神 後藤 博文 3
何も考えなければ。
何も知らなければ。
これ以上のラッキースケベは、ないのだろう。
だが、目の前の超絶美人は。
この胸は。
結構な高確率で生息しているだろう。
お宅で、下着姿で転がっている、丸いお父さんより。
後藤は、もっと人生のグレードが、低い人種だ。
結婚すらできなかった、ただの汚いオヤジのなれの果て。
人生負け組と、自分で言っているほど。
一度だけ琴誇が見せられた、一人カラオケの写真は衝撃的だった。
性転換、整形前は、相当なモノである。
やりたいことも、人生目標もなく。
ただ、成人年齢が来ても、子供のまま、社会に放り込まれ。
理由も分からず、叩かれていたら。
歳を、とってしまったオヤジ。
それが、後藤 博文、その人だ。
なんで、そんなヤツが、この世界の神なんてやっているのか
本人にも、分からないらしい。
あったことだけを、文字にするならば。
冷蔵庫の缶ビールを飲もうと扉を開けたら、神様に選抜されてしまったらしい。
気づいたら「とある神のインデックス」という。
説明書一冊だけが置かれた空間に飛ばされ。
よくわからないまま。
与えられた力と、押し付けられた責任をこなしている、イエスマンらしい。
三十歳、童貞の賢者は。
四十歳童貞の聖人へクラスチェンジする、もう少しのところで、神様になった。
これだけ長い前置きを並べ、世の男性諸君に、何を訴えたいのか。
真っ白な女性下着は、大きな真っ白ブリーフと、等価だ。
触りたいと思う、女性の豊満な胸と。
銭湯でよく見る、内臓・皮下脂肪が、豊満に蓄えられた、胸毛の生えるオヤジの胸が、等価なのだ。
「もう、イイから。オヤジの下世話な下ネタを、その姿で言うと、シャレになってないから」
「うむ。琴誇よ、触りたいかね?」
「正直、触りたいけど、さわった瞬間、何かを捨てる気が、するんですよ」
「素直でよろしい、性年よ」
「だから、早く用件をですねぇ…」
「琴誇と、お話しに来た」
「だからですねぇ!?」
「俺の存在を、忘れないようにだねぇ~」
「だから!」
「マジで、それだけなんだよ!」
「…逆ギレ」
急に張り上げられた声に、琴誇は、神の本気を感じた。
「え? ちょっとまって。助けとか、重要な用件とか…」
「マジで、ないから!」
「じゃあ、こんなにも疲れている、僕の時間と労力を、削りに来ただけ?」
「そんなに、嫌わなくても、イイじゃない」
「じゃあ、この状況を、どう収集つけるつもりですか」
「まかせた!」
「丸投げですか! 仮にも神様でしょ!」
「ワンルームの中にある、地球儀のような世界を恨んでくれ」
「そこに呼びつけたのは、誰ですか!」
「俺だ!」
「マジで腹が立ってきた、僕を向こうに返してよ」
「それは無理。死亡確認、とれちゃってるし」
琴誇の言い返そうと開いた口は、閉じていき。
熱した鉄に水をかけるように、赤かった鉄は、黒く変色していく。
後藤への怒りがさめた心から、にじみ出る感情を、琴誇は、一つ一つ、かみ砕き。
「いや、マジだから。君もVTR見たじゃない」
後藤は、うんうん、と深く頷く。
異世界に飛ばされる主人公は、帰ることを夢見るものだ。
琴誇も、その中の一人だろう。
ただ、ひとつ違うのは。
帰りたくない理由も、明確に存在していると言うことだ。
恥ずかしいから。
車を、家を壊してしまったから。
理由として、十分だろう。
だが、それは、琴誇の帰りたくない、本当の理由などではない。
「琴誇君ね。君が、本当に「かわいそう」な理由は、ソコなんだよ」
「本当に、かわいそうって…」
「君は、ね。新車を壊して、家を壊して、そして」
後藤の口が、どう動くのか、それだけに琴誇の意識が固まっていく。
どんなにふざけていても、後藤は神だ。
どう動くか、もう、ここまで言われて、分からないハズもない。
分からないと言えるほど、琴誇は、幼くはないのだから。
何と言われるか、分かっていると言うのに。
なんで、琴誇の心は、こんなにも、固まっていくのだろう。
分かっているが、言われたくない言葉、というモノはある。
なんで、分かっていると言うのに、言われたくないのだろう。
「琴誇は、自分さえ壊した」
頭で分かっていた事実が。
その体に、のし掛かるような実感が、ソコにあるから、なのだろう。
言霊と言われるものが、確かに、ソコに、あった。
だが、まだ、違うかもしれないと言う心が、口を回させる。
「ちょっとまって。どういうこと?」
「車庫をバックで、壁をブチ抜いたでしょ。
その時、フロントガラスを、運悪く貫いちゃったモノが、ね?
君の心臓を貫いちゃった訳よ、てか、VTRに写ってたでしょうに」
「ネタ、だよねぇ?」
「君の存在がね」
「なんで、そんな大事なこと、だまってたんだよ」
「デリケートな問題だと思って」
「じゃあ、なんで、今なんだよ」
「そろそろ、良いかなって思った」
「後藤さん。そろそろ、許せない領域に踏み込んでいるって分かる?」
「だろうねぇ~。でも、ハッキリと、言わなくちゃいけない訳よ」
「なにをですか?」
「君が、どう、あがこうが。
どう思おうが、何を言おうが。
こればっかりは、なにも変わらない」
「神様なんだろ!?」
「面白い!」「続きを読みたい!」など。
少しでも、思った方は。
ぜひ、ブックマーク、いいね よろしくお願いします。
それだけで、皆様が思われている以上に
モチベーションが上がります。
異世界完全遭難のネリナル 白の章 完結済み
もよろしければどうぞ。
お読みの上で、何かお気づきの点や、ご意見ございましたら遠慮なく
ツイッター @chicken_siguma
URL twitter/chicken_siguma にて、DM または
chickenσ 公式ライン @729qbrtb
QRコード http://lin.ee/iH8IzAx にて 承っておりますので。
今後とも、長いお付き合いよろしくお願い致します。




