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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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間話 若かりし頃の勝家と家族①

「儂の父上だけでなく、母上も含めた家族の事を話すが、面白いかは分からぬぞ?」


そう前置きして、勝家は若かりし頃の話を始める。


〜〜ー60年前の尾張国〜〜ー


天文四年(1535年)五月五日

尾張国 上杜村 柴田家屋敷


「権六!シャキッとせんか!元服したと言うのに、何を呑気に突っ立っておる!!」


「ち、父上。屋敷の前で警護の役目をしておるのですぞ。呑気に突っ立っておるわけでは」


権六と呼ばれたのは、元服して間もない柴田勝家、当時15歳の若武者で、父上と呼ばれたのは柴田土佐守義勝しばたとさのかみよしかつ、六三郎の祖父にあたる人物である


この時点で35歳と当時の寿命を考えると人生の折り返し地点を超えていたが、そんな事を感じさせない程、パワフルな武将である。そんな義勝に勝家が叱責されていた理由は


「父上、そもそもかつ姉上の嫁ぎ先である吉田家の方々の出迎えも兼ねて、拙者も父上も屋敷の門の前に居るのですから」


「その立っている姿が呑気に見えるのじゃ!シャキッとせんか!」


勝家の立ち姿が、父の義勝から見たらだらしなく見えたから。と言う何とも言いがかりに近い理由だった。そんな父の言葉に勝家は


「分かりました。分かりましたから」


折れるしかなかった。しかし、勝家の態度に義勝は


「これ!その様な態度でどうする!良いか権六!我々柴田家が仕える織田弾正忠家では、前年、遂に当主である三河守様に嫡男がお産まれになったのじゃぞ!


お主の代で、嫡男である若君に仕えて弾正忠家を更に発展させながら柴田家も発展させなければならぬ!それなのに、お主はそんな態度を!」


周りに聞こえる程の大声で、勝家を叱責する。その声を聞いて屋敷内から現れたのが


「お前様。また、小さい事で六太郎ろくたろう、じゃなかった。権六を叱責しているのですか?少しくらい気を緩めても良いではありませんか」


家乃いえの、そんな事では、戦場で何も出来ずに死んでしまうぞ!儂は、権六にそんな武士になって欲しくないからこそ、口うるさく言っておるだけなのじゃ!」


勝家の母、つまり六三郎の祖母にあたる人物で、名前は家乃。その家乃から、「小さい事で叱責し過ぎだ」と突っ込まれでいた義勝だったが


「息子に戦場で簡単に死なない様に口うるさく言っているだけだ」と、反論する。その声すらも大きかった様で、屋敷内から


「父上!あまりに声が大き過ぎて、何事かと思いましたよ!大事な祝言の日なのです!少しくらい静かにしてください!大体、権六!あなたも!」


今日、吉田家に嫁ぐ姉の勝姫が、門まで白無垢姿のまま来ていた。そんな勝に対して義勝は


「勝!お主は吉田家の方々が来るまでは、大広間で大人しくしておれ!これは、儂と権六の問題じゃ!」


「大広間で大人しくしておけ!」と強く言うが、勝姫も流石、義勝の娘なだけあり


「父上の方こそ、今日くらい大人しくしてください!今日は、私の祝言ですよ!そもそも、初陣もまだの権六にあれやこれやと言っても、分かるわけがありませぬ!」


義勝に正論で言い返す。勝姫の正論に義勝は


「これ!戦場の話に女子が口出しするな!」と、力技で返す。そんな面倒くさい状況を更に面倒くさくさせる人物が現れた。その人物は


「父上も姉上も、何を大声で騒いでいるのですか!こんな状況を吉田様に見られたら、破談になりますよ」


「ちょっと甲斐かい、私は騒いでおりません!父上が権六に対して、不要な大声を出していたから嗜めていただけです!」


勝姫に甲斐と呼ばれた娘は、義勝の次女で勝家の姉である甲斐姫であり、数年後に佐久間久六盛次さくまきゅうろくもりつぐに嫁ぎ、


その更に数年後に、「鬼玄蕃」こと佐久間盛政を産むその人である。その甲斐姫は2人に注意したと思っていたら、矛先が若き勝家に向けられて


「権六!あなたも元服したのですから、父上と姉上を止めなさい!何を我関せずな顔をしているのですか」


改めて叱責された。そんな状況の中、勝姫の嫁ぎ先である吉田家の面々が柴田家屋敷に到着すると


「柴田土佐守殿!遅くなり、申し訳ない!いやはや、身内総出で出迎えてくださるとは、


次兵衛じへえ、お主もちゃんと挨拶せんか!お主の嫁になる勝姫殿の家族が全員揃って出迎えてくれておるのじゃぞ!」


勝姫の嫁ぎ先である吉田家の当主、吉田次郎秀勝よしだじろうひでかつが挨拶をして、勝姫の夫になる嫡男の吉田次兵衛信豊よしだじへえのぶとよに話を振る。振られた次兵衛は


「父上、言われずとも分かっております。改めてですが勝姫殿、今日、祝言を終えるまでは柴田家の姫ですので、ゆっくりと過ごしてくだされ」


「はい」


勝姫に優しい言葉をかける。言葉をかけられた勝姫も先程までの迫力が一気に無くなり、静かな花嫁になった。こうして、空気も落ち着いた事により


柴田家の面々、吉田家の面々、更に両家の従者も柴田家屋敷に入って、祝言を開始すると厳かな空気のまま進行して、その日は終了した


翌日


「それでは父上、母上。これま育ててくださり、ありがとうございました!これからは次兵衛様と幸せな家庭を築いて行きます!甲斐、次はあなたの番ですよ


権六、元服して間もないとはいえ、しっかりしないといけませんよ!末の妹のかなえの事も、ちゃんと見てあげなさい!良いですね!」


「はい!姉上もお元気で!」


吉田家の面々と共に、勝姫が柴田家屋敷から出立する直前に、勝家達に言葉をかける。こうして、若かりし頃の勝家の大きなイベントのひとつである


1番上の姉の祝言が終了した。この時、勝家はまだ15歳の若武者で、信長は2歳、実質1歳の乳幼児。秀吉と家康に至っては、まだ産まれてすらいない、更に六三郎が産まれる30年前の昔の尾張国の混乱期だった。

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― 新着の感想 ―
ちょいちょい出てた吉田殿ってここかぁ…。 しかし柴田家のストイックツンデレは血筋ですなw しかも姉妹が強いのまで当代にも引き継がれたようでw
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