第71話 フィニルド家現当主:ランベル
今回、次話の入りの都合により短いです。
m(_ _)m
───────────────
現フィニルド家当主、ランベル・フィニルド。
これはリアリスにも言えたことだが、まず全く悪魔に見えない。
見た目は普通のお父さんだ。
それもかっこいいタイプの。
所謂イケメンパパってやつだね。
でも、『目』だけは明らかに普通ではなかった。
どうやら上手く偽装しているようだけど、若干ながら魔力の揺らぎを感じる。
おそらく、類稀な天賦の才とも言われている『魔眼』だろう。
魔眼の効果は分からないけど、今現在私の身に何も異変が起きてないから、表面上に効果が現れるものではないと思う。
そして、目と言っても、目付きもこれまた特別なものだった。
物事を見定める目線。
その目線には知性と狡猾さが滲み出ている。
まだ、魔力も格別した質と量を誇っている。
何もかもに於いても異常。
それが、私がランベルに抱いた第一印象だった。
「お初にお目にかかります、ランベル様。
私はリーンと申します。
我が主であるフォイルのメイドをしております。
此度は私たちを邸宅にお招き頂き誠にありがとうございます」
一応相手は悪魔の家系の当主。
言わば貴族のような立場だ。
種族は違えど敬意を払うべきだし、変に舐めた態度を取って敵対されても困るから、形式上、貴族の礼をとっておく。
いくらこちら側が客人と言えどね。
「リーンさんと言いましたか?
別にわざわざそんな固い態度を取らなくてもいいですよ。
そもそも、屋敷に招いたのは私の方だ。
わざわざ来て頂いたお客様にそこまで気を遣わせるつもりはありませんよ」
と言ってニコリと微笑む。
なるほど、イケメンだ。
まぁ、こっちの方がありがたい。
「それは有難い、俺も貴族の礼儀は堅苦しくて性にあわないからな」
一応あんたも貴族でしょうが.....。
「さっきリーンから紹介があった通り、主人のフォイルだ。よろしく」
フォイルがすっとランベルに手を差し出す。
ランベルも手を出し、握手を交わす。
偉そう、と言うかどこか品が滲み出てるのが変にムカつく。
貴族の礼儀とかめんどくさいから、騎士団に入って、そんで騎士団長の座まで上り詰めた奴のくせに。
そして、フォイルに倣うように、シリカちゃんとハヤトが挨拶を済ませていく。
「わ、私はシリカって言います!!」
はい。可愛い。
ランベルさんもにこやかな表情浮かべとるて。
「ハヤトです。よろしくお願いします」
ハヤトはなんか淡々とした感じね。
まぁ、緊張してるのかもしれないけど。
各々が挨拶を済まし、向こうさん側の紹介が終わったところで、ランベルさんが口を開いた。
「さて、では本題に入ろう」
「今回、わざわざ来て頂いた訳は娘から聞いていると思うのだが、皆さんには私達のことを助けて頂きたい」
何回聞いても変な話だ。
大昔での大戦では、人間と契約を結んでも他の魔族を黙認させる程の権力を持っていた家計が魔族ではなく、人間である私たちにこうお願いしてくるとはね。
「その.....何故、我々に助けを求めるのですか?
フィニルド家ほどの名家が、我々に助けを求めるほど.....言い方は悪いですが落ちぶれているとでも言うのですか?」
フォイルが改まった口調で問う。
「そうだな.....人間界に伝わる我々の話は幾分と昔すぎる。ならば、皆さんに頼らねばならないこの現状に陥った経緯を話さねばなりませんな」
そう言ってランベルはゆったりと話し始めた。




