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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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三方ヶ原の戦い①〜開戦〜

家康率いる徳川軍は、凄まじい緊張感に包まれていた。三方ヶ原にて信玄の首さえ取れば徳川家の勝ちと分かっているが、相手はあの武田である。


勿論三河武士達の強さを家康は信頼している。世の中に伝わる言葉で「三河兵一人は尾張兵三人分に値する」と言われる程、三河武士達は強いが、


その三河武士達も「甲州兵一人は三河兵三人分に値する」と言われる程、武田の兵の中でも甲斐出身者は別格の強さを誇る。


産まれ育った環境次第で足軽を始めとする兵達の強さは変わるが、この時代の甲斐国は食料がまともに無いから、他国から奪う為に強くなった。等の理由付をされている。


その強さを徳川家の者達は先の戦いで身をもって知っているが、それでもこの時ばかりはそんな恐怖心よりも「武田を倒して信玄の首を取る」の一心で自らを奮い立たせていた


そんな空気の中、織田家から援軍に来た武将の1人、佐久間の言葉が家康達を苛立たせると同時に、ある事に気づかせた


「徳川様。武田は此度の戦に全軍を連れて来ている。と殿が仰っておりましたが、思った程の数ではありませぬな。それに噂に聞く「赤備え」とやらも大した数ではないですし、これは我々も徳川家の皆様と同じくらい武功をあげられそうですな」


「はっはっは。確かにそうですな。しかし油断は禁物ですぞ」


と、にこやかに返したが、内心は


(この阿呆は何故にそこまで楽観的になれる?相手はあの武田じゃぞ!我々は織田家の援軍を合わせても一万四千程。


対する武田は、待て?確か武田は甲斐と駿河は全域を支配し、信濃は八割方、上野は三割方を支配しておる。そんな大領を持つ家が我々とほぼ同数の兵?おかしい!いくら屈強な兵が居たとしても、そんな数のわけが)


家康が違和感に気づいたが、それを口に出す前に


「殿。武田の殿軍が一本道に入ります」


(嫌な予感しかないが、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とも言う。危険を承知で行くしかない)


家康は覚悟を決めた


「魚鱗の陣で武田に突撃する!今なら陣形を組んでないはずじゃ!臆するでないぞ!」


「「ははっ」」


「突撃じゃあ」


「おお!」


「おお!」


こうして武田の一軍に徳川織田連合軍が突撃して行ったが、先鋒達の目の前には既に魚鱗の陣の形になっていた武田軍が待ち構えていた


それを見た先鋒達の勢いは止まってしまい、逆に


「投げよ!」


「ははっ」


武田の先鋒の小山田隊からの投石を受けた。これにより開戦となった


この時は互いの兵数差がほぼ無い上、徳川方の士気が高く徳川方優勢だったが、信玄は笑っていた


「ふっふっふ。徳川の若造達も中々、気張るのう。ならば、攻撃の矛先を徳川から織田に変える」


信玄は近習に伝えて山県の元に走らせた


そして


「山県様!お館様より「無理に徳川と戦わず、織田の者を叩き、その後再び徳川と戦う様に」との命令にございます」


「承知した!お主は本陣に戻り、お館様の護衛を頼むぞ」


「ははっ」


近習が本陣に戻ったのを確認した山県は


「赤備え達!一旦徳川は後回しじゃ!あそこにいる織田の軍勢を叩け!」


家臣達と共に織田家から援軍に来た平手の部隊に襲いかかった


「尾張の弱兵共!首を寄越せ!」


「ぎゃああ」


「弱い!何たる弱さ!」


「た、助け」


「全員死ね!」


「くそおお!」


こうしてあっという間にに平手の部隊は壊滅し、大将である平手は逃げた


その様子に山県は


「はっはっは!なんとあっけない。全くもって戦った気がせんな尾張の弱兵は」


平手隊壊滅の報が家康に届くと


「やはりか。城での態度から期待はほぼしてなかったが。仕方あるまい。こうなれば、徳川の人間で戦う。織田家の面々は後方に下がらせよ」


「ははっ」


家康の命令を受けた足軽は佐久間と水野の部隊へ行き、家康の命令を伝え、下がらせた。こうして徳川の兵だけが前線に出て戦う事になるが、これも信玄の狙いだった


足軽より織田家の武将が下がった事を聞いた信玄は


「これで武田の勝利まで残り二手じゃ」


そう言いながら笑った


対する家康は


「戦が始まって二刻。徳川の人間だけで戦いはじめたら連携が取れて、武田を押し始めた。だが何故じゃ?この胸に引っかかる違和感は」


徳川優勢の状況に喜べないでいた


そんな三方ヶ原で激闘が行われている一方、浜松城では


「今頃、本多様や榊原様達は武田と戦っているのだよな」


「ああ。そして間違いなく武田に勝つ。勝って城に凱旋してくれるはずじゃ」


門番の足軽達がそんな会話をしていると、物見が血相を変えて現れた


「皆無事か?」


「いや、無事だが?」


「どうした?」


「此処より東に居る物見から武田の軍勢が此方に向かっていると報告があった。城を攻撃する軍勢だと思ったのだが、攻撃されてないとなると」


「その軍勢が殿達と戦っている武田と合流する可能性が高い」


「それはまずい!済まぬが馬を借りるぞ!城に居る酒井様と本多様に報告しておいてくれ」


そう言うと、物見は馬小屋から馬を奪い三方ヶ原に居る家康達の元へ、馬を走らせた

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