三方ヶ原の戦い③〜援軍に対するは〜
前線で兵達と共に戦っていた本多忠勝と榊原康政は、馬場の声が聞こえていた。
だからこそ味方の動揺は勿論、敵の士気高揚も目に見える形で分かってしまった
「平八郎!このままでは武田に押し潰されてしまうぞ!」
「分かっておる!だが、小平太よ!いかんせん疲労困憊の今からほぼ全軍の武田の相手は生半可なものではないぞ?」
「だからそれをどうする?あの大軍を一掃出来ずとも、陣形に穴を穿つ様な」
そこまで言うと榊原は静かになった
「どうした小平太?まさか」
本多が声をかけると榊原は
「あれじゃあ!!」
「小平太、あれとは何じゃ?」
「説明する暇は無い!平八郎、暫く耐えてくれ。この状況を打破出来るものを取ってくる」
「お、おい小平太!仕方ない。小平太が戻るまで踏ん張れ!皆、気合いを入れよ」
「「「ははっ!!!」」」
こうして康政は前線を一時離脱して本陣へ来た
「殿!」
「小平太!前線はどうなっておる?」
「はっきり申しまして最悪の状況です。一万五千の軍勢を鬼美濃が率いて来ました。前線は現在平八郎達が奮闘しておりますが、このままでは」
「壊滅するかもしれぬというのか?」
「はい。だからこそ殿!織田家から送られて来た例の武器を今こそ使う時かと。今なら武田の大軍は密集しております。そこに穴を穿つには」
「あの武器しかないと」
「はい。なので」
「分かった。送られて来たものと我々で作ったものを合わせても三十か。よし、これを全て」
「全て渡されてはなりませぬ!殿、申し訳ありませぬが万が一を考えて、殿の退避用に三つは残してくだされ」
「し、しかし」
「殿。この戦、我々は最初から信玄坊主の手のひらの上で踊らされていたのです。それは殿も分かっておいでのはず。なればこそ、殿が討たれるという最悪の事態だけは避けなければなりませぬ」
「最早ここまで。という事か」
「確かにこの戦は最早ここまででございますが、今からこの武器を使い、平八郎達を救うと同時に武田を攻撃するのです。しかし全てを使うのは」
「そこまで言われたなら、分かった。しかし、逃げるのはまだ先じゃ。お主達の戦い次第じゃ」
「分かりました。それと半蔵殿。いざという時は殿の事を頼みましたぞ?」
そう言って康政は吉六郎考案の簡易パイプ爆弾を27個持って前線へ戻っていった
そして前線に戻ると
「平八郎!!」
「小平太戻ったか!遅いぞ!」
「済まぬ!だが、これが儂の言っていた「この状況を打破出来るもの」じゃ」
「小平太、これはもしや?」
「そうじゃ!吉六郎殿考案の凄まじい威力の武器じゃ!これに火をつけて武田に投げる!それも密集している陣形に投げたなら、間違いなく穴を穿つ」
「し、しかし」
「兵の数で負けているなら、こういう一か八かをしなければならない時もあるだろう!それはお主も知っているはず」
「そ、それは。あ〜もう考えても仕方ない!分かった!こいつを使う!」
「よし!ならば味方に被害が余り出ない様に武田を徹底的に狙うぞ。儂ら以外の騎馬武者も動きながら狙う!よし、開始じゃ」
こうして吉六郎考案の武器をぶっつけ本番で使う事になった。




