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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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急いで戻ると戦況は悪化していた

天正二十年(1592年)十一月十日

武蔵国 鉢形城


「柴田殿!よくぞ、戻って来てくれた!」


「誠に!よくぞ戻って来てくれた!」


皆さんおはようございます。本日、武蔵国の鉢形城に戻って来ました柴田六三郎です。いやあ、思ったより早く鉢形城へ戻れて、ホッとしております


何とか1ヶ月くらいで甲斐国から戻って来ましたからね。往復で五十六里を1ヶ月で移動出来るなんて、


中国超大返しに比べたら、本当に気持ちも身体も楽ですよ。帰り道は馬を使わせてもらいました。そして、驚いたのが、


源四郎か復興従事者の皆さんに、基礎的な理財を教えたり、筋トレを教えたりしていたので、新田小太郎くんや、楠木左衛門尉くん以外にも、体力自慢が増えていた事です


これは、織田家から派遣された従事者達のリーダーの松永彦兵衛くんや、弟の市之助くんも逞しくなっておりましたから、早く移動出来たのかもしれません


そして、早く移動出来た事で鉢形城が無事である事を確認出来て、安心しております


更に、源三殿の3人目の側室のくる実殿が予定通りなら今月中に出産するのですから、戦火に巻き込まれない為にも俺達も頑張らないといけません!


とりあえず、虎次郎くんと五郎さんと於義伊くんを北条家の皆さんに紹介しておこう


「新太郎殿、源三殿。此度の戦に参戦していただいた方々を紹介したいので、よろしいでしょうか?」


「おお!済まぬ!それでは、自己紹介を頼む。そちらの若武者から」


新太郎殿が、虎次郎くんを指名したので、スタートは虎次郎くんからになる


「ははっ!拙者、甲斐武田家当主、武田虎次郎と申します!


「虎次郎様の傅役で、先代当主、四郎勝頼の弟の仁科五郎と申します」


「徳川従四位下権右近衛少将の次男で、北条左京大夫様の正室の督姫の弟の徳川於義伊と申します」


3人の自己紹介を聞いて、新太郎殿は


「おお!武田家当主直々に出陣とは!見事な気概を、若いながらに持っておる!そして、信玄公の実子の仁科殿、督姫様の弟の於義伊殿も、良くぞ来てくださった!左京大夫様の叔父で、この鉢形城城主の北条新太郎にござる」


3人に自己紹介して、源三殿も


「拙者からも。お三方共、良く来てくださった!新太郎の兄の、北条源三にござる!」


自己紹介をして、俺が間を取り持つ事は無くなった。そんなやり取りを終えると、幻庵様、もう幻庵爺さんで良いか


幻庵爺さんから、中々キツい情報を伝えられる


「柴田殿。そして、お三方。北条幻庵と申します。左京大夫様の曽祖父の弟で、八十歳を超えた年寄り爺にございますが、よろしくお願いします


さて、それでは早速、本題である此度の謀反の首謀者の松田の動向についてですが、柴田殿が武田家へ話を伝える為に動いていました


この一ヶ月の間に、上野国の北部のほぼ全域を征圧したと、潜入させている手の者から報告がありました」


まさかの、既に上野国の北部がほぼ征圧完了という情報でした。それを聞いた五郎さんは


「幻庵殿!もしも、上野国全域を松田とやらが征圧した場合、松田が動かせる兵はどれ程になりますでしょうか?」


長年の戦経験から、上野国全域を征圧された場合の松田の増員を聞いてきた。五郎さんの問いに幻庵爺さんは


「仁科殿。細かい数字までは言えませぬが、上野国一国は、およそ五十万石の領地なので、武士だけでも四千人と見て、百姓まで合わせると八千人は動かせると考えた方が良いでしょう」


「最悪の場合、松田の軍勢に八千人追加されるよ」と教えてくれました。確か、松田が出陣した時は五千人だったから、五千人に八千人を加えると、、一万三千だな


最悪の場合が現実になったら、俺達だけで対処出来るか分からないし、北条家に反抗的な勢力が松田の味方になるかもしれない!そんな事になったら、


泥沼確定で、俺が実家に帰るのが遅くなるじゃないか!冗談じゃねえぞ!俺はさっさと仕事を終えて、


実家に帰って嫁や子供達とのんびり過ごしながら領地経営したいんだよ!俺の夢を邪魔するなー!


※六三郎は叶わぬ夢を見ています


六三郎は、叶わぬ夢になる事を回避する為、この戦を出来るかぎり早く終わらせる為、色々と考え出す


(仕方ない!こうなったら、松田が上野国南部征圧に来た時に叩きのめすか?いや、壊滅的な被害を与える、


いや、そんなまどろっこしい事をせずに、松田の頸だけを狙うか?いや、待て!上野国南部での戦は、あくまでも武田家が頑張らないといけないんだった!


