佐竹家の到着と風魔衆の嫌がらせ
天正二十三年(1595年)十一月三十日
陸奥国 相馬家屋敷
「相馬殿!我々佐竹家の無理難題を聞いていただき、誠に忝い!これで、針生を、四郎の仇を討つ事が出来る!誠に、誠に!」
「佐竹様、拙者は嫡男の太郎が産まれたばかりの親としてこれからの人間ですが、太郎が健やかに育つ為に陸奥国が平和である事を願っております!
だからこそ、佐竹様と主君の伊達家が針生を討つ為の協力をさせていただきます!船は相馬家で見ておきますし、船の漕ぎ手の方々も我々が安全を確保します!なので、陸奥国の騒乱を鎮圧してくだされ」
皆さんこんにちは。常陸国から陸奥国へ佐竹家の軍勢の引率を無事に終えました柴田六三郎です
佐竹さんが相馬家当主の孫次郎さんにお願いした無理難題ですが、それは「乗って来た船の見張りと漕ぎ手の保護」でした
まあ、佐竹さんとしては連れて来た4000人で針生を殲滅するつもりだから、船の見張りを誰かしらに頼みたい気持ちになるのも納得です
まあ、俺としては、「じゃあ自分が見張っておきましょう」と言いたい気持ちはありましたが、流石に自重しました
だってねえ、俺が居ない赤備えの皆が戦で無茶苦茶してそうな予感がするんですよ。それこそ、どこぞの軍勢を損耗率9割なんて戦をやってそうですからねえ
ああ、すいません。独り言が過ぎました。佐竹家の皆さんも相馬孫次郎さんとの会話も終わった様ですからそれじゃあ、一旦田村家屋敷に皆さんを連れて行きますか
六三郎が佐竹家を田村家屋敷に連れて行く決断をした同時期、風魔衆も陸奥国に潜入していた
天正二十三年(1595年)十二月五日
陸奥国 某所
「皆、かなり急いだが身体は大丈夫か?」
風魔衆の頭領、風魔小太郎が配下の身体の確認を行なうと、配下の忍達は
「「「「大丈夫です!」」」」
問題ないと答える。返答を聞いた小太郎は
「うむ。流石、松田との戦以降、走る事も鍛えただけあるな!嬉しく思うぞ!」
配下の忍達を褒めていた。そこから、本来の目的の話を始めると
「さて、此度我々風魔衆がやる事は、佐竹家からの養子である蘆名平四郎を殺した針生とやらに嫌がらせしつつ、伊達家と佐竹家に戦で勝利してもらう事じゃ!
だが、今日陸奥国に到着したばかりで、何の情報も無い中で動くのは危険じゃ!今日は休息を取り、明日から情報収集を行ない、嫌がらせを実行していく!なので、今日は充分に休息を取る様に!良いな?」
「「「「ははっ!」」」」
今日はこのまま休む事に決めた。こうして、風魔衆は束の間の休息を取った
翌 十二月六日
「皆!休息は充分に取れた様じゃな!それでは、これから情報収集に動き、日が落ちたら、再びこの場所に集合せよ!」
「「「「ははっ!」」」」
「うむ!それでは始めよ!」
小太郎は配下の忍達が充分休めた事を確認すると、ある程度のルールを設けて、そのまま情報収集に出発させた
翌々 十二月八日
「皆!情報収集を始めて三日目じゃが、これまでに得た主要な情報として、「針生の軍勢は五百人以下」、「蘆名家の領民を徴兵しようとしている」
「田村家を攻撃したら赤備えの方々に潰走させられた」、「拠点が蘆名家屋敷のみ」との事じゃが、おおよそでまとめると、武器弾薬と食糧に余裕はあるが、
軍勢の数が不安だから、表立って動いておらぬ!そう言う事じゃな!」
小太郎は配下の忍達が3日かけて集めた情報の中から有用と思える情報を共有していた。そんな中、小太郎の弟の小次郎が
