信長様は正直に話しません
この作品はフィクションです。史実と違いますので、その点、ご理解ご了承ください、引き続き主人公は出ません。
勝家の頭の中は吉六郎の言葉がグルグルまわっていた
「吉六郎は「雨が降ったら」と言っていたが、うーん」
この言葉を繰り返していると、信長の本陣に到着した
「殿。遅くなって申し訳ありませぬ」
「他の者も来ておらぬ。権六が一番乗りじゃ」
「ははっ。して、此度のお呼びはどういった話し合いですか?今後の軍議ですか?」
「皆が来てから話す。暫し待て」
「ははっ」
暫く待っていると、利家、秀吉、佐々成政、滝川一益、明智光秀、丹羽長秀、徳川家康が本陣に到着した。その中で軍議が始まった
「皆、疲れている中良く来た。次郎三郎殿(家康の事)、其方達三河武士の奮戦が無ければ、敗走していたのは我々だったかもしれぬ。誠に感謝しかない」
「何を言うのですか、三郎殿(信長の事)。同盟を結んでいるのですから共に戦う事は当然ですぞ?」
「そう言ってもらえて忝い。さて、話を戻すが、これより先の展望をそれぞれから聞きたい。次郎三郎殿はどうじゃ?」
「拙者はこのまま近江に留まって浅井を攻め立てるが良いかと」
「ふむ。それも一理あるな。犬はどうじゃ?」
「拙者も徳川様と同じ考えです。朝倉は直ぐには建て直せないはずなので、浅井を攻め立てるべきかと」
「拙者も徳川様と又左と同じ考えです」
「拙者も同じく」
「同じく」
「同じく」
「同じく」
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勝家以外の面々は「近江に残って浅井を攻めて朝倉は後回しにするべきだ」と発言した
(儂も徳川様達と同じく浅井を攻めた方が兵の損失も少ないと思う。だが、朝倉が治める越前は広大な土地も有り、人間も多い。此度の戦も敗走したとは言え、その人数は数千は居た。建て直す時間を与えたら苦戦するやもしれぬ。しかし人数は少ないが兵の質は浅井が治める近江の方が高い。どちらか片方を攻めた方が良いのは明白。どうすれば良い?)
勝家は思考を巡らせていた。そして、ふと目線を上げると全員が自分に注目していた
「権六!随分と考えておったが、其方の展望を聞かせよ」
「ははっ。(吉六郎の言っていた様に感じるが、ここからは儂が決めねばならぬ。ここは••朝倉じゃ)拙者は朝倉を攻めるが良いと思います。朝倉の軍勢は質は低いが、数は多いので、越前に戻る前に叩く事が出来れば。と」
「「「え???」」」
「親父様?酒でも呑んでいるから、その様な判断になったのですか?」
「たわけ。又左!ここは戦場ぞ。全てが終わるまで酒は呑まぬと決めておる。儂は素面じゃ」
「柴田殿。ここは浅井の治める近江ですぞ?朝倉を攻めている時に浅井に攻められたら、金ヶ崎の二の舞になりますぞ?」
「親父様。無理を言っては勝った戦が無駄になりかねませぬ」
「柴田様。ここはじっくり浅井を攻めて近江を制圧してから朝倉を攻めても遅くないと思います」
利家、家康、秀吉、光秀が勝家に反対意見をぶつける
「まあ、待て。権六の意見も一理ある。決まったら追って伝えるゆえ、どちらの意見を採用しても、この場に出てない意見を採用しても、直ぐに出陣出来る様、準備をしておく様に。次郎三郎殿も頼むぞ?」
「「「「ははっ」」」」
信長のまとめで軍議は終わった。帰り際、勝家は信長の顔を見て、考えを決めた
(殿は恐らく、嫌、間違いなく朝倉を攻める。空の様子からして夜のうちであろう。急いで家臣達に準備させねば。吉六郎!儂はお主の夢を信じるぞ!)
信長様を身内以外には優しい性格に設定しました。