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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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合同訓練初日の結果は

六三郎と幻庵が、赤備え達の元へ向かうと、そこでは赤備え達は筋トレをしていたが、北条家の若武者達は、1割以下の何人かはスクワットをしていたが、


ほぼ全員、立ち上がる事も出来ない程、疲れ果てていた。それを見た幻庵は


「何と情けない」


と、怒りを通り越して、呆れ果てていた。側に居てその声を聞いていた六三郎は


「幻庵様。最初は誰もが、ああなります。しっかり食べて、長い時間眠っていくと、赤備えの皆の様に屈強な身体になるのです。それに源三殿も最初の数日に関しましては、あの状態に近いものがありましたから」


と、フォローを入れる。フォローされた幻庵は


「そう言ってもらえて、気が少しは楽になりますが。そう言えば、今の会話で思い出しましたが、


柴田殿が源三殿や源三殿の奥方達の料理を作っているそうですな?是非とも、我々の連れて来た料理人達に教えてくだされ」


料理を六三郎から教えてもらう話を出して、六三郎も


「ええ。元々、その様に伺っておりますので。それでは、若者達は歩くのもやっとと思いますが、そろそろ飯にしましょうか」


そのつもりである事と、そろそろ飯を食わせようと幻庵に伝えて、


「そうですな。歩くのもやっとと思いますが、それくらいは頑張ってもらいましょうか」


その後、合同訓練終了を伝え、歩くのもやっとな北条家の若者達と赤備え達を置いて、六三郎と幻庵は先に鉢形城へ戻り、飯の準備に取り掛かる


鉢形城の台所には、既に北条家の料理人が2人準備していた。2人は


「太郎と申します」


「四郎と申します」


と、六三郎に自己紹介し、六三郎も


「柴田播磨守六三郎です。拙者の料理でも、皆様の腕にかかれば、更に旨くなると思います。よろしくお願いします」


自己紹介を返す。それを側で見た幻庵は


(腰が誠に低いのう。それでいて、必要以上に自身を卑下しない。この為人ならば、織田家の重臣でなくとも、何処ぞの武家、いや、商家でもそれなりの地位を築けるじゃろうな


それでいて、戦に出陣すると、敵を完膚なきまで叩きのめすと。じゃが、自らの軍勢か中心でなくとも良いと言う、器の大きさも見せるとの事じゃが、


う〜む。この若武者の胸の内や思考が誠に分からぬ!分からぬ事と言えば、何故、この若武者は九十万石程の大領を持っておるのに、


甲斐国の復興には七千人しか連れて来ておらぬ。北条家は関東二百万石で、五万人は動員出来る事から鑑みるに、一万人は連れて来ても良かったのでは?


それをしなかったのは、北条家を含めた関東の諸家を刺激しない為か?だとしたならば、若い頃から情勢が見えておるな


しかし、大領を持ち、主君どころか、家中の者達からの信頼も強いのに、何故、嫁が正室と側室合わせて五人しか居らぬのじゃろうか?


それでいて、子は三人居て、嫡男の男児と娘が二人。別にそこはおかしくないのじゃが、まだ子を産んでおらぬ側室を、医術の心得が多少あるとはいえ、


働かせるとは。不思議過ぎる!更には家臣達も、前線で戦う赤備え達は北条家の若者達と共に訓練をする事は変な事ではないが


内政を担う者達は、何処の家の子供であろうと、分け隔てなく理財を含めた色々な事を教えておったそうじゃが、他家の賢さが上がる事を良しとする家など、


聞いた事が無い!この半年のうちに、何とか柴田殿の胸の内や思考を読んでみようではないか)


六三郎の胸の内を読む事にやる気を漲らせていた。幻庵がそんな事を考えている中、料理は進み、一品目の料理である、雉の澄まし汁が完成した


それを料理人達が飲むと、


「う、美味い!」


「雉の骨から取った出汁と野菜の旨みが!」


「豪勢な材料など使っていないのに!」


美味さに驚いていた。その雉の澄まし汁を六三郎は幻庵に持って行き、


「幻庵様も飲んでみてくだされ。冷えた身体にもってこいな味ですぞ」


そう言って進める。進められた幻庵は


「それでは、いただくとしましょう」


そう言って、一口すすると


「これは美味い!儂の様な年寄りでも、もう一杯と飲みたくなる汁物ですな」


気に入った様で、饒舌になっていた。感想を聞いた六三郎は


「そう言っていただき安心しました。それでは、これから、関東の方ではあまり有名かは分からない料理を作りますが、食材を見て驚かないでくだされ」


そう言いながら、ウナギの入った桶の蓋を開けると、


「柴田様!宇治丸を食すのですか?」


「ぶつ切りや煮込み以外に食べ方があるのですか?」


「こんな蛇みたいな見た目なのに、美味くなるのですか?」


料理人達は疑問を口にする。しかし、六三郎は


「一手間、もしくは二手間くらいかけると、宇治丸はとても旨くなりますから」


そう言いながら、ウナギを捌き始める。料理人とのやり取りを見ていた幻庵は


(う〜む。通常、教わる者があの様な口答えしようものなら、無礼であると切り捨てもおかしくないのに、その様な事を一切せんとは。


不思議じゃのう、その様な控えめで腰の低い態度ながら、荒々しい性質で知られておる甲斐国出身の者が家臣に多い。戦上手の一言では片づけられない程、


仕えたくなる理由があるという事か?それ程の魅力や覇気は今のところ感じぬが)


六三郎の為人を見極めようとしていたが、まったく読めなかった。その幻庵に、六三郎がウナギの白焼を持って行き、


「幻庵様、食べてみてくだされ」


食べる様に促す。言われたとおりに食べた幻庵は


「こ、これが宇治丸とは信じられぬ!あの、宇治丸独特の嫌な歯触りか無い!それでいて、歯応えもありながら、程よい柔らかさじゃ!


味も塩を少しつけただけなのに、とても美味い!柴田殿、八十年以上生きておりますが、宇治丸がこの様に旨くなる事、初めて知りましたぞ!長生きはするものですな」


美味かったと六三郎に礼を言うと、六三郎は


「幻庵様が気に入ったのであれは、若者達に出しても大丈夫そうですな!それでは、料理を作り上げてしまいましょう!」


そう言いながら、料理人達も使いつつ、ウナギの白焼と蒲焼とう巻き、雉肉の唐揚げ、ウナギの澄まし汁と雉の澄まし汁を人数分作り上げて、大広間に運ばせた。

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― 新着の感想 ―
実態は社畜でも外から見ればそうなりますねえ。ただ、外部の評価が高いのが社内で完結してしまう会社員よりはぜんぜんいいのかもしれません。
幻庵の中の六三郎像が膨れ上がって阿修羅みたいに三面六臂になってきそうw
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