毛皮の種類を増やしたら仕事も増える
天正二十二年「1594年)十二月二十五日
陸奥国 某所
「柴田様!熊だけでなく、猪と鹿も毛皮にする事を兄上がいきなり決断なさったのに、赤備えの皆様をお貸しくださった結果、毛皮の数が豊富になりました!
そして、その事により、屋敷内でも毛皮の好みに男女差何ある事が判明しましたぞ!」
皆さんおはようございます。朝から隆次郎くんの言葉で、毛皮の販売量が増えた事を知りました柴田六三郎です
あの、俺は猪や鹿を狩る事は聞いていましたよ?でも、それが熊以外の毛皮の確保の為だと、今初めて知ったのですが?
まあ、それに関しては伊達家が決める事だし、赤備えの皆も久しぶりに身体を動かせてストレスも減っただろうから、良しとしよう
六三郎が知らない所で、伊達家の特産品計画がグレードアップした事により六三郎の負担が更に増える事になる
天正二十二年(1594年)十二月三十日
陸奥国 伊達家屋敷
年明けまで間もない頃、炭焼きの仕事を教えていた六三郎は、いきなり信長と政宗に呼び出されて屋敷内の大広間に居た
「六三郎!いきなりの呼び出しで驚いたと思うが、お主も既に知っているであろう、毛皮の種類が増えた事なのじゃが、鹿と猪の毛皮に関して意見を聞きたい!先ずは、実物を見てみよ!片倉小十郎、布を取ってくれ!」
信長はそう言って、景綱に布を取らせる。するとそこには鹿の毛皮のファーとベスト風、猪の毛皮のファーとベスト風がそれぞれ準備されていた
それを見た六三郎は
「あの、大殿と伊達殿。拙者は隆次郎殿から、「毛皮の好みに男女差がある事を知った」としか聞かされてないのですが、何かお困りの事がありましたでしょうか?拙者は今のままでも良いと思いますが」
「今のままでも良い」と伝える。六三郎の言葉を聞いた政宗は
「母上。やはり、寒さ対策なのですから、華やかさは最低限で良いのです!柴田殿もそう言っておるのですから」
母の義姫に対して、「防寒着はお洒落な物じゃなくても良いじゃないか!」と伝えている。だが、義姫は
「藤次郎、あなたの言っている事は分かります。ですが、鹿の毛皮に関しては屋敷内の侍女も女中も「可愛らしいから、熊と猪との差別化が欲しい」と言っているのです
それこそ、愛ですら「鹿の毛皮が可愛らしい物ならば、五郎八に着物の上から着せたい」と言っている程ですよ。熊と猪は男性に売れるでしょう!
ですが、鹿の毛皮は男性よりも女子が買いそうだと、私含めた女子達は思っております。それこそ子供向けの毛皮が少しはあっても良いと思うのです。何かしらの子供向けの毛皮を作れませんか?」
「鹿の毛皮は女性と子供向けに売れる筈だから、可愛らしい物を作れないか?」との提案を出していた。それを聞いた政宗は
「母上、右府様も居るのですから」
「信長が居るんだから、出しゃばらないでくれ」と義姫を嗜めようとするが義姫は
「しょうがないですねえ。それならば、五郎八に聞いてみましょう!五郎八を連れて来なさい!」
まさかの政宗の長女の五郎八姫に意見を聞いてみると言い出し、大広間に連れて来る様に命令する
義姫の自由人ぶりに政宗は
「母上!いい加減に!」
本気でブチギレそうになっていたが、上座の信長が
「待て待て藤次郎。その様に義殿にあたってはならぬぞ。それに、儂ら男では気づかぬ事に気づいてくれるかもしれぬぞ?」
「右府様が、そう仰るのであれば」
政宗を落ち着かせつつ、義姫をフォローする。政宗も信長にそこまで言われてはと諦める。そしてやっと、
「祖母様!何か御用ですか?」
五郎八姫が大広間に到着した。そんな五郎八姫は到着早々、
「父上!また、お顔が怖くなっております!五郎八は、そんな父上は嫌ですよ!」
政宗の眉間に皺が寄っている事に気づいて、政宗を嗜める。娘にそんな事を言われては
「そ、そんな事は無いぞ五郎八!父上は、何も怒っておらぬぞ!」
流石の伊達政宗も、娘のご機嫌取りに走るしかなく、弁明を頑張っていた。そんな政宗に六三郎は
「伊達殿。これから陸奥国を統一すると言う壮大な計画を立てている伊達殿でも叶わぬ程、姫君はお強いですなあ」
軽く政宗を1イジリする。六三郎の言葉に政宗は
「ちょっ!柴田殿!!これは娘を持つ男親ならば、絶対誰しも経験する事ですから!」
そう言い返すだけで精一杯だった。場の空気も和んだ所で信長が
「話を戻すが、五郎八殿。この中で、五郎八殿が可愛らしいと思うのはどれじゃ?教えてくれぬか?」
五郎八姫に、可愛いと思う物を聞く。五郎八姫は当然
「これが可愛らしいです」と鹿の毛皮を指差しただけでなく、
「これを背中に背負って、頭に同じ様な髪飾りをつけたら、更に可愛らしくなると思います」
鹿の毛皮と同じ柄の髪飾りがあったら、更に可愛くなると付け加える。それを聞いて義姫は
「五郎八。これから祖母様と父上は、大事なお話があるので、お部屋に戻っていなさい」
「はい」
部屋に五郎八姫を戻す。そして、政宗と信長へ改めて
「右府様、そして藤次郎。五郎八が言っていた様に、鹿の毛皮に何かしら足して、女子供に人気の商品にしませんか?」
鹿の毛皮にプラスアルファをする事を頼み込む。それを聞いて信長は笑顔で六三郎を見ると
「六三郎!そう言う事じゃ。毛皮を持って卯月に出立するまでに、鹿よ毛皮に足すものを考えておけ!」
サラッと追加業務を言い渡すと、六三郎は
(大殿が笑顔の時点で察しました。でも、それで俺が再び会津に来る事にならないのであれば頑張りますか)
既に色々と諦めていた様だったが
「ははっ!」
即座に社畜根性で乗り切る気持ちに切り替わった。




