第26話 さらに、もう一歩先へ
シリカちゃんに魅力がない的な事をいいやがったコイツは許さない。
私はそう決めた。
魔族?
そんなの知らない。
恐れなんかない。
でも、冷静に行こう。
死んじゃったら意味ないからね。
「≪身体強化≫、≪五感強化≫」
そして、これに加え、先ほど追加されたスキルも自分にかけていく。
≪剣撃強化≫、≪打撃強化≫、≪俊敏≫、≪魔族特効≫、≪ド根性≫、≪魔力自動回復:中≫、≪疲労自動回復:小≫、≪知覚速度10倍≫など。
これらのスキルはついさっき魔族の野郎に喧嘩を売った時に手に入れたものだ。
『称号:魔族の敵対者を手に入れました』
『それに伴い、以下のスキルを生活魔法に追加します』
その声と共に追加されたのがさっき自分にかけたスキル、バフたちだ。
「うん、さっきより体が軽いね」
「さ、ぶっ殺してやるよ、魔族」
剝き出しの殺意を魔族へ向ける。
対する魔族は笑っていた。それも遊び相手を見つけた無邪気な子供の様に。
「あぁ、かかってこい、人間の小娘!」
「それと、殺し合う相手の名前ぐらい知っておかねぇとな、お前、名前は?」
「名前?私はメイドのリーン」
「で?お前は?」
「俺は、ガリアだ」
「ふーん、メイドか。是非とも我が屋敷に欲しいものだな!」
「誰がお前の所で働くか!バーカ」
そう言って私は聖剣を構える。
そこからは熾烈な戦いだった。
どこからでも爆発音が響き、空中で閃光が交差する。
もう私もガリアと何度空中で剣を交わしたか分からない。
わかることは一つ。
この魔族、ガリアがとてつもなく強いということ。
様々な強化を施した私の動きにも対応してくる。
それがどんな死角からであっても、だ。
それよりもヤバいのが≪魔族特効≫を用いた聖剣の攻撃で出来た傷でさえもたちまち治してしまう治癒力。
それが理由でどんな攻撃も決定打となっていないのが現状。
でも、私の攻撃は確実にガリアに効いてる。
だって、もうアイツの攻撃はさっきと比べて鋭さが失われ来てるし。
だが、一歩。あと一歩が足りない。
何か、何かあれば───
『≪身体強化≫がLv.10になりました』
『よって、≪神装強化≫が派生しました』
来た!
足りなかったあと一歩!!
私は迷いなく、その名を呼ぶ。
「≪神装強化≫ッ!!」
私の身体を黄金のベールが包む。
そして、それが晴れると、純白の戦闘衣装が。
≪神装強化≫と呼応するように、私の手に持っていた聖剣がより輝きを増した。
「な、なんだ、それは!!」
「何をしやがった、リーンッ!!」
ガリアが私の姿を見て叫ぶ。
そりゃそだろね。
私でも畏れるほどの神聖力。
それが物語ってる。
『これは普通じゃない』って。
そして、輝きを増した聖剣。
≪解析鑑定≫で見ると、どうやら≪神装強化≫と聖剣はセットで最大の効果を発揮するみたい。
そして、このセットにはある名前がついていた。
「ふーん、なかなかいい名前じゃん」
「神域装備【戦乙女】なんてさ」




