いま殿と元春が美魔女を見て驚くと
場の空気も落ち着き、勝家と市は毛利家の3人に長丸と三吉と信包の為人を話し出す
「それでは吉川殿。殿から見て四番目の弟の三吉様、五番目の弟の長丸様、そして市の兄の三十郎様の為人ですが、
まず三吉様は、分からない事は分かるまで、納得するまで追求するお人ですな。戦に関しては初陣もまだなのでこれからになりますが、
内政においては、領民と話し合える名君になる可能性が高いと思われます
次に長丸様ですが、少々武に比重が偏っておりますが利兵衛が伝える六三郎のこれまでやって来た事を聞くと、内政も大事である事を理解して、貪欲に利兵衛に質問したりしておりましたな
簡潔に言うと、武芸も内政も妥協しないお人とでも言えますな
そして最期に三十郎様ですが、戦でも内政でも大殿の求める働きが出来るお人なのですが、穏やかな人柄で
大殿だけでなく、殿からも信頼されております。ただここ最近は戦と内政とは関係ない所で苦労しておりまして」
勝家かそこまで言うと、秀吉が質問する
「親父殿、三十郎様が苦労しております事とは?教えていただきたく!」
秀吉の質問に勝家は
「まあ、隠しても仕方ない事じゃが、市よ、伝えても良いか?」
市に確認を取ると、市は
「ええ。私の弟達が柴田家で働いている理由でもありますから、言ってください」
そう言って了承し、勝家を促すと、勝家は
「済まぬな。それでは三十郎様の苦労の理由はのう」
関東で信雄が起こした愚行を秀吉と毛利家の3人に伝える。話を聞いた4人のうち、怒り心頭だったのが
「越前守様!奥方様!その三十郎様の元に三介殿が居るのであれば、安芸乃の身が危険ではありませぬか!
右府様か内府様、どちらかがそれなりの沙汰を三介殿に出さないかぎり、安芸乃を三十郎様に嫁がせるなどもっての外です!!」
立場上は母親のいまだった。そんないまに対して元春は
「いま、気持ちは分からんでもないが、沙汰は織田家が決めるのじゃ。儂達が言うのはお門違いであろう」
ほんの少しだけ嗜めた。そんな元春といまに、市は
「いま殿、そして吉川殿。三介殿は現在、三十郎兄上の屋敷で蟄居しております。もしも安芸乃姫が三十郎兄上に嫁ぐ事に決まった場合、年末に兄上が戻って来てから、色々と話し合ってからになるでしょう
その際、三介殿の沙汰が決まるでしょうから、その時までは安芸乃姫の嫁ぎ先について、考える時間としてくれませんか?」
「信長が帰って来たら、色々と決まるはずだから、それまでは嫁ぎ先について考えてくれ」と、フォローを入れる
市の言葉にいまは
「奥方様がそこまで仰ってくださるのなら」
市の面子を立ててくれたのか、了承した。こうして、「安芸乃の嫁ぎ先候補の為人を聞く」と言う本来の目的を達成した毛利家の面々のうち、いまが
「奥方様。これからお聞きする事は、羽柴様こ御正室の寧々様から教えていただいたのですが、奥方様は三十代と四十代で出産なされたというのは誠の話なのですか?」
市が三十代と四十代で出産した事が本当か質問する。いまの質問に市は
「ええ。誠ですよ。もしや、いま殿はお子かまだ?」
しっかりと答えつつ、いまに「子供を産んでいないのか?」と質問すると
「およそ二十年前に子を産んだのですが、早世してしまいました。ですが、寧々様と奥方様が三十代に入っても出産なされた話を聞いて
私もまだ出産できる可能性があるのであれば、賭けたいと思っております!なので奥方様!どの様な事を頑張ったのか、教えていただきたく!」
いまは、胸の内を伝えながら平伏して頼んでいた。そんないまを見て市は
「いま殿。お気持ち、確かに受け取りました。私や寧々が三十代に入っても出産出来た、ある意味師匠の様な立場の人を紹介しましょう。利兵衛、つるを連れて来なさい」
「ははっ。では、失礼します」
つるを連れて来て説明させようと、決断して、利兵衛を動かした。しばらくして利兵衛がつるを伴って戻って来ると、市はいまに
「さて、いま殿。今しがた来た柴田家の女中のつるですが、何歳に見えますか?正直に答えてください」
つるが何歳に見えるかと質問する。市の質問にいまは
「失礼ながら、五十歳くらいに見えます」
五十歳に見えると答える。いまの答えに市とつるさ
「あらあら、つる。随分と若く見られていますね」
「奥方様。嬉しいかぎりです」
お互いに笑顔になっていた。そんな中で市は
「いま殿。残念ながら、つるは五十歳ではありませんよ。つる、何歳か教えて差し上げなさい」
「はい。いま様、私は今年で六十三歳です」
つるに正解発表を振り、つるが年齢を発表すると
「え、、、ええっ!つ、つ、つ、つる殿!誠に、誠に還暦を超えているのですか!し、し、信じられ、ませぬ!肌艶はきめ細かく、髪は艶やかで美しい!
こ、こんな見目麗しい還暦の女子が現実に居る、なんて!次郎叔父上!次郎叔父上は今年で確か」
いまは驚きながら、元春に話を振ると
「儂は今年で六十五歳じゃ。いやはや、弟の又四郎と同い年の女子でこれ程の美しさを保持しているとは」
元春もいまには劣るが、それでも驚いていた。そんな中でいまは
「もしや奥方様!つる殿と同じ暮らしを続けていたから、三十代と四十代で出産出来たのですか?」
市の思惑に気づいた。そんないまに対して、市は
「そうです。いま殿も、これから安芸国に戻ってからつると同じ事を最低でも一年、頑張ってみなさい!」
いまの背中を押す。押されたいまは
「は、はい!では、つる殿!どの様な暮らしをしているのか、教えてください!」
大名の正室という立場を忘れて、つるに頭を下げていた。いまの熱量につるは
「いま様。分かりました、なので頭を上げてくださいませ」
いまに頭を上げてくれと頼み、いまも頭を上げると
「それではつる殿!教えてください!叔父上、幸鶴丸殿!お二人も覚えてくださいね!」
元春と幸鶴丸に無茶振りする。そんないまに市が
「ほっほっほ。いま殿、詳しい内容を書いた書物を渡しますから、安芸国に戻って読んでください」
そう言って、自分の化粧箱から書物を取り、いまに見せる。それを見た、いまは
「奥方様!ま、ま、誠にその様な貴重な書物をいただいても宜しいのですか?」
興奮と嬉し泣きで感情がメチャクチャになっていた。そんないまを他所に幸鶴丸が勝家に対して
「あの、越前守様!つかぬ事をお聞きしたいのですが、宜しいでしょうか?」
「どの様な事でしょうかな?」
「はい。六三郎様の祖父、つまり越前守様のお父上様がどの様なお人だったのか知りたいのです。やはり六三郎様と越前守様に負けず劣らずの名将だったのですか?」
「あなとの父親はどんな人ですか?やっぱり名将ですか?」と質問してきた。幸鶴丸の質問に秀吉も
「親父殿のお父上の話、拙者も聞いてみたく!!親父殿!お願いします」
「自分も聞きたい」と更に押す。それを聞いた勝家は
「分かった分かった、話すから」
そう言って、一呼吸おいた。六三郎ですら、名前だけしか知らない勝家の父親とは、どんな人物か?




