第32話 説明を、しよう
私、《《リーン》》が二つ名に衝撃を覚えつつ、ギルドを出ると、そこにフォイルが待っていた。
「あ、リーンここに居たんだね。さっきまでベッドに居たのにいなくなってたから探してたんだ」
さっき?あれ、フォイル来てたっけ?
「さっきって、フォイル来てたの?」
「来てたって言うか話したじゃん?」
「え、マジで?」
「うん、マジで」
変な空気が流れる。
「まじかー変な事言ってなかった?」
「大丈夫だったと思うよ?元気ない感じだったけど」
「そか、良かった~」
変な事言ってなくて本当に良かった。
「ま、それは置いといて、話そうか、リーン」
そう言って歩き出すフォイル。
そして屋敷につくといつものダイニングテーブルにつく。
「ギルド職員から聞いたけど、リーンの口から直接聞きたいと思ってね」
「絶対スキルも関わってるだろ?」
そして、話す。
冒険者生活2日目にしての熾烈な戦闘を。
「じゃあ、まずは────
───────────────って感じかな」
今回の事の顛末を話した。
シリカちゃんとダンジョンに潜っていたらルアという子が現れ、魔族化したこと。
そして、シリカちゃんが伸され、私一人で戦ったこと。
聖剣と神装のこと。
結果的に魔族──ガリアを倒すきっかけになった神域装備戦乙女のことも。
「んー……。大体分かった」
「今さ、出来る?その戦乙女ってやつ」
どうなんだろあの時は戦闘に集中してたし、ゾーンに入った状態みたいな?
「一応やってみるけど、出来るか分からないよ?」
────戦乙女!
『ただいまこの権能はロックされております』
「あ、ダメっぽいわ」
あの時だけ出来たのか。
文字通りリミッターが外れてたんだね、うん。
「あ、そっかー。見てみたかったんだけどね」
「ま、いつか見れるよね、多分」
「いつか?なんで?私ここ辞めるけど」
何言ってんの?
病み上がり?の人に頭痛くなるようなこと言わんといて欲しいわ。
「あ、ごめん。言うの忘れてたんだけど、俺も冒険者になることにしたんだ」
さも当たり前のような顔で言い放つフォイル。
「え?マジで言ってんの?」
マジだったらヤバくない?
「マジだよ?もう親父にも許可取ったし」
フォイルのお父さん。つまりは《《現ウィアルス領・領主》》の許可は出ていると。
「なんで?なんで領主の息子がいきなりで許可が出るわけ??」
んーと少し考え、フォイルは
「今回のリーンの魔族討伐の功績もあるけど、一番の理由は俺の職業にあるね」
「そういやあんたの職業知らないかも」
「だよね。俺の職業は王国直属騎士団【王室近衛団】の《《団長》》だよ」
と、驚きの一言を言い放ちやがった。
「は??」
もうこの国終わってんじゃねーの?




