第21話 初めての、ダンジョン
パーティー登録がギルド本部に受理されるのに1日かかるらしく、次の日である今日、私はパーティーメンバーとなったシリカちゃんとギルドで説明を受けていた。
そして、正式にパーティーとなった私はシリカちゃんと一緒に受ける依頼を探す。
「どう?リーンちゃん、なにか良いのあった~?」
私は昨日見つけていた例のダンジョンの紙を見せる。
「初心者でも大丈夫、か。良いね!これにしよ!」
「ごめんね、シリカちゃんには物足りないかもだけど」
そうシリカちゃんのギルドランクはC。
そんなシリカちゃんがFランクのダンジョンに潜るとなれば物足りないだろう。
「んーん、そんなことないよ。私はリーンちゃんと一緒ならどこでも楽しいからね!」
……泣きそ。
それからカウンターで手続きをして、ダンジョン探索許可証とやらを貰って私たちはFランクダンジョン:『はじまりのダンジョン』へと向かった。
「ダンジョンってこんな感じなんだね」
ダンジョン。
原理は分かっていないが急に出現する洞窟。
そこには数々のモンスターが住み着いており、その住み着いているモンスターの強さによってランク分けされる。
ここ、『はじまりのダンジョン』は比較的弱いモンスターが住み着いているのでFランクダンジョンとなっている、らしい。
そしてその入り口を入ってすぐ、私は先に広がる景色に魅了された。
入口の大きさからは想像できないほどの広い空間。
所々で光る迷宮苔や夜光石。
そして、足元を流れるきれいな水。
それらすべてが相まって、ここがダンジョンだとは思えない風貌を成していた。
「うん、綺麗だよね~。私も初めてダンジョンに潜った時には驚いたんだ~」
やはり、誰しも一度は目を奪われるみたいだね。
「ギャ!!グギャギャ!!」
お、モンスターのお出ましだね。
≪解析鑑定≫!!
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ゴブリン(剣士) Lv.5
ゴブリン(タンク) Lv.6
ゴブリン(弓兵) Lv.4
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現れたのは3体のゴブリン。
メイドギルドの講習で一度ゴブリンとは戦ったことがある。
だから、あまり強いというイメージはない。
「≪刃物≫、【鉄剣】!」
私は鉄剣を作り出し、ゴブリンへと向かっていく。
「リーンちゃん、頑張れ~!」
シリカちゃんも応援してくれているし、頑張ろ!
数分後。
3体のゴブリンは私の前で塵となっていた。
そして、そこには3つの小石サイズのものが残る。
「リーンちゃん、お疲れ!」
「はい、それと魔石!」
ゴブリンの塵となったところに落ちていたのは魔石。
モンスターの核とも言える物で、モンスターを倒すと今回のようにドロップする。
「ありがと、シリカちゃん」
そういって私はその魔石を≪保存庫≫に仕舞い込んだ。
「じゃあ、私も頑張ろうかな~」
そう言ってシリカちゃんはモンスターの元へ駆け出していく。
って、早ッ!?
一瞬でモンスターの所に……。
あの細い足からどんな力が出てるのかな?
次の瞬間、モンスターが爆発した。
「きゃっ!」
「シリカちゃん!?」
私の元にシリカちゃんが吹っ飛んでくる。
私は即座に動きシリカちゃんを受け止めた。
「危ない……でもなんで急に」
モンスターが爆発したところへ目を向ける。
もうもうと立ち込める煙の中。
うっすらと人影が見えてきた。
「リーンちゃん、逃げ……て」
シリカちゃんが私に逃げて、と言う。
でも、無理だ。
シリカちゃんを抱えながら逃げるなんて出来るのか?
シリカちゃんを置いていくなどもってのほかだし。
そして、後に私は思う。
───人間の憎しみほど恐ろしいモンスターは居ないと。
「あはっ、シリカちゃん♪」




