第47話 賑やかな朝
次の日の朝、私はいつも通り、≪目覚まし≫によって起き、朝食を作っていた。
「うん、今日もいい感じ。流石≪料理≫様だね」
もちろん料理の技術はいるけれど、このスキルが補助してくれるのもあってとても美味しそうな朝食が5人分完成した。
私は家に備え付けられている『内線念話』を使って向かいの家にいるフォイル、セバスチャン、ハヤトをこっちの家に呼ぶ。
「もしもーし、朝食出来たよ~」
私が呼びかけると、
「あーい。了解。着替えを済ませたらそっちに向かうよ」
と、フォイルから返ってきた。
それを聞いて私は寝室で寝ているシリカちゃんを起こしに行く。
「はーい、シリカちゃん起きて~」
寝顔が可愛いから起こしたくないんだけどね!
でも、可愛い寝顔を男どもに見られるのは嫌だから起こすのである。致し方なし。
「むにゃ……んあれ、りーんちゃん?おはよぉ……まだ一緒に寝てよ?」
……………………ハッ!!
あぶねぇ、可愛さで完全に思考がショートしてたぜ。シリカ、恐ろしい子!!
私は心の奥底から湧き出る『はい!寝ますぅぅぅぅ!!』と言いたい衝動を必死に抑え、心を鬼にしてシリカちゃんを起こし続ける。
「シリカちゃん起きて!もう朝ごはん出来てるし、それにあと数分もすればフォイルたちも来るから」
「…………リーンちゃん、それ、ほんと?」
私の言葉を聞いてがばっ!と勢いよく起きたシリカちゃんに尋ねられた。
「うん、ほんと。さっき連絡したからマジであと数分で来ると思うよ」
それを聞いたシリカちゃんに助けを求める顔で
「リーンちゃん、へるぷ……」
いおっしゃ、やってやりますかぁ!!!
─────数分後。
「おはよう、リーン、シリカちゃん」
玄関でフォイルたちを迎えるのは、もはや普段着となったメイド服の私と、私が色々手助けして完全体となったシリカちゃん。
いやぁ、シリカちゃん可愛いわ。
最近髪を切って肩ぐらいのショートにしたんだけど、少し櫛を通して、内側にくるんとしてあげるだけでもう可愛い。
そんな可愛いシリカちゃんにハヤトは目が釘付けですよ。
でもな、ガン見し過ぎ。
「ハヤトくーん?見すぎ。シリカちゃん困ってるでしょ」
「あ、ごめん。昨日と違くて……その、可愛くてつい」
ちょっと照れながら言うのやめてもらえます?
「シリカちゃんはいつも可愛いだろ。昨日も今日も」
そう言いながらシリカちゃんの背中を押してダイニングに向かおうとして気付いた。
おやぁ?
シリカちゃん、顔赤くないっすかー?
え、まじ?
嘘だろ、おい。
あんた受付してたんなら言われ慣れてるんじゃないの?
いいのか?
こんなぽっと出の奴にそんな反応しちゃってさぁ?
いや、待てよ。
シリカちゃんはギルド内でも高嶺の花的存在!
なら、簡単に近づく者を荒くれ者集団の冒険者が許すはずない。
つまり、そう言われ慣れてない?
なら、この反応も頷ける。
ま、ハヤトはイケメンだしなぁ。
しょうがない。
でもその反応は解せぬ。
「ほら、あんたたちもはやく上がって朝ごはんにしよ」
そう言って全員をダイニングへ通す。
料理様で作った料理は普通のものよりも冷めにくいのでほぼ出来立ての状態を保っていた。
「さぁ、食べようか」
フォイルがみんなに呼びかける。
「「「いただきます」」」
5人分の声がダイニングに響いた。




