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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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援軍が来る事を知らない六三郎の残業が確定する

天正二十一年(1593年)四月七日

上野国 館林城


援軍が来る事を知らない六三郎は、引き続き館林城で松田の軍勢を一網打尽にする為の下準備をしていた


「柴田殿!こちらが、家臣達に調べさせた館林城の東西南北の三里の縄張りになります。ですが、この縄張りで、どの様な事をするのでしょうか?」


皆さんおはようございます。朝も早くから、館林城の城主である北条助五郎さんと松田対策の話し合いをしております柴田六三郎です


前月に昌幸さんのお父さんの信尹さんが、松田の軍勢を調べてくれたのですが、そこで仕入れた情報が、


「松田の軍勢は八千に増加した」


「北条家に不満を持つ国人領主が多数参加している」


「しかし、一部の参加者は人質を取られての強制参加」


「士気は高いが全員ではない」


でした。八千の軍勢なら、今から一万くらい連れて、叩きのめした方が早い気もして来ました。でも、野戦だと万が一にも松田に逃亡される可能性があるので、


やっぱり一網打尽にする為、館林城に誘導する作戦で進めたいと思います。それでは改めて、助五郎殿への説明と参りましょう


「助五郎殿、東西南北の三里の縄張りを調べていただき、忝うございます。改めての説明になりますが、拙者が提案するのは、


この東西南北の三里に大量の硝石を埋めて、1ヶ所ずつ爆破させて行き、松田の軍勢が最終的に館林城に入る様に仕向ける為です


勿論、その為に野戦を1回か2回はやらないといけないだけでなく、負けたフリをして館林城を捨てた様に見せなくてはいけませぬ!」


俺の説明を聞いた助五郎殿は


「負け戦のフリまでも策のひとつですか。まるで、南北朝時代の楠木正成公の様な、敵の心までも操る策ですな」


俺を「楠木正成みたいだ」なんて言って来ました。やめてください、その楠木正成の子孫が俺の軍勢には居るのです。でもまあ、説明しないといけない時は、


「楠木正成公が千早城で使った策を応用した」と言えば、左衛門尉くんも他の皆も納得するだろうから、


その時にでも使わせてもらおう。ただ、この作戦は出しゃばりや目立ちたがりの大バカ野郎が居たら、味方の被害が大きくなるから、慎重にやらないといけないのがネックです


おっと、考え過ぎましたので助五郎殿の会話に戻りましょう


「はっはっは。助五郎殿、拙者は、その楠木正成公の策を自分なりに応用しておるだけですから」


俺の言葉に助五郎殿は


「いやいや、並の武士はその応用すら出てこないですぞ?」


なんて言ってくれますが、インチキ歴史チートなのでなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいです


「まあ、今はそれよりも。松田の軍勢がおよそ八千である事が分かったので、松田が館林城に入った際、城の内部からも爆破する為に、


偽の米俵を作り、その中に硝石と油を詰めておきましょう!これは、毛利との戦でも使った策のひとつです」


俺の言葉に助五郎殿は


「あの毛利をくだした戦ですな!いやあ、あの話は兄でもある相模守様からも文で教えてもらいましたが、


柴田殿は「百里を十日で走り抜く」と決断して、家臣だけでなく、与力の方々も走らせて、そこから毛利を叩きのめしたそうではないですか!


いやあ見事、いや、見事過ぎる策ですな!普通の人間は百里を十日で走り抜くなど、考えませぬぞ!


やはり、柴田殿の考える策は敵味方問わず、驚きますなあ」


とてもテンションが上がってしまった。これは、話を変えよう


「助五郎殿。そう言ってくださるのは、ありがたいのですが、拙者の策も完璧ではありませぬ。万が一にも失敗する可能性も、充分にあります!


そこで、もしも此度の「館林城で松田の軍勢を一網打尽にする」が失敗した場合、松田達が籠城をしそうな城は、北条家の領地にありますか?」


「そうですなあ」


俺の質問に助五郎殿は


「武蔵国の北部、それこそ鉢形城よりも北にある忍城ではないでしょうか?かの軍神、上杉謙信も落とせなかった城のひとつですので」


某映画で有名な忍城を上げる。映画とは違う可能性もあるから、聞いておこう


「助五郎殿、その忍城、どの様な城か教えていただきたい」


「大まかに言えば、平城なのですが。その場所が絶妙に攻めづらい場所なのです」


「どの様な場所なのでしょうか?」


「南北を川に挟まれており、更には、城周辺に沼もあるのです。他には、忍城への道の中で一本道だけの場所もあるので、


攻め手の足が止まり、逆襲を喰らう事もあったとか。拙者が幼い頃に父上や祖父様から聞いた話ですので、どこまで本当かは、分かりませぬが」


「いえいえ、そこまで教えていただき、忝うございます。ですが話を聞くに、


松田の軍勢が忍城に籠城した場合、とても苦しい戦になる事は、間違いないと見て良いでしょうなあ」


「出来れば、それは避けたいですな」


「考えてばかりだと、頭の中が混乱して来るので、少しばかり身体を動かして来ます。それでは、失礼」


俺はそう言って、大広間を出た。助五郎殿の話す忍城は、某映画とほとんど同じと言っても良いな。はっきり言って、水に浮いている感じの城って事だろ?


万が一にも、松田が忍城に籠城したら水攻めはやったらいけない策だから、止めよう。まあ、俺が色々言わなくても、


家康と氏直は武将としてちゃんとしていると言うか、マトモだから、後先考えずに水攻めを取らないだろう


とりあえず、今はこの館林城で松田の軍勢を一網打尽にする事に集中しよう。


この時の六三郎は、織田家からの援軍が来る事を完全に忘れていた。そして、その援軍のせいで残業になる事など、当然知る由もない。

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― 新着の感想 ―
どんどん信雄のフラグが立ってきて、連鎖的に残業フラグが濃くなっているw 信長も勿論だけど、六三郎の堪忍袋の尾がどうなるか怖いな…。
信雄のフラグが着々と建てられていく⋯
織田三介信雄が右府様と二郎三郎様にブチギレられる姿が見える見える
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