第48話 属性測定のお時間です─1
「さて、朝食も済ませたことだし、ハヤトそろそろやろうか」
お、ついに来ましたな。騎士団長様直々の戦闘試験。
向かいのハヤトはごくりとつばを飲み込んで頷く。
「ハヤト、そこまで気を張らずにリラックスね」
私は背中をポンポン叩く。
「そうだよ、ハヤト!落ち着いて頑張れ!」
隣でシリカちゃんも応援の声をかける。
「じゃ、行こうか」
フォイルのその声でみんなは【異空間家屋】から出て『スライムの草原』にやって来ていた。ここは広いし、敵といったらスライムぐらいしかいないので試験をするにはうってつけなのである。
ちなみにシリカちゃんは受付の仕事があるので、泣く泣くギルドへ向かった。
「じゃあ、まずは魔力の方を見ようか」
そう言ってフォイルは何か色のついた石を【異空間収納】から取り出した。
あいつ【異空間収納】使えたんだ……。
「フォイル、それって魔石?」
「そうだよ。よく知ってるね……ってそうか、魔族と戦った時に周りのモンスター狩って馬鹿みたいに落ちるのを見たのか」
言い方気になるけど、その通り。
「そうそう。んで、それ色付きってことは属性があるってこと?」
「その通り。赤が火、青が水、緑が風、黄色が土、白が光、紫が闇、金が聖。こんな感じかな」
火、水、風、土の基本4属性に加えて光、闇の上位2属性。
そして聖の特殊属性。
これが一般的に知られている7属性。
実は知られていないけど、これに加え魔属性なんかもある。
主に魔族が使用する属性で、7属性に付与する形で使うらしい。
火属性と組み合わせて『魔炎』とかね。
ま、これ全部検索様情報なんですけどねー。
こんなこと考えてる間にフォイルは次の段階に進んでいた。
「じゃあ、ハヤト、これを持って魔力を流してみて」
と、ハヤトに赤い魔石を渡す。
「はい、やってみます」
そう言ってハヤトはぐっと、手に力を込めた。
すると──────ボッ!!と手から火が立ち、一瞬の間に高い火柱となった。
「わぁっ!?」
ハヤトが驚いて魔石を手から離す。
魔石はそのままポトリと地面に落ちて数秒間周りの草を焼いた後、鎮まった。
「あーあ。草が焼けちゃってるじゃん」
私はそう言いながら魔石を拾い、スキルで生み出した【HPポーション】を周りの焼かれた草に振りかける。
すると、すぐに元通りになった。
「フォイル、私もやっていい?やったことないんだよねー」
「どうぞ。気を付けてやれよ?いやな予感がするから」
割とガチトーンで注意された。
解せぬ。
人をなんだと思ってるのかね。
バケモノみたいに言いやがってさぁ。
と、ブツブツ言いながら私は魔石に魔力を通す。
すると───初手、手から火柱。次の瞬間、体全体を包み、空まで届くような炎の柱へと成長した。
!?
私は急いで魔力供給をストップ。
そして周囲を確認。
フォイルたちは……フォイルの張った聖結界に守られて無事だった。
私の足元はというと、見事に燃やし尽くされ、高温のためか所々ガラス化していた。
あちゃぁ、やっちまったな、これ。




