノーマン、って言うの」
「へぇ~」
「気のない返事ありがとう。
それで、この北の筆頭たる南の家に。
ノーマンを招き入れることが、異例だったわけ」
「お家騒動ってこと?」
「そういうこと。お母さんは、何も持たないからこそ。
何にでもなれるのが、ノーマンの技能だと言って、結婚したの」
「普通は、そんなことにならないから、軽蔑されたんだよね?」
「結果から言えばそうよ。
でもそれは、なにも、させなかったからだって、父さんは、証明してしまったの」
「男の立場からすれば、必死だろうね」
「だったと思うわ。
でも、そんなお父さんを、お母さんは、溺愛してたのを覚えてる。
この人以上の相手は、いないって」
「へぇ~。それは、今、見せつけられたら、胸焼けしそうだね」
「そうね。そうだったら、よかったわ。
そうなってたら、私は、ココにいないわよ」
「え? 亡くなっているの?」
「面白い!」「続きを読みたい!」など。
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