でも、武田家の軍勢は上杉との戦の時より少し増えたとはいえ、最大四千人。今回はその半分の二千人を連れて来ている


それに加えて於義伊くん達徳川家の五百人と、柴田家の七千人と復興従事者の中から出陣希望者を加えた合計は九千六百人。そこに新太郎殿の軍勢と、源三殿の側周りの合計の約四千人を合わせて、約一万三千人か


これは、家康の軍勢と、北条家本家の軍勢が来ないと厳しいだろうなあ!さて、地形の事は北条家の面々に聞くとして)


六三郎が色々と考えていると、勿論本人は自分の世界に入っているので、いつもの姿勢で考え事をしていた。それを見た面々は


「また、柴田殿が考えこんでおるな」


「きっと、数的不利を覆す策を考えているのじゃろうな」


「まるで、頭の中で戦をしている様じゃ」


「五郎叔父上。六三郎殿は松田を壊滅まで追い込む策を考えているのでしょうな」


「御館様。楽しみではありますが、六三郎殿の策を待ちましょう」


「幼い頃に見た記憶の中の六三郎様じゃ」


色々と考えながら、六三郎が何かを言うのを待っていた。そして、


(これだな!)


六三郎は何か策が出た様で


「新太郎殿、源三殿、幻庵様!上野国南部の事で、色々と教えていただきたいのですが!」


3人に質問する。先ず


「新太郎殿!上野国南部で、北条家一門の方か、絶対に松田の誘いに乗らない忠誠心の高い家臣の方は居ますでしょうか?」


松田と戦う者が居るかと聞き、新太郎は


「上野国南部ではありませぬが、南東部には、源三兄上と儂の間の助五郎兄上が城主を務める上州館林城がありますが」


そう答える。続いて六三郎は


「その、上州館林城は守りが固い城ですか?」


館林城の防御力を聞き、源三から


「館林城は、中々の堅城じゃ。簡単には落とせませぬぞ」


館林城が堅城であると教えてもらい、


「それならば、その館林城を奪われない事が、松田との最初の戦になりますな!」


そう宣言する。それを聞いた幻庵は


「柴田殿。館林城は堅城ですので、奪われる心配をするよりは」


六三郎の策に待ったをかけようとするが、六三郎は


「皆様、考えてくだされ!絶対に落ちない城など、ありませぬ!そして、松田は館林城を手に入れる為に進軍すると見て間違いないかと!


恐らくですが、松田の狙いは自らが北条家に謀反を起こし、それを呼び水として、北条家への反抗勢力が決起することでしょう!


その為に堅城である館林城を手に入れて、籠城の準備をしながら、各地の勢力へ決起を促す文や使者を送る算段のはず!


これがもしも現実となった場合、関東は終わりの見えない泥沼の戦に入る可能性が高く、そうなっては、織田家と徳川家が命懸けで働いて、


終わりの見えて来た戦乱の火が、再び燃え盛ってしまいます!拙者は、まだまだ幼い新次郎殿や、新太郎殿のお子達、源三殿のお子達の世代は戦無き世で


生きて欲しいと願っているからこそ、此度の松田の謀反は、出来るかぎり早く止めないといかぬ!そう思っております!


なので、その一歩として館林城を奪われない為の戦の準備に取り掛かりましょう!」


早く実家に帰りたい事を、かなりオーバーな言葉で誤魔化しながら、出陣の提案をする。それを聞いた北条家の面々は


「関東が泥沼にならぬ為だけでなく」


「状況次第では戦乱の火種が燃え盛ってしまうと」


「そして、幼子達の為に戦乱の世を終わらせるとは」


六三郎の言葉に、思う所があった様で


「柴田殿。分かりました」


「館林城を奪われない為に出陣しましょう」


「この年寄り爺は皆様のご武運を祈っております」


六三郎の提案を受け入れた。しかし、六三郎は幻庵に対して


「幻庵様。幻庵様にも戦う術はあります。むしろ、幻庵様にしか出来ない事です」


「お前も働け!」的な発言をする。しかし、幻庵は


「この年寄り爺に何が出来るのでしょうか?」


六三郎の言葉を疑っている。そんな幻庵に六三郎が頼む事とは?

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― 新着の感想 ―
読者側になった六三郎「幻庵爺、テメェが泳がしたからデケェ事態になってんだ。傍観なんて許さねえぞ」
不覚にも叶わぬ夢は笑ってしまったw しかしこういう時は信長ですら使う所あるし、幻庵さんには六三郎の真骨頂をいっぱい味わって頂きましょう。
上杉と北条の間でピンポン玉のように領主が入れ替わってるから館林城は落ちない城じゃないから六三郎の懸念も現実的ですね。そして信雄くんがひとり暴走して敵軍に突っ込んで六三郎の仕事が増えるんだろうなぁ……そ…
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