第55話 騎士団長VSメイド─2 のんびり
私が高速飛翔を始める幾瞬か前。
私の頭に鳴り響いた福音は、<世界の声>だった。
そうあれね、レベルアップとか、スキル取ったよーとか、称号ゲットしたよーとか知らせてくれるやつね。
それが欠片に迫られヤバかった私の頭に鳴り響いたわけですよ。
そこからはマジで私の理解できる領域じゃなかったよね。
<世界の声>の最初の一音が鳴るか鳴らないかぐらいに周りの世界がぐっと減速してほとんど時間が止まったかのようになったんだよね。
『熟練度が一定に達しました。』
『スキル≪高速飛翔≫Lv.1、スキル≪飛行補助≫Lv.1、スキル≪風魔法:風切≫を会得しました』
おぉ、新しいスキルじゃん!
字面的に飛ぶ事に関するスキルだね。
詳しく情報を見よう!
【検索】様~。
……ふむふむ。
ま、大体予想通りかな。
≪高速飛翔≫はその名の通り速く飛ぶためのスキル。
≪飛行補助≫は方向転換や空中での姿勢制御、ブレーキやブーストを補助してくれるスキル。
≪風魔法:風切≫は自分が飛びたい方向に風で障壁を作って空気抵抗を減らしてくれるスキルらしい。
これによって空中で鳥とぶつかる事故も防げるんだとか。
ほへーって感じ。
てか、まだ周りの景色ゆっくりなんだけど。
まだ何かあったりして……?
『条件を満たしました』
うおぅ?!あったよ!ほんとに!!
『飛行系のスキルを確認……天使系スキル確認……』
『称号【天使】を獲得しました。』
『【天使】の効果としては……』
ふむふむなるほど。
【天使】は飛行能力の向上。対魔物戦の際自身のステータスに+50%のバフ(数値は【天使】の称号レベル依存)。アンデッド特効を得られる称号と。
もうこれ私に空中戦で勝てる相手いないのでは?!
あ……ドラゴンパイセンがいますね、すいません。
前に読んだ資料では魔法ぶっぱしながらクソ速い速度で飛び回る災害。これがドラゴンらしい。
いや、純粋に考えて勝てないよね。
てかまだこの思考加速状態?みたいなの終わらないんだけど。
かれこれ私の体感では10分ぐらい経ってると思うんだけど。
あ、でも私は普通に動けてるから思考加速じゃないか。
ただ単に時間が遅くなってる?
んーわからん。
難しいこと考えるのはやめよう。
今はこのチャンスを活かして飛ぶ練習でもしてようかな~。
──────数十分後。
「ふぅ、飛ぶのにも慣れてきたぜ」
「おーい、もしもーし。そろそろいいですよ~」
といるかもわからない相手に呼び掛けてみる。
これぐらいしか元の時間の流れに戻れる可能性ないんだもん。
自力で出来たらとっくに戦いで使ってるし。
とかなんて思ってたら空中に『10』って数字が表れてそれが9、8と順に減っていくようになった。
なるほどね、戻るまでのカウントダウンねと理解して、私はスキル発動の準備を進める。
────『0』。
私は時間の流れが元に戻るのを感じつつスキルを発動。
「【加速】!!」
ぐいーっと周りの景色が後ろへ引き延ばされる。
当たり前のように会得したスキルは≪生活魔法≫に統合されていて、当たり前のようにカスタムメニューも用意されていた。
わお、便利ー。
この【加速】の効果時間こそ短いけれどバカみたいに早くなるから一瞬にしてフォイルとの距離ができた。
フォイルも、観戦のハヤトも、そしていつの間にか来ていたシリカちゃんも唖然としている。
そりゃそうか。
あんだけの速さでいきなり飛んだら消えたように目に映るわな。
うんうん。
ふぅ、と息を整えフォイルの方を向く。
それに気づいたのかフォイルは驚いた顔をしつつも剣を構える。
さてさて、反撃と行きましょうか……!!




