第40話 なにか、勘違い
「異世界から来たってマジ?」
シリカちゃんと顔を見合わせ、再度ハヤト君を見る。
確かに、彼はここでは見たことのない黒髪黒目だし、私にしかわからない言葉を話してる。
でも、異世界人って勇者召喚で呼び出される勇者様だけどばかり思ってたけど違うのかな?
「うん、マジだよ。」
ステータスウィンドウをいじりながら彼は答える。
「っと、これかな……」
どうやら何かを見つけたらしい。
「あー、あー。これでどうかな?隣のお姉さんもわかる?」
私には違いが分からない。
「どうなの?シリカちゃん。何か変わった?」
「うんうん!ハヤト君の言葉が分かるようになったんだ!!」
ほぉ、なるほど。
「ハヤト君、何か言語系のスキルを取ったの?」
スキルは一応スキルポイントで取得することが出来る。
と言っても、全スキルの中のほんの一部がスキルリストに挙げられ、その中のスキルに限る。だけどね。
リストにあるスキルは人によるらしいけどね。
稀に超レアスキルが混じってることもあるらしいけど、それを取得するにはバカみたいな量のSPが必要になるらしい。
「うんそうだよ。≪万能言語≫ってスキルを取ったんだ。どんな種族とでも言葉を交わせるってスキルらしいね」
今回はそのレアケースみたいだ。
≪万能言語≫。これは言語系のスキルの中で最上位に位置するスキルだったはずだ。
んーどんだけ引きが強いんだ、この子は。
それとも異世界人やからなんかなぁ?
「どうなってんだ……日本語を選択したはず……初期でスキル取得必須とか……クソg……」
ハヤト君がぶつぶつ言っているけど、よく聞き取れなかった。
「あ、そういえばお姉さんたちの名前教えてもらってもいいですか?」
あ、聞いといて忘れてた。
「私はリーン。見ての通りメイド。んで、冒険者もやってるよ、よろしく」
「私はシリカ!冒険者しつつ、ギルドの受付もしてます!よろしくね~」
「えっと、リーンさんに、シリカさんですね。よろしくおねがいします!」
「それで、お二人はこの世界の方なんですか?」
「うん。まだ異世界とかよくわからないけど多分そういうことになるのかな」
「だよね?」
「たぶんね?」
シリカちゃんもよくわかんないって顔。
すると、ハヤト君はまた一人で何か考え始めた。
「この世界の住人……NPC……出来すぎてる……定型文での会話もなし……AI?……いくら最新……MMOだとしても……リアル?いやまさか」
「なぁ、ここの地名ってわかるか?」
と、いきなり場所を尋ねられた。
ま、異世界から来たんだし町の名前を知らないのも当然か。
「ここはライネス王国。ウィアルス領だよ」
町の名前を聞いてハヤト君は顔を真っ青にする。
「そんな領地の名前は聞いたことがない……」
「運営が変更した?いや、俺がログインするまで変更点はなかったはずだ!!」
「となると……」
「もしかして、ここは本当に異世界なのか?!ゲームではなくマジモンの!!」




