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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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もう1人の超脳筋も奇跡を起こす頃、鉢形城では

天正二十一年(1593年)二月二十日

出羽国 最上家屋敷


銀次郎が越後国で上杉家を動かす奇跡を起こした数日後、出羽国の最上家屋敷では


「竹と駒は上手く馴染めておる様じゃな。今も甲斐国で、簡単な仕事をしながら美味い物を食べているとの知らせじゃが、そこで信玄公の次男の嫡男であったり


徳川家の次男とも多少は顔見知りになったというのも良い事じゃ。のう、たえ


「誠に、そうですねえ。どうしても奥州では何処かで近しい親類にあたりますから。でも、殿も思い切った決断をしましたねえ


あれだけ可愛がっている二人を、婚姻縁組の為とはいえ、顔見知りも居ない家に行かせるなんて」


「はっはっは!手の者を動かして、柴田播磨守殿に関する情報は、徹底的に調べ上げたからのう。あの若武者ならば、良き嫁ぎ先を見つけてくれそうであるし、


無碍に扱う事は無いと判断した!まあ、息子達を動かせなかった事も理由のひとつではあるがな!」


「改めて、思い切った決断ですね」


最上義光夫妻が娘達の事を心配しつつ、六三郎が良縁を持って来る事を期待する会話を大広間でしていた。そんは夫妻の元に、


「殿!柴田播磨守様の家臣と名乗る者が、文を持って参りました!如何なさいますか?」


「誠か!?連れて参れ!」


新左衛門が到着した事を伝えて、義光はすぐに出立に連れて来る様、命令する。新左衛門が到着する前に主だった家臣も集めておく。そして、新左衛門が到着すると


「よくぞ参られた!原殿であったな!最上従五位下出羽守じゃ!柴田播磨守殿からの文、見せてくだされ!」


「こちらにございます!」


挨拶もそうそうに、六三郎からの文を受け取り、読み出す


「どれ。「最上出羽守殿へ。柴田播磨守にございます。いきなりの文、申し訳ありませぬ。事が事だけに前置き無しに本題に入らせてもらいますが


実は、拙者は現在、織田家の同盟相手である北条家の領地で働いているのですが、その北条家で謀反が起きたのですが、その謀反の首謀者の松田とやらが、


最上殿の領地に近い上野国北部を征圧しただけでなく、北条家から武田家へ割譲した上野国南部に進軍する可能性があります


そこで、最上殿にお願いしたい事として、松田が上野国南部に進軍しない足止めをしてもらいたく存じます


無論、進軍してくれと言うわけではありませぬ!そこで、最上殿に行なってもらいたい事として、松田へ援軍する振りの文を、目の前の原新左衛門に渡してくだされ


その文を、松田の軍勢の中に紛れ込んでいる手の者に渡して、足止めをしたいと思います。なので、是非ともご協力をお願いします」との事じゃが、


原殿よ。柴田殿は中々に壮大な策を展開しますな。ですが、その様な壮大な策に文だけの参加では、蚊帳の外ではありませぬか!


原殿、我々最上家も北条家の謀叛を鎮める戦に参加しましょう!あまり多くの軍勢は出せぬか、それでも多少の助けにはなりましょう!」


文を読み終えた義光は、新左衛門に「最上家も出陣する」と宣言した。その言葉に新左衛門は


「よ、よろしいのですか?主君、播磨守様は文だけでも良いと仰っていたのですが」


驚きながらも、義光へ出陣の確認を行なう。しかし、義光は


「はっはっは!「柴田の鬼若子」と呼ばれる程の猛将の家臣とは言えど、この様な場は得意ではないか!まあ良い!ほれ、柴田殿の元へ行こうではないか!」


新左衛門の言葉を無視して、出陣を促す。義光の言葉を聞いて新左衛門は


「は、ははっ!」


返事をして立ち上がる。しかし、


「あ、あれっ?」


これまでの苦労が祟ったのか、目眩と同時に倒れる。推定身長180センチの新左衛門が倒れた事に、最上家の面々は


「は、原殿!?」


「医師を呼びなさい!早く!」


「は、はい!」


新左衛門を医者に見せる事にした。程なくして医者が新左衛門を診察した結果は


「過労、つまり働きすぎですな。しかし、これ程の屈強な体躯の持ち主が倒れる程に疲れるとは、この方の主君は、どれ程の無理をさせたのでしょうか?」


「働き過ぎ」だった。医師の診察を聞いて、義光は


「六尺はあるであろう偉丈夫が倒れる程、働かせるとは!しかし、倒れるまで働きたいと思う程、素晴らしい主君なのじゃろうな。柴田殿は」


六三郎の事を「倒れるまで働きたくなる程の素晴らしい主君」と、評価していた


最上家がそんな状況になっていた頃、鉢形城でも動きがあった。その動きとは


天正二十一年(1593年)三月一日

武蔵国 鉢形城


「ほう、六三郎殿は中々に壮大な空城の計で松田とやらを仕留める予定なのじゃな!使者殿、そう言う事らしいぞ?」


「あの、徳川様と柴田様。その様な策は、誠に可能なのでしょうか?」


皆さんこんにちは。現在、鉢形城に館林城城主、北条助五郎殿の使者が来て、提案した「館林城を山ごとぶち壊す」の説明を聞いている状況を眺めております柴田六三郎です


まあ、具体的な「◯◯の計」なんて格好いい名前なんて、俺には分からなかったのですが、家康から「空城の計」という名前がある事を、今知りました


俺個人としては、そんな格好いい名前じゃなくて、戦隊モノにありがちな、土砂崩れを起こして、その土砂で松田達が生き埋め!と考えていたのですが、


冷静になって考えてみたら、史実の内ヶ島さんの帰雲城と同じ展開でした


ですが、本能寺の変が起きる時期を過ぎたとはいえ、史実で起きた事を別の場所で再現したら、運命のイタズラが起きるかもしれません


なので、今回は館林城を壊すだけにとどめたいと思います。それでは、説明に入りましょう


「使者殿。正直に申し上げるならば、館林城が無ければ、松田達も逃げ回るだけになります!ですが、松田達を追いかけまわすなど、無駄な事ですから、


鉢形城に松田達が入ってから、一挙に大量の硝石で爆殺する!それが、此度の策です!だからこそ、新太郎殿から助五郎殿へ確認の文を送ったのです」


「な、成程」


使者殿は一応、理解してくれた様ですので、


「なので、松田達が館林城の目と鼻の距離に入る前に、全員館林城から退去していただきたく!」


ダメ押しの説明をすると


「分かりました。急いで戻り、殿へ説明させていただきたいのですが、柴田様。大変失礼ですが」


ちょっと待て!嫌な予感がするんだが?


※六三郎の嫌な予感はフラグです


「共に館林城へ行き、助五郎様への説明をお願いします」


やっぱりじゃねーか!まあ、家康と北条家の軍勢、合わせて約四万四千居るし、俺の約九千が減っても大丈夫だろう!


「分かりました。それでは、館林城への案内、よろしくお願いします」


こうして、六三郎も銀次郎と新左衛門に負けず劣らずな働きをする事が決定した。

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― 新着の感想 ―
さぁ松田殿、3方向から囲まれて無人の城に恐る恐る入り、罠や伏兵が居ないのを慎重に調べてやっと安心してキセルに火をつけるために(なぜか)城主の席の隣に据え付けられている火鉢に炭を入れさせたら底から導火線…
六三郎も定期的に働き過ぎで倒れてたし、大役を任されたという思いで二人とも頑張ったんだろうなぁ。 援軍で包囲網作ろうとした松田が逆に囲まれつつあるw
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