「兄上、それならば武器庫と食糧庫を火を付けてしまいましょう!それならば、針生達は焦って正常な判断が出来なくなるかと!」
「武器庫と食糧庫を焼こう!」と提案する。提案を聞いた小太郎は
「うむ。それが嫌がらせとしては上策と言えるが、いきなり火を付けては、疑われてしまう。そうなっては陸奥国の騒乱が長引く恐れもある
なので、儂としては「あくまで自然に、偶発的に」針生達の武器庫と食糧庫を焼きたいと思う。なので○○をけしかける!」
小次郎達へ策を伝える。策を聞いた小次郎達は
「成程、○○をけしかけて混乱している隙に焼くのですな!」
「それならば、上手く行くでしょうな」
納得しながら盛り上がっていた。そこから小太郎は
「それでは決行は明日の昼からとする!明日の為に今日は休息をしっかり取っておけ!」
「「「「ははっ!」」」」
明日の為に小次郎達を休ませた
翌 十二月九日
「まだ、足軽達は増えぬとは、殿の計画は大丈夫なのかのう?」
「言うてやるな。殿は蘆名家当主を殺した事を伊達家になすりつけて佐竹家に伊達家を攻撃させる腹積りとの事じゃ!まあ、儂達足軽がどうこう言える事ではないから、良い方に転がる事を祈ろう!」
この日、門番を務めていた盛春の家臣の足軽達は、盛春の策がバレていないと思い、与太話をしていた。そんな足軽達を見張っていた小次郎から小太郎へ
「兄上、門番の足軽達は油断しきっております」
報告が入ると、小太郎は
「よし、それでは始めるぞ!猪達全二十頭、同じ方向に向かせよ!」
そう言って、前日に捕まえていた猪二十頭を蘆名家屋敷に向けると、
「それでは、走れ!!」
小次郎達を屋敷に向けて走らせた。その僅か5秒後
「お主達も走れ!」
猪達の尻を叩いて、小次郎達を追いかけさせる。そこから屋敷まで全速力で小次郎達は走ると
「お、お助けくだされ!」
「武器も無い中で、猪に追われております!」
門番の足軽達に助けを求める百姓のふりをして、助けを求めた。その声に足軽達は
「早く来なされ!おい、他の者達も連れて来てくれ!人数が足りぬ!」
「分かった!」
手勢を増やす様に、1人を屋敷内に行かせた。それを見た小次郎は
「済まぬな」
そう呟きながら、猪を連れて残った足軽の元へ向かい
「それ!」
ジャンプで門の上に飛び乗った。小次郎達の動きに
「えっ?消え、た?」
呆気に取られてかあた。その僅かな隙の間に
「「「「ブオオオ!」」」」
「ぎやああ!」
暴走している猪の群れに弾き飛ばされた。そのまま猪の群れは屋敷内に侵入し
「だ、誰ぞ!槍を!グハッ!」
「種子島の方が、ぎゃあ!」
盛春の家臣達を弾き飛ばしていた。その隙に小次郎達も屋敷内に侵入し
「火を付けよ!」
「「「「応!」」」」
小太郎の命令で小次郎達が火をつけようとしていた。その時、小次郎がある物を見つける。それは
「兄上!あの二つの白い布、何やら武器にしては大きくありませぬか?」
「もしや、蘆名平四郎殿の亡骸の可能性も!小次郎!二つとも回収せよ!火付けはそれからじゃ!」
殺された義広の亡骸の可能性のあるものだった。小太郎は小次郎に回収させると
「火を付けて撤退じゃあ!」
火付を行ない、即座に蘆名家屋敷から撤退した。風魔衆の撤退後
ドーン!ドーン!ドーン!
武器庫と食糧庫が爆発し、風魔衆の嫌がらせと言うには大がかり過ぎな嫌がらせは終了した。




