第58話 感想戦
私とフォイルの戦いに決着がついた時、聖結界が解除され、中からハヤトとシリカちゃんが出てきた。
「ねぇねぇリーンちゃん凄い!!騎士団長のフォイルさんに勝っちゃうなんて!!」
それにね、それにねとなにか凄いものを見た小さい子供のようにはしゃぐシリカちゃん。
可愛い。
シリカちゃんの後ろのハヤトも『あぁ、可愛い』と言わんばかりの満面の笑み。
あの野郎出会ってまだ2日のシリカちゃんを狙ってやがるぜ。
ま、いいか。
今抱き着かれてるの私だし。
それにハヤトなら任せられるし。
ちょっと頼りないけど。
ってなに?親目線?!
少しムカついたからハヤトにどや顔しておく。
んー良い顔するね~。
「凄かったよ、リーン。まさかメイドなのにあそこまで強いとは思わなかったよ」
と、ハヤト。
先ほどまでの良い表情はどこへやら。
「まぁね、私はスキルが特殊だから」
「それは見たらわかるけどね……」
何を今更みたいな顔やめてもらえます?
「私のスキルが≪生活魔法≫なのは知ってるよね?」
「うん、それは聞いたね」
「んで、スキルには熟練度があるんだけど、それを限界にまで上げて稀に起こるのがスキル進化。んで、私は未だスキル進化者の出ていない≪生活魔法≫を進化させたってわけ」
「えぇ……なにそれすげぇ」
純粋に凄いって気持ちが伝わってくる。
「それで、進化したことによってどう変わったの?」
「えっと、それはまず名前が≪生活スキル:カスタム≫になった。んで、スキルの中の権能一つ一つに【カスタムメニュー】が追加されたんだよね」
「その【カスタムメニュー】っていうのは?」
「んーー説明難しいなぁ……。簡単に?言うと『スキルの権能の拡大解釈が可能になる』かなぁ。例えば刃物。これはその名の通り、包丁を作り出すスキルだったの、元は。今は包丁=刃物と捉えて、様々な『刃物』を生み出せるようになったんだよね」
「例えば、【鉄剣】とか、【聖剣】もこれに含まれるかな」
そう私は説明しながら左手に鉄剣、右手に聖剣を生み出す。
「ほうほうなるほど……刃物刃物……ミスリル剣とか魔剣とかも出せるの?」
「そうそうそゆこと。でもそれはまだスキルの熟練度なのか、条件なのかが満たされてなくて使えないんだけどね」
聖剣はロックが解除されたけどミスリル剣の表示と、伏字二つはまだlockのマークがついたまま。
まぁ、伏字の二つは何となく予想付くけどね。
だって伏字のうちの一つが【聖剣】だったからねぇ。
ま、あの二つが来るでしょうね、ほぼ間違いなく。
それで他には……とハヤトに説明していく。
途中から近くで話していたフォイルとシリカちゃんもやってきて、私の能力把握会のようになった。
そして、フォイルの放った何気ない一言がまた大きな驚きを呼び寄せる種となる。
「そういやハヤトのスキルってなんなんだ?あと称号とか」
それを聞かれたハヤトは困った表情を浮かべる。
「やっぱ言わなきゃダメ?それ」
「んーまぁいいか……言うよ」
それから私たちは驚きっぱなしになることになる。




