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メイドちゃん、冒険者始めました!!~スキル≪生活魔法≫も極めたら存外最強!?~  作者: こんぶもずく
第3章 異世界との出会いは突然に
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第53話 属性(以下略)─6 再び

「人の事をチートチートうるさいなぁ」

 化物呼ばわりにチートって人のことを一体何だと思っているのか。


「いやだって、騎士団長の俺でさえそいつ……『フレンズ』はお前ほど光り輝かねーんだぜ?」


「いやいや、そんな私に勝ったの誰ですかー?」

 そうなんだよ、こいつ私に勝ったくせしてこんなこと言うからちょっとムカつく。


「それは俺だけどな?騎士団長としての戦闘経験だとか技術、あとは勘なんかもあるからな。」

 などと溢す。


「今、この1ヶ月で実力をつけてるお前に勝てるかどうかって言ったら微妙だな。なんせ前ですらかなりギリギリだったんだぞ?」

 とも言った。


「ふーん、なるほど?経験の差ねぇ……」

 確かにあの頃はマジで冒険者デビューして3日?とかそこらだったし経験の差とういうのも大きかった。

 でも今はフォイルいわく実力をつけてきているとのこと。

 なら……と、こんな提案をしてみる。


「ねぇ、フォイル。私ともう一度戦わない?」


 その提案にため息をつきながらもフォイルは答えた。

「はぁ、そういわれると思ったよ。お前は戦うことが好きだもんな?リーン。いいよ、やってやろうじゃねぇか」


 戦うことが好きってねぇ……返事しながら好戦的に笑ってる人が言うことじゃないと思うんだけどなぁ。


 でも、私も自分で口元に笑みを浮かべていることを自覚していた。


「ハヤト、念のために離れておいて。危険かもしれないから」


「それと、フォイル。ハヤトに聖結界をお願いできる?」

 これも念のため。


「えーあれ結構維持するのに魔力食うんだけど。魔力量はリーンのほうが多いんだし、リーン頼むわ」

 と、文句を言ってきた。


「はぁ……」

 私はそう言いつつも自分でハヤトに聖結界を張る。


 パチンッ!!

 私が指を鳴らすのと同時にハヤトの周囲に結界が展開される。

 さぁ、これで準備はできた。



「よし、始めましょうか、フォイル」


「あぁ、そうだなリーン」


 両者は不敵な笑みを浮かべて向かい合う。


「神域装備【戦乙女(ヴァルキリー)】!!」


 私を黄金のベールが包み、それが晴れると眩い純白の戦闘衣装が姿を現す。

 そして、手には暖かく優しい感触、聖剣が握られる。


「衣装もだいぶ綺麗になったなぁ……」

 最初に使った頃よりも刺繍が入ったり綺麗になっている。

 最近の冒険では使っていなかったから、その内に少し成長したみたい。


「それに、お前も元気だったか?」

 そう聖剣に呼びかける。

 聖剣は私の言葉を受けて、溢れ出す聖のオーラを増すことで応えてくれた。


 よしよし、と聖剣を撫でる。

 そこで私は思いついたことを実行してみた。

「私、君に名前をつけようと思うんだ。『ルキア』なんてどうだい?」


 !!

 聖剣『ルキア』がこの世に誕生した瞬間だった。


『ありがとうございますご主人様。ルキア……なんという素晴らしい名前でしょう!!ワタクシ、ルキアは一生涯ご主人様に仕えると誓います』


 と、ルキアが思念で私に呼び掛けてきた。

「そんなに固くならなくていいよ?これからもよろしくね!」


『はい!!!』


 その一部始終を見ていたフォイルは自身も神域装備を解放し、黄金の鎧に身を包み、わなわなと震え、こう言った。

「お前、今その聖剣に名前を付けたのか?」


「うん。そうだけど?『ルキア』っていうんだ」


「馬鹿なのか?聖剣や魔剣に名をつける行為は、最悪魔力を全部持っていかれて死ぬこともあるんだぞ?」

「名付ける場合は国を挙げて100人の魔導士の魔力をかき集めて行うようなものなんだぞ!?」

「なのに、それをお前は一人で……」


 へぇ、そうだったんだ。

「ま、こうやって生きてるし、魔力も余裕あるし大丈夫じゃない?」

「それに、ルキアも『ご主人様の命を取ったら神に(めっ!)させられますよ……。ご主人様の魔力量は多すぎて無くなる気もしませんけれどね』って言ってるし」

 うんうん。ルキアがこう言うなら大丈夫だよね。


「はぁ、お前といると退屈しねぇな……驚きすぎて」

 そう言ってフォイルは構える。


「どーせ、今も思ってるんでしょ?お前は化け物だって」

 そう返しながらも私も構える。


「あぁ、そう思わなかった日はないよ」



「えー……。まぁ、いいか。始めよう」

 その私の言葉を皮切りに戦いが始まるのだった。

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