親父は合戦へ!俺は未来を変えましょう!
この作品はフィクションです。史実と違いますので、その点、ご理解ご了承ください。
「さっさと起きんか!」
おはようございます。柴田吉六郎です。朝の五時くらいでしょうか?親父のデカイ声で起こされました
「全く、犬千代達はお主より早く起きて修練をしているのに、いつまでお主は呆けておる。さっさと顔を洗って目を覚ましてこい」
親父に急かされながら行動して目が覚めると、犬千代殿、市松、夜叉丸の三人は既に汗だくになって槍を振っていた
「「「吉六郎殿」」」
三人が俺に気づいた
「三人共、遅くなって申し訳ありませぬ。今から参加しますので、よろしくお願いします」
身体も温まってない状態だけど、いつもの様に修練しますか
「やあ!とう」
かれこれ1時間くらい経った頃でした
「四人共、充分汗はかいた様じゃな。儂が相手になってやる。誰からでも良い、かかってまいれ」
まさかの親父が相手になってやるからかかって来いと修練に参加して来ました。三人が俺をじっと見ている。俺が先陣切らないとダメかやっぱり。仕方ない
「父上、拙者から参ります。小童と思って侮るなかれ」
「其方が先陣か。良かろう、来い!」
「そりゃああ!!!」
••••で、数分後
「まだまだじゃな。元服前の童にしては、良く戦ったが、儂は猪の様にはいかんぞ!」
俺はもちろん、犬千代殿、市松、夜叉丸の三人もボコボコにやられました。親父は絶対に手を抜かないのは知っていたけど、俺より身体が大きい犬千代殿達もボコボコにされるとは。この時代だと50歳は老人扱いの筈なのに、親父よ。貴方は化物か妖怪の類ですか?
で、修練が終わって朝食の時間になった。今日は三人がいるから、いつもの話は無いと思っていたら、予想以上の話を切り出して来た
「さて、吉六郎と犬千代は勿論、市松と夜叉丸。お主達も知っておくべき話をするから、よく聞け。織田家は近い内に近江の浅井、越前の朝倉と戦を行う。犬千代の父の又左も、市松と夜叉丸の主君の藤吉郎も、そして当然儂も参戦する。儂らに戦以外の心配をさせぬ様に、儂らが見ていない時も修練に励む様に」
「「「「ははっ」」」」
そういや、時期的に姉川の合戦か。結果は知っているけど、歴史のエラーである俺が居る事で勝敗が変わるとか無いよなあ?もしも、歴史通りになるなら、かなりズルいけど、夜にでも伝えるか。
〜〜その日の夜〜〜
「父上。吉六郎です。入っても宜しいですか?」
「良いぞ!どうした?こんな夜中に」
まだ夜8時だから遅い時間に感じないけど、親父はさっさと寝ろと言う人だからな。まあ良い。それより
「話は手短に済ませますので、お聞き下さい。実は、朝の呆けていた時に父上達が参戦する戦の風景が見えました」
「誠か?して、織田家はどうなったのだ?」
「戦には勝利しました。ですが」
「ですが、なんじゃ?まさか殿に何かあったと言うのか?」
落ち着けよ親父
「いえ、殿には何もありませんでした。拙者が見た風景で伝えたかったのは、敵が撤退する時の父上達の失態です」
「何?儂が?」
「はい。見た風景では殿は雨が降る中を僅かな手勢のみで走り抜け、逃げる敵を壊滅寸前に追い込んでおりました。その中に父上は居なかったのです。その後殿に、この事で叱責を受けておりました」
「儂が殿に叱責を•••」
「はい。「初戦に勝って浮かれるとは何事か?」と仰る殿が父上の前に居ました」
「儂が殿に叱責を•••」
あ、ヤバい。親父が落ち込んでる。いや、いつもの様に「小童が何を言う!」と大声で言ってくれよ。しょうがない。
「父上!!!」
「!!」
親父がびっくりして正気に戻った。畳み掛けよう
「父上!拙者が見た風景が只の夢なら何も心配する事はありませぬ。しかし、戦の日に雨が降っていたなら、拙者の話を思い出してくだされ。そもそも、父上は「鬼柴田」と呼ばれる程の武将なのですよね?殿が仰っていた事が誠だと、拙者は信じまする。それに毎日言っているではないですか!「柴田家は常に先陣を切る家である」と。殿に先陣を切らせずに、自身が先陣をいつでも切れる様、殿の動向と戦の変化に注意してくださいませ」
親父が何も言わないけど、大丈夫だよなあ?
〜〜数分後〜〜
「戦も知らぬ小童が何を言うかと思えば、殿の動向?それは常に注意しておるわ!戦の変化とも言ったな?元服前の小童が偉そうに」
いつもの親父に戻った。もう大丈夫だな
「はい。元服前の小童の夢なら、それで構いませぬ。ですが、気になったので父上に話しておこうと思ったのです」
「そうか!ならば、気持ちだけでも貰っておくとしよう。もう遅い刻限じゃ!さっさと寝て明日も朝から修練に励め」
「ははっ。では失礼します」
そう言って俺は親父の部屋を出て自分の部屋に戻って寝た