第12話 可愛い相棒ちゃん
12話目になります!
薬草採取開始から数十分後。
目の前には中身の詰まった袋が二つ。
もちろん一つはヒール草。
もう一つは上位ヒール草。
ヒール草を集めてるときに、よく似たのがあったから≪解析鑑定≫してみたら上位ヒール草だったんだよね。
なんと、この上位ヒール草。
『上位』と付くだけあって、ヒール草よりもポーションにした時の効果が段違いらしい。(by鑑定様)
だから途中からこれも検索にかけて一緒に集めてたんだよね。
「よし、たくさん集めれたね。≪保存庫≫っと」
私は≪保存庫≫に薬草の詰まった袋を仕舞い込む。
一度仕舞ってしまえば、鮮度もそのままで劣化することが無いからね。
「これで依頼も達成。ってことで良いと思うし、《《冒険者らしいこと》》やりますか!」
冒険者らしいこと、といえばモンスター狩りだよね。
幸いここは『スライムの草原』だし、強いモンスターは居ないと思うけど。
「っと、いたね、スライム。≪刃物≫、【鉄剣】!」
私は≪刃物≫のスキルで鉄剣を生成した。
鉄、って書いてあるし、重いのかなって思ったけど、めっちゃ軽い。
持ち上げようとして重いと思ってたから『ひょいっ』って持ち上がっちゃったぐらい軽い。
「うん、これなら私でも振れそうだね」
私はゆっくりとスライムに近づく。
「たしか、スライムの弱点は核だったよね?」
スライムの体って透けてるからすごく核が見つけやすいんだよね。
「ほいっと」
テンポよく私はスライムを倒していく。
そして、いくつかのスライムを倒したとき、異様なスライムを見つけた。
見た目とかは他の個体と変わらないんだけど、オーラっていうのかな?なんか雰囲気が違うっていうか……。
私がそのスライムをじっと見ていると、相手も気づいたのか攻撃を仕掛けてきた。
ぽよっ。
ぽよんっ。
ぷにぃっ。
ぽすっ。
……。
まったく痛くない。てか、柔らかくて、ほんのりひんやりしていて気持ちいいんだけど。
どうしてそんなことが分かるかって?
それは今、私がスライムを抱いているから。
ぶつかってきた感触があまりにも気持ちよくてついキャッチしちゃったんだよね。
ほかの子は柔らかいには柔らかいけど、この子より少し硬かったと思うんだよね。
あくまで感覚の話だけど。
「≪解析鑑定≫っと」
私はこの子を鑑定してみた。
─────────────────
スライム(特異個体) Lv.15
スキル
≪水魔法≫ Lv.3
─────────────────
特異個体!?
これってごく稀にスポーンするモンスターだよね!?
なるほど、だからオーラ?が違ったんだね。あと、可愛さも。
うぅ、この子、連れて帰りたい……。
でも、スライムと言えどモンスターだもんなぁ。
「あ!《《あの》》スキルがあるじゃん!」
あのスキルというのは、スキルが進化したときに増えた権能の一つ。
その名も──≪調教≫。
モンスターを調教することができる、【調教師】の固有スキル。
──のはずだけれど、私にはこの≪生活魔法:カスタム≫っていうぶっ飛んだスキルのおかげで使えてしまう。
ほんとにバグだよね、このスキル。
一つのスキルで幾つものスキルが使えちゃうんだもん。
「≪調教≫!」
私とスライムとの間に魔力の線が繋がれたのを感じた。
きゅぅ!
スライムは嬉しそうに私の足の周りをくるくる回って、すりすりしてくる。
「か、可愛い……」
こうして私は可愛い小さな相棒を手に入れたのだった。




