第20話 女は、ただ憎む
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ある宿の部屋に爪を噛み、貧乏ゆすりをする明らかに機嫌の悪い女が一人。
「なによ、あいつ。いきなり出てきてちょっと気に入られたからって調子に乗りやがって!」
先ほどギルドでリーンに敵意のある視線を向けていた女である。
「私がシリカと組むためにどんだけ努力したと思ってるの!!」
そして、シリカの元パーティーメンバーでもある。
以前、彼女はシリカと他二人とパーティーを組んでおり、喧嘩ばかりしていたため解散した。
「ルアさん落ち着いてください」
同じ部屋にいるのはルアと呼ばれた彼女の現在のパーティーメンバーであるフィオナ。
「るっせな!!アンタは黙ってろよ、私がいなきゃ何も出来ないくせに」
そう言ってルアは近くにあった花瓶をフィオナに投げる。
「きゃっ!」
花瓶が当たり、床に倒れるフィオナ。
花瓶の中の水がかかり、服は濡れてしまっていた。
「誰が、誰がほかの誰にも相手をされなかったアンタを拾ってやったと思ってるの!?なぁ!」
威圧的にフィオナへと近づくルア。
今、リーンへと向いていた怒りは、近くにいたフィオナで発散すべく向いていた。
そんなルアの目を見て怯えるフィオナ。
「……う、……です」
小さく、呟く。
「あ?なに?文句?」
ルアはフィオナに近づき、一蹴り。
「うっ!!」
フィオナはその大きな目に涙を湛えながらこう言い放った。
「あなたは、あなたはいつもそうです!自分が気に入らないことがあればパーティーメンバーに当たって!」
「だからじゃないんですか!?もう私以外のメンバーが残っていないのは!」
そう、元々このパーティーも4人であった。
しかし、度重なるルアの癇癪に嫌気が差した2人はすでにこのパーティーを抜けていたのだ。
そして、まだフィオナは続ける。
「そうやってあなたは前のパーティーも解散に追い込んだんですよね?」
「なのにあなたは自分が悪いだなんてこれっぽっちも思ってない!」
「あまつさえ、シリカさんを恨み、彼女とパーティーを組むことになった子をも恨んでる」
「いい加減にしてください!!」
「もう、こんなパーティー嫌です!抜けます、さようなら」
そう言ってフィオナは部屋を出て行った。
取り残されたルアは、普段あんなにも感情を見せたことのないフィオナの様子に呆然としていた。
しかし、それは次の瞬間にはシリカへの確固たる憎しみへと変わっていった。
「あの女。シリカさえ居なければ、私はこんなことにはならなかった」
そして憎しみの矛先はリーンにも向く。
「駆け出しのあの女。あいつもそうだ」
憎しみの炎が彼女の心を埋め尽くす。
「纏めて殺す。あいつらは私の人生を狂わせたモンスターだわ」
「冒険者として駆除してあげないと♡」
にひっ、と笑うルア。
もう彼女の心は憎しみで壊れていた。




