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魔術と魔法 2

「いきなりで申し訳ないんですが。

 この、よろしくない状況に、ついてなんですけど。

 知恵を、貸してくれませんか?」


「ええ、良いわよ。

 私も、その話をしようとしていたから」


 寺田は、すんなりと話が進んでいく様子を見て。

 琴誇の肩に、手を置いた。


「なんか、さっきはゴメン」


「そういうのが、無駄な時間を作ってるって。

 気づいたほうが、イイですよ?」

「うん。今回は、空気読むわ」


 琴誇は、そういっている奴が、一番、危ない、と。

 指摘しようとした口を閉じ、ルインに視線を戻す。


 聞きたい事を聞くためには。

 いったんゼロから、話を進めて行かなければ、いけない。

 まずは、作業が残されていると、ため息を吐き出し、覚悟を決めた。


 いきなり聞きたい事から、切り出してしまえば。

 すべてを理解していると、勘違いされてしまう。


 今、琴誇が、言葉を重ね。

 ルインの口から、聞きたい言葉が出るまで。

 同じ疑問と、質問を繰り返していく。


 そして、一回目とは比較にならない速さで。

 ルインの口から、待望のセリフが吐き出された。


「できることは、消去法で一つしかないわ。

 一応、一つ一つ説明して行くわね」


 方法1 魔法の壁を一部破壊して脱出。


 ドラゴンスキンを覆っているドーム状の壁は。

 なんでもマナに変換してしまうだから、破壊することはできない。


 一度、聞いた言葉を。

 もう一度、確認するように、琴誇は静かに聞き続ける。


 魔術が奇跡的に成功し。

 魔法として出現した、このドームを壊せるのは。

 竜しかいないという言葉に、茶々も入れず付き合えば。

 ルインは、次の方法を、すんなりと口にした。


「だから、破壊は現実的には不可能よ。

 で、次に思いつく方法は、魔法で魔法を、打ち消す方法よ」


 寺田の目の色が変わり。

 ここからが、本番だと、ガルフの片目が開かれる。


 方法2 魔術に転じて、魔法になったモノを、魔法で解除。


「今度は、魔法の話なんだけど。

 琴誇は、何も知らないようだから、一から説明するわね」


「俺が、横やりを出さないだけで。

 ルインちゃんが、賢そうに見える」

 ルインの眉が、ピクつく。


「空気読んでください。そして黙ってください」

「扱い酷くね?」

「28歳の、空気が読める寺田さんに、言っときますね?」

「なんだよ?」


「本当に空気が読める人間は、空気を読むとか、言いません。

 自分から、会話に参戦しようとは、しません。

 空気を読みすぎて、何も言えなくなるからです。

 分かります?」


「つまり俺は、空気が読めない奴だと?」

「そう、言ってるつもりですけど?」

「しってる~」


 両手の人差し指を、琴誇に向け。

 おチャラけている寺田を無視して、琴誇は、言葉を続けた。


「で、ルインさん。魔法って何ですか?」


「…え、ええ。魔法っていうのは。

 魔術を使いたい人が、編み出した方法なのよ」



 この世界にあった、魔術。

 誰もが、使えるものではなく。

 限られた人間のみ許された。

 超常現象を、思いのままに、操る力。


 自分の魔力を使って。

 現実に自分の現実を、写し出す力。


「自分の現実を、現実に写し出す力?」


「そうよ。

 魔術は、極論を言ってしまえば、自己陶酔と、自己現実の実現なのよ。

 その自分の都合しか、考えていない願望を。

 魔力という力を使って実現させる。

 だから、デキることに、限りがあるわけ」


「…えっと。

 この世界は、自分に都合よくできていると、思っている人がいて。

 思い通りになるのだから。

 木に何もしなくても、火が付くハズだ。

 この世は、自分に、都合よくできているのだから。

 今すぐに、火で暖まれないのは、オカシイ。

 って思うと、魔力を使って本当に、火をつけちゃうってこと?」


 ルインは、驚いた顔をして、琴誇に拍手を送る。


「そうよ。琴誇の言う通りよ。何一つ間違っていない。

 魔術は、全て、そういうものよ。

 よく説明できすぎてて、驚いたわ」


 誰でも口にする、常識という言葉がある。


 だが、常識なんて言うものは、人それぞれだ。

 生活環境や仕事。

 趣味などで、変わってしまう。

社会で言われる常識とは。

 揺らぎやすい社会通念上のラインから考えた、常識でしかない。


 ペットボトル飲料を飲むとき。

 キャップを開けっ放しにする人と、いちいち閉める人が、いるとする。


 キャップを開けっ放しで飲む人を。

 キャップをいちいち閉める人が、見たとき。

 どう思うか。


 気になってしまい。

 キャップを閉めろと、思うのは、難しくない話だ。


 魔術とは。

 キャップを閉めるという常識を、魔力で実現する力だ。


 つまり、キャップを、いちいち閉める人が、魔力を持っていた場合。

 ペットボトルのキャップが、いちいち閉まる魔法が、使えるのだ。


「だから、魔術は、スゴく曖昧で、扱いづらいモノでもあるの」


 つまり、キャップを閉めるのが、普通だと思えなければ。

 魔術を、使うことがデキない。


 それは違うと、思えてしまった時点で。

 違うと思ったモノ、全ては。

 魔術で行うことがデキない。


ナニもないのに、火がつかないと思ったら。

 火の魔術は、全て使えないのだ。


魔術師なるためには。

 天性の魔力と、思い込めるバックグラウンドが、必要になってしまうのだ。


 魔術師の誰もが。

 魔術師同士の魔術を扱うことがデキるが。

 この魔術独特の性質が、大概の可能性を否定してしまう。


 思い込めたとしても。

 天性の魔力量を、必要なだけ持っていなければ、発動しない。


 逆を言えば。

 思い込んで、必要な魔力量があれば、何でもできる。


 思い込みと、魔力量が。

 魔術最大のネックであり。

 魔術の醍醐味であり。

 魔術というモノなのだ。


現代科学知識を彼らに与えれば、猛毒になるだろう。


「スゴく、才能が、表に出やすい技術なんだね?」


「面白い!」「続きを読みたい!」など。

少しでも、思った方は。

ぜひ、ブックマーク、いいね よろしくお願いします。


それだけで、皆様が思われている以上に

モチベーションが上がります。


お読みの上で、何かお気づきの点や、ご意見ございましたら遠慮なく


ツイッター @chicken_siguma

URL  twitter/chicken_siguma にて、DM または


chickenσ 公式ライン @729qbrtb

QRコード http://lin.ee/iH8IzAx にて 承っておりますので。


今後とも、長いお付き合いよろしくお願い致します。

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