第31話 本当に、良かった
俺、《《フォイル》》はギルドにつくとリーンがいるという治療室へと向かった。
「リーンっ!!平気なのか!?」
勢いよく病室へと転がり込むと、ベッドの上には横になるリーンが居た。
傷は塞がっているようだが、なんつーんだろうな元気がないって言うか。
そんな気がする。
「あはは、フォイルか。体に傷はないけどちょっと疲れちゃってね」
力なく笑う彼女。
今は休ませてあげようと思った。
何があったのかは後で本人に聞くか、ギルド職員にでも聞けばいい。
まぁ、スキルが絡んでるだろうから本人に聞くのが一番だろうけど。
「無事でよかった。魔族と殺り合ったって聞いたからすごく心配だったんだ」
悟らせるな。変に心配させないように。
俺の事を心配して彼女がゆっくり休めないようになってはダメだ。
「だから今はゆっくり休んで、また俺の屋敷に来てくれ」
病室を離れた俺はリーンが魔族と戦ったダンジョンへと向かった。
着いてみて驚いた。
ここは本当に洞窟の《《中》》だったのか……?
壁はもちろん、天井ですら大穴が空いていた。
そのため洞窟は露出していた。
その様はまるで絵画を切り取り、この世に具現化したかのような景色だった。
俺はそろりと中へと踏み込む。
中はあり得ない程に静まっていた。
「ここってダンジョン……なんだよな?」
「魔族と戦っている少女がいると報告を受けた冒険者が見に来た時にはこうだったらしいです」
「どうやら魔族を相手しつつ、周りのモンスターも狩っていたみたいで」
あり得ん事。ただの想像に聞こえるかもしれない。
スキル進化したリーンならワンチャンあるかもな……。
(でも、それにしてもこんな事ってあるのか??)
俺が景色以上に驚いたこと。
それは──────
「ここには魔素が《《全く》》ない」
スキル使用、魔法発動の際に使われる、魔力。
またその魔力の源となる粒子、魔素。
それがここには一切ないのだ。
つまりそれはスキル、魔法の多用。いや、乱用の証拠ともいえる。
大魔法の行使などで魔素濃度が低下することはある。
でも、すべてが無くなるなんてことは無い。
「あいつ、どんだけスキル使ったんだよ……」
「よく魔力切れで倒れなかったな」
「もしやスキルの権能の中にポーション製造でもあるのか?」
これも後で聞かないとな。
それだけ確認して俺はギルドへと戻った。
戻って病室を確認。
すやすやと寝息をたてるリーンが居た。
心なしか顔の血色もよくなった気がする。
あぁ、本当に良かった。
彼女が無事で。
また大事な人を亡くさずに済んだ。
もうあんな思いはしたくないからね。




