報告に驚く政宗と最悪を避ける為に考える六三郎
「何じゃと!黒羽よ、小十郎からの文の内容は間違いないのか!?」
「はい!殿曰く、一族の針生家の者達が蘆名家を自らの手に奪い返しただけでなく、伊達家を攻撃する可能性も指摘しておりました!だからこそ、一刻も早く大殿に伝えて来いとの事で、文を届けに参りました!」
黒脛巾組の頭が、偽名である黒羽という家臣に扮し、伊達政宗に蘆名家で起きた事件を書いた景綱の文を渡す。文を読み終えた政宗は夜も遅い時間にも関わらず大声で確認していた
そして、頭に対して
「黒羽よ、殺された平四郎殿の頸と身体はどうなっておる?まさか、伊達家に送られておるのか?」
殺された平四郎義広の遺体の事を確認した。しかし頭は
「拙者が殿の元を出立した時点では、伊達家に蘆名様の頸も身体も届けられておりませぬ!」
正直に「まだ何も来てない!」と答える。それを聞いた政宗は
「蘆名家の内紛で終われば良いが、それも無理か」
何かを悟った様に天井を見上げた。そんな政宗に対して六三郎が質問する
「伊達殿。蘆名家の内紛で終わりそうにない理由を教えてくだされ。何やら深刻な様じゃが」
六三郎の質問に政宗は
「柴田殿。殺された蘆名家当主は、常陸国の佐竹家からの養子なのです。つまり、この事を佐竹家が知ってしまったら、復讐の為に針生達を討つ事は当然として
陸奥国が混乱する状況になる可能性もあるのです!右府様が教えてくださいましたが、佐竹家は常陸国の大部分のおよそ四十五万石と下野国から十万石程の領地を北条家から割譲されたとの事です
その二つを合わせて、およそ七十万石もの領地を持つ大大名になりましたが、その佐竹家が陸奥国に来て暴れようものなら」
「もしも佐竹家にこの事が露見したら」と不安要素を口にする。政宗の言葉を聞いた六三郎は
(おいおいおい!とてつもない面倒事じゃねーか!何で俺が居る時にそんな状況になるんだよ!しかも、佐竹家が知ってしまったら、暴れる事確定だぞ!
ん?でも待て!この案件、最悪の場合、針生とやらが伊達家に罪をなすり付ける可能性もあるな!それこそ
「伊達家の陸奥国統一の為、伊達家の命令でやった」なんて事を言われたら、佐竹家と伊達家の戦になると見て良い!そうなってしまっては、俺が仲裁しないといけない可能性が高い!
そんな仕事は真っ平ごめんだ!こんなの未来のグループ企業で言ったら、支社同士のトラブルを本社の中間管理職が解決する為に動いているの同じじゃないか!
ふざけんな!俺は平穏無事に暮らしたいんだ!播磨国がどんな状況になっているかも知らないんだぞ!この事態を引き起こした針生とやらをぶち殺したいけど、
冷静になって考えると、佐竹家に隠しておくのは不可能だ!親父さんは太郎くんに対して甘いところがあった事を鑑みるに、殺された子にも甘いと見て良い
そんな我が子が殺された事を知ったら、怒り狂うだろう!それは間違いない!そうなると、隠さずに伝えて味方に付いてもらった方が良いな!
だけど、冬になると移動がかなり辛い、最悪動けない状況も有り得る!と、なると船で移動した方が早い!伊達政宗の家臣で湊が領地にある人は誰か居たか?)
頭の中で最悪の事態を避ける為、色々と考えていた。例の癖が出ながら考えていたので、政宗は六三郎の側に居た源太郎に対して
「飯富殿。柴田殿が独特な姿勢で固まってあるが、何をしておるのですか?」
「アイツ、何してんの?」と質問する。政宗の質問に源太郎は
「伊達様。殿は状況を戦においても内政においても、不測の事態を解決する為、戦におきましては勝利を得る為に色々と考えている際、
あの様な姿勢になるのです。きっと、この状況を打破する為の策が出ると見て間違いないと思いますので、しばしお待ちくだされ」
「解決策を考えているから、しばらく待ってくれ」と政宗に説明する。源太郎の説明に政宗は
「そ、そうでござるか。ならば、待つとしましょう」
しばらく待つ決断をくだす。そして、六三郎は考えがまとまると
「伊達殿。拙者からの提案ですが」
内容を発表しようと、政宗に声をかける。すると政宗は
「柴田殿!この局面をひっくり返す策が出たのですな!是非とも教えてくだされ!」
期待の目で六三郎を見ていた。そんな政宗に若干、驚いていたが、六三郎は説明を始める
「伊達殿。拙者が提案する最初にやるべき事として、佐竹家にこの事を伝える事です。それも出来るかぎり一日も早くです」
六三郎の言葉に政宗は
「し、柴田殿!それはあまりにも無茶ですそ!佐竹家がこの事を知ったら、間違いなく仇である針生を討つ為に陸奥国に攻め込んで来ます!
そうなっては、我々だけで佐竹家を抑えられるかどうか、いえ、それこそ伊達家にまで攻撃してくる可能性も出て来ますぞ!」
佐竹家が陸奥国に攻め込んで来た場合の事を反論として話す。それを聞いた六三郎は
「伊達殿。今、伊達殿が口にした事は、佐竹家の攻撃目標が針生達で済めば良い内容です。ですが、拙者が今から話す内容は最悪の場合です!良く聞いてくだされ
先ず、佐竹家からの養子の平四郎殿が殺された事を隠し続ける事は不可能です。遅かれ早かれ露見するでしょう!その際、いえ、それよりも早く針生とやらが
「伊達家の命令で蘆名家当主を殺しました」と、佐竹家に説明しようものならば、佐竹家は伊達家に攻撃を仕掛けてくるでしょう!伊達家がどれだけ違うと説明しても聞く耳を持たずに!
だからこそ、伊達家が先に佐竹家へ説明して、佐竹家を味方につけて、針生達を討つのです!伊達殿、少しばかり時期は早まりましたが、これを陸奥国統一の始まりとすべきです!
いざとなれば、佐竹家に使者として拙者が行きます!伊達家の者が説明するよりも、拙者が行って説明した方が多少なりとも佐竹家も話を聞いてくれると思います!」
政宗に最悪の場合を伝える。それを聞いた政宗は
「針生達が伊達家に罪をなすり付ける可能性が、し、しかし、伊達家の家臣でもない柴田殿にそごまでさせてしまうのは!」
六三郎に伊達家家臣の様な事をさせたくないと話す。それでも六三郎は
「伊達殿。最早乗りかかった船です。このまま拙者が陸奥国に居ても、戦に巻き込まれるだけです。ならば戦が早く終わる為、伊達家が残る為に動きましょう
それが巡り巡って、織田家による日の本の統一、そして南蛮に負けないで発展した日の本に繋がるのですから!だからこそ、針生達よりも早く動く事を優先してくだされ!よろしいですな!?」
「そんな事、気にするな!」と政宗の背中を押す。そこまで言われた政宗は
「分かり、ました、柴田殿にそこまでの重荷を背負わせてしまう事、誠に申し訳ない!ですが、佐竹家の説得、よろしくお願いします!」
六三郎に頭を下げて、佐竹家への説得を頼んだ。こうして、六三郎は自らの意思で陸奥国の騒乱に参戦していく事になる。




