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メイドちゃん、冒険者始めました!!~スキル≪生活魔法≫も極めたら存外最強!?~  作者: こんぶもずく
第3章 異世界との出会いは突然に
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第62話 最悪の目覚め

 夢を見た……。

 以前、スキルが進化した時とは違って、起きてからも内容をはっきり覚えているほど衝撃的な夢。

「はぁ…はぁ……なに…?今の」


 起きた時──もちろん≪目覚まし≫は鳴ってない状態で──全身汗びっしょりで、鼓動は高鳴り、息は上がっていた。


 そんな夢の内容はこうだ───


 場所はおそらく戦場だろう。

 私の周囲は重装備に身を包む騎士たち。

 その全員が《《私たち》》に剣を向けていた。


 ここで、さっき言ったことを訂正しないといけない。

 夢の内容をはっきり覚えている、と言ったけれど、私と共に剣を向けられていた人物。

 それだけが靄がかかっているように思い出せないのだ。


 んー、と思い出そうとしてもダメ。


 まぁ、続きを話すとしよう。


 それで、私は身を【戦乙女(ヴァルキリ】ー)で包み、手にはルキア。

 しかし、それでいて私の身はボロボロだった。

 それは、隣に立つ何者かも同様で…。

 というより、むしろその人の方が酷いまであった。


 そのまま膠着状態が続いていた…が、すぐに崩れることとなった。


「くっ……」

 隣の人が遂にダメージで膝を着いたのだ。

 それを待っていたと言わんばかりに突撃してくる兵士たち。


 私はスキルの力を最大限に引き出しつつ、彼のカバーに回る。


 彼……?

 そうだ。

 隣にいたのは男性…だったはず。


 そして、その彼も懸命に体を動かし、防御を重ねる。


 しかし、その時は来てしまった。


 私の目に映るは彼の腹に深々と突き刺さる剣。


 傷口と口の端から血を流し、地面に倒れる彼の姿。



 そこから急に場面は切り替わり、戦場にポツリと1人立ち竦む私の姿。

 その姿は血に濡れた鬼。

 返り血で全身を濡らし、髪の先からは滴っていた。

 そんな私の足下には冷たくなった彼の亡骸。


 そこで、目が覚めた。


 ───これが今朝見た夢の内容。



「どうよ、これ。マジで最悪の目覚めなんだけど」

 場所は私とシリカちゃんの家。

 いつもの様にフォイルを招き、朝食をとっていた。

 ハヤトとシリカちゃんは2人でダンジョンへ出かけた。

 今はフォイルと2人で食べてるのである。


 それで、私の今日見た夢の内容を話してたわけ。

 語り手口調でね。


「へぇ、疲れてんじゃねーのか?」

「それに…お前の周りの男って言ったら、俺かハヤトぐらいだぜ?そんな簡単に死ぬと思うか?」


 そう言われたらそうなんだけどね……?


「まぁ、そこまでガチで捉えてる訳じゃないけどね?妙にリアルだったもんだからさぁ……」


 そこなんだよねー。

 そのせいで記憶に尚のこと残るっていうか。


「んで、そこにシリカやハヤトはいたのか?」


「それがね、思い返してみても居なかったと思うんだよね」


「なら、そこまで気に病む必要は無いんじゃねーのか?パーティーだし、お前とシリカが離れて行動するとは考えにくいし」


 確かにそうだ。

 私たちはパーティーだから基本的に一緒に行動するだろう。

 戦争となれば尚更だ。


 まぁ、別れざるを得なかったというのも考えられるけど。


 ま、所詮は夢。

 そこら辺は考えたところで仕方がないかぁ。


「まぁ、そだね。これ以上考えるのもあれだし。忘れるかぁ」


「ん、そうした方がいいと思うぞ」



 気を取り直して、フォイルに今日の予定について聞いてみる。

「んで、今日はこの後どーすんの?」


 フォイルはトーストを飲み込み、口を開く。


「今日は、俺も非番だからハヤト達を拾って、ダンジョン攻略だな」


 騎士団長が非番ねぇ……。

 そりゃ休みもあるだろうけど、こいつポンポン休んでる気がするけど大丈夫なのか、騎士団よ。


「ほーん。どっか行くとこは?目星付いてんの?」


 そう私が聞くと、『よくぞ聞いてくれました!』と言わんばかりの勢いで言い始めた。


「今日行くダンジョンはなんと!《《未踏破のA級ダンジョン》》だ!!!」


 うへぇ、聞くんじゃなかったぜ…。

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