当主が自信を付ける為に頑張る事とは
天正二十三年(1595年)四月八日
陸奥国 田村家屋敷
「柴田様。前日は申し訳ありませぬ」
「次郎殿。過ぎた事は良いので、とりあえず今日から色々と始めて行きますので、頑張ってくだされ!」
皆さんおはようございます。前日に考えました「次郎殿に自信を付けさせる方法」を今日からスタートさせます柴田六三郎です
その為に、色々とやるべき事が多いのですが、先ずは体力を付けてもらう為、一日3食しっかり食べてもらおうと決めたのですが、
先ずは通常の食事量を完食出来るのかを見定めたいと思っております。少食だと言うのであれば、回数もしくはカロリーで補って体力を付けてもらいましょう
「忝うございます」
次郎殿は俺に、そう言うと頭を下げた。これも出来るかぎり回数が少なくなる様にしていこう。それじゃあこれからの計画を発表するか
「それでは次郎殿。早速じゃが、次郎殿の子作りに関しての計画を発表したいと思うが、覚悟を持って聞いていただきたい!よろしいですな?」
「ははっ!拙者は、どの様な事を頑張っていけばよろしいのでしょうか?」
「先ず最初に、一日の食事の朝と昼と晩、それぞれにおいて残さず全て食べてくだされ。食欲が無くともです!」
第一段階の説明に次郎殿は
「柴田様。それは、量次第な所があるので」
と弱気な事を言っている。だがな次郎殿。そんな事を言っていたら、俺が実家に帰る日が遅くなって、子供達に「あなたは誰?」なんて言われてしまうんだ
だからこそ、弱音は聞かないし、体力を早く多く付けてもらいますからね!なのでペナルティを付けますよ
「次郎殿。勿論、とてつもない量を食えとは言いませぬ。人並みな量をしっかり残さずに食べ続けていきながら、最初の目的を達成してくだされ
あ、ちなみにですが。もしも次郎殿が食事を残してしまった場合、郡司殿達家臣の方々の飯が減ります
そうなった場合、次郎殿の為に働こうにも空腹で働かない状態になりますな」
俺の半分恫喝じみたペナルティを聞いた次郎殿は
「そ、それはあまりにも酷いですぞ!」
思わず立ち上がって、俺に抗議して来た。でも、そんな次郎殿に郡司殿は
「殿。我々は、殿のお身体が強くなる為、そして田村家存続の為ならば、耐える事は出来ますが、それはあくまで「殿が頑張ってくださったのであれば」と言う前提が付きます
なので殿!我々が空腹になってはいけないとお思いなのであれば、是非とも食事を残さず食べてくだされ!この通りにございます!」
「「「「我々からもお願いします!」」」」
郡司殿が平伏すると他の家臣の皆さんも平伏して次郎殿に
「お願いだからご飯を残さず食べてくれ!」と頼み込みます。家臣皆さんからのお願い、いや、もう懇願を聞いた次郎殿は
「わ、分かった。分かったから、ちゃんと残さず食べるから!だから面を上げよ!」
慌てて家臣の皆さんの面を上げさせます。これが、俺の考えました大人の少食を治す方法である
「自分が食事を残したら家臣がメシ抜きになる」と言う、責任感を刺激した方法です。とりあえず、これを早くて1か月、遅くても2ヶ月半くらい続けたら
最低限の身体の強さをゲット出来ると判断しました。それじゃあ早速、飯の時間と準備としますか
「次郎殿。それでは早速、朝食と行きましょう。そして、これから田村家の食事は基本的に拙者が田村家の料理人達と共に教えながら作ると同時に、
家臣の皆様方、そして拙者の家臣の赤備え達と共に食べてもらう為に、この襖は邪魔ですから取り払ってしまいましょう!」
俺がそう言うと、次郎殿は
「え、そ、それは」
戸惑っていたが、側に居た清姫さんが
「殿。大勢の食事はきっと楽しいでしょうから、柴田様の仰るとおりの事をやってみましょう、ね?」
次郎殿の背中を押す一言をかける。大事な嫁の言葉に次郎殿は
「分かりました。柴田様、襖を取り払ってくだされ」
決断したので、
「忝い!それでは取り外しましょう!郡司殿、そして各々方!よろしくお願いします!」
「「「は、はい」」」
郡司殿達に襖に取り外しを頼んで作業にあたってもらうと、あっという間に取り外して、大広間がとても広くなったのを見た次郎殿は
「とても広くなりましたな。本来ならば、この広さに収まらない程の家臣が居てもおかしくないのですな」
と、田村家の「こうなりたい」と思う姿を思い描いている様です。まあ、それは俺が口出し出来る事じゃないから、スルーするけど
「それでは次郎殿、そして各々方。拙者は台所に行って料理を作って来ますので」
六三郎はそう言うと台所へ行き、料理人達に教えながら、料理を作っていた。そして待つ事、1時間半
美味しい香りが漂って、次郎を始めとした田村家の面々がソワソワしだした頃、とうとう
「お待たせしました!朝食の完成ですぞ!」
六三郎や侍女達、更に赤備えの面々までもがお膳を大広間に運んでくる。それ以外に料理道具や具材も運ばれて来た
それを見た次郎は不思議に思い
「柴田様。これは一体?」
質問すると、六三郎は
「次郎殿。これは次郎殿は勿論、家臣の方々がもう少し食べたくなった際の予備です!足りない時は、ここから食べてくだされ!」
おかわり用だと説明する。こうして、全員分の食事が揃うと
「次郎殿、食事の号令を簡潔で構わないので、お願いします」
「は、はい。それでは、いただきます」
「「「「いただきます!」」」」
次郎の挨拶を終えると、食事スタートとなった。その瞬間、赤備えの面々は
「やはり殿の作る料理は美味い!」
「雉肉の団子の入った味噌汁の何と美味いこと!」
「焼いた鹿肉の味噌漬けも美味い!」
これでもかと食いながら、喋りまくっていた。それを見た田村家のうち、清姫が
「私達も食べながら話しましょう」
そう言って、味噌汁を飲むと
「あら!なんて美味しい味噌汁。この団子は、あらあら雉のお肉とは信じられないくらい柔らかいですね!殿、そして皆も。これは温かいうちに食べないと勿体無いですよ!」
早く食べる様、促す。促された面々は恐る恐る口に運ぶと
「うおお!何とも美味な!」
「これが雉の肉を使っておるとは!」
「味噌は味噌汁と握り飯以外に使い道が無いと思っていたが、鹿肉に纏わせて焼くと、これ程美味になるのか!」
食べた事の無い美味さに驚いていた。当然、次郎も
「これ程に美味い飯ならば、残す方が難しい」
そう言いながら、噛み締める様に食べる。その間、それぞれのお喋りも続いていた。そして食事スタートから1時間後
「「「「ご馳走様でした!」」」
おかわり用の物も無くなり、全員が食べ切った事を確認すると、六三郎は
「次郎殿。これが次郎殿の身体を強くする第一歩ですが、見事に成し遂げましたな。ですが、先は長いので頑張ってくだされ」
「ははっ!」
次郎にまだまだ先は長いと伝える。それを聞いた次郎も改めて気合いを入れていた。こうして、次郎の身体を強くする計画は、大幅改善からスタートを切る事になった。それでも、まずまずのスタートを切ったと言えた。




