第41話 特別って、なんだ?
学校が終わって家に帰り俺は自室へと向かう。
「隼斗ー?帰ったの??」
階段を上がる途中下から母の声が。
「おー帰ったよー、んで今からゲーム」
「ちゃんと勉強もしなさいよ」
「はいほーい」
少し駆け足で自室へと向かう。
なんてったって今日はずっと楽しみにしてきたゲームの正式リリース日なのだから。
フルダイブ型のMMORPG『SKILL・MAGIC・ONLINE』、通称『SMO』は最近流行りの全感覚没入型MMORPGで、今日の17時が正式リリースとなっているゲームだ。
このゲームの魅力と言ったら、幾数千のスキルに、自作可能な魔法の数々。そして、豊富なジョブ。
それだけでなく、広大なフィールドにユニークなモンスター、多種多様なクエストもこのゲームの魅力の1つだろう。
そんなのやるしかないじゃないか。
ゲーマーとしてやらないわけにはいかない。
俺は予め充電を済ませておいた頭部に装着するヘッドギアを手に取り、ベッドへ。
そして、ヘッドギアを頭に被り、横になる。
「ダイブスタートッ!!」
目の前が白く染まり、俺の意識は一旦途絶える。
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目が覚めるとそこは草原地帯。
草の青い匂いを孕んだ風が俺の頬を撫でる。
「おぉ…すんげぇリアルだな…」
「ここが、スタート地点ってことになんのか?街じゃなくて草原スタートっつーのもまぁ、いいもんだな」
俺はとりあえず、遠くに見える街へ向かうことにした。
その道中頭の中に無機質なシステム音が流れてきた。
『ようこそ、SMOの世界へ。』
『あなたは45人の特別なプレイヤーに選ばれました。』
『ここはその選ばれた方々専用の特別な別マップです。ただし、地名などは変わっておりません。存分にお楽しみください。』
それからこの世界のおおまかな設定、その他もろもろのシステム操作の仕方をその声は教えてくれた。
「へぇ、特別なプレイヤーか。ラッキ~」
どうやらここは特別なマップで、45人以外のプレイヤーは同じ地形、同じ地名の別マップにいるらしい。
「なぁ、俺、友達とマルチする約束してたんだけど、どうしたらいいんだー??」
プツン。という音を残し、システム音はそれ以降一切聞こえることは無かった。
「は??無視かよ……」
それから数十分。
俺は歩いてやっとのことで街にたどり着いた。
「おぉ、こう見るとゲームって感じがするな……」
街は見事なまでの中世っぷり。
街をぐるりと囲む高い外壁はラノベやゲームに出てくるイメージそのまんまだ。
「すいませーん、街ってこれ入ってもいいんですか?」
街に入ろうとして、通行証が無く、衛兵にとらえられるというベタな展開を避けるためにも聞いておかないとな。
『******?***!******』
んなっ……言葉が分からない??
ゲーム開始時に日本語選択したはずだろ?!
そういや、今更だけど、キャラメイクも無かった。
こんな色々な髪色があるなかで誰一人としていない黒髪は流石に目立つだろ。
ったくマジで、特別ってなんなんだよ……これはあんまりだろ。




