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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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新たな酒の試作品が出来たので試飲会を開いたら

戦国時代の材料と設備の限界で作る、大昔のビールの再現話です。違うだろと思う人も居ると思いますが、フィクションという事で、ご了承ください。

天正十九年(1591年)十二月三十日

武蔵国 鉢形城


六三郎が鉢形城に派遣されて2ヶ月目の年末、六三郎は城主の新太郎に頼んで作ってもらった、仮の酒蔵で酒作りの最終段階に来ていた


(何とか葡萄の酵母は確保出来たな。あとは、大麦を粉にして、大麦の粉からパンを焼いて、水に浸して、パンをほぐしてお湯を加えて、


中身を篩にかけてビール樽に詰めてそのままにししながら自然発酵させておけば、アルコール度数の低い、苦味と大麦の香りがある大昔のビールになる


お湯を加える時に、桃や葡萄の果汁を入れたら、多少は甘味のあるビールになる筈!よし、これは新太郎殿に相談だな!)


六三郎は頭の中で手順を並べながら、新太郎の元へ向かうと


「新太郎殿!新たな酒作りで準備していただきたい物があるのですが、よろしいでしょうか?」


「どの様な物が必要なのですかな?」


「はい。これと、これと、これと」


新太郎の質問に、六三郎は必要な物を説明する。説明を聞いた新太郎は


「柴田殿!完成したら、その新たな酒を呑ませてくだされ!」


再現ビールを呑ませてくれとリクエストする。六三郎は


「新太郎殿。この新たな酒は、どれくらい熟成させたら良いか分からないので、いつ頃完成するか、分からないのですが、それて待てますか?」


「完成がいつになるか分からない」と伝えておくが、新太郎は


「来年のうちに呑めたら良いと思っておる。だから、よろしく頼見ますぞ」


「来年中なら、いつでも良い」と伝えて、六三郎に必要な資材を渡す手配を始める


そして、年が明けると


天正二十年(1592年)一月三日

武蔵国 鉢形城


(よーし!とりあえず小さめの樽で20樽、大昔の再現ビールの基礎は作ったぞ!ここからエールと呼ばれている上面発酵だと、6日を発酵期間にあてて、


そこから2週間程度を熟成期間として、とりあえず完成としよう。このなんちゃってエールは5樽までにしよう


それから、ラガーと呼ばれている下面発酵だと、10日を発酵期間にあてて、1ヶ月を熟成期間として、完成としよう。このなんちゃってラガーも5樽までにしよう


エールもラガーも試飲したけど、好き嫌いの別れる味だよなあ。まあ、こればかりは呑んだ人達の意見次第だな


残りの10樽は、今年の秋にワインと一緒に出荷する為に保存だな)


六三郎は年末年始を返上して、再現ビール製作に集中していた。勿論、その間も源三と側室達の体力回復料理を作ったり、赤備え達と共に身体を鍛えていた


そんな状況だったので、この期間、1日の睡眠時間は平均4時間程だった。そんな六三郎を見て、新太郎の家臣も、源三の家臣も全員、


「「織田家は重臣の方でも休む事を許されないのか」」と盛大な勘違いをしていた


そんな酒作りが一段落落ち着いてから、2週間後


天正二十年(1592年)一月十七日

武蔵国 鉢形城


この日、六三郎は再現ビールのうち、熟成期間の短いエールの樽を大広間に持って来ていた


「新太郎殿。新たな酒のうち、1番短い熟成期間の酒が完成しました」


ビール樽を見た新太郎は


「おお!これが、柴田殿が手探りで作り出した酒の入った樽か!呑んでも良いのですか?」


「早く呑ませてくれ」と急かしたが、六三郎は


「新太郎殿。拙者は熟成期間に入る前の物を試しに呑んでみましたが、好き嫌いの別れる味でしたので、お気に召さない可能性もあります」


「とても不味い可能性がありますよ」と事前に説明すると、新太郎は


「はっはっは。柴田殿。熟成させる前の酒は大体、不味いものですぞ。十日以上も寝かせたのですから


それなりに美味い酒になっているでしょう。それでは、樽の蓋を開けて、呑むとしましょう」


「熟成期間に入る前の酒は不味くて当然」と、笑い飛ばした事で、全員にビールが振る舞われる事になった


全員、湯呑みにエールを入れた事を確認した新太郎から


「それでは皆、新たな酒を日の本で一番にいただこう!乾杯!」


「「「「乾杯!」」」」


乾杯の挨拶が行なわれて、一斉に呑みだす。呑み終えた者から


「これが麦から出来ているとは信じられぬ!」


「麦の甘味と苦味が良い塩梅じゃ!」


「一番短い熟成期間の酒で、これだけ美味いのですから、更に熟成期間を設けた酒は更に美味いのでしょうなあ」


エールの味に高評価を出していた、そして、新太郎はと言うと、


「柴田殿。家臣達が既に言っておりますが、麦の甘味と苦味が良い塩梅ですな。これだけでも美味いのに、更に熟成期間を設けた酒も期待してしまいますなあ」


エールでも満足していたが、まだ味わってないラガーに、かなりハードルの高い期待をしていた


新太郎の言葉を聞いて、六三郎は


「新太郎殿、そして家臣の皆様。更に熟成期間を設けた酒は、今日から1ヶ月後に呑んでいただきますので、その時までの楽しみとしてください」


「1ヶ月待ってくれ」と伝える。それを聞いた新太郎と家臣達は


「分かった。一ヶ月後を楽しみに待つとしよう」


「今から待ち遠しいですな!」


「我々でも作れる様にしたいですな!」


「御本家を通じて、織田家に酒造の許可をいただきたいですな」


とても盛り上がっていた。その様子に六三郎は


(なんちゃってエールがこれだけ好評なら、なんちゃってラガーも大丈夫そうだな)


と、少なからず確信を持っていた。そんな和やかな雰囲気の大広間に新太郎の正室の福が現れて


「新太郎様!医師をお願いします!」


医者を連れて来てくれと頼む。新太郎は


「何か起きたか?」と聞くと、福は


「源三義兄上の側室のかな子殿ときく乃殿が、やや子を授かった可能性があります。これより先は私も分かりませぬ。なので医師が必要です。お願いします」


源三の3人の側室のうち、2人に妊娠の兆候があると伝える。それを聞いた新太郎は


「ま、誠か?兄上に伝えて、医師も呼んで、み、皆!急ぎ医師と兄上を呼んでまいれ!」


「「「ははっ!」」」


「兄上が父親になる可能性が高まっておる!何と良き日か!」


エールのせいで、少し酔っていたが、それでも、源三が父親になる可能性が上がっている事に、興奮を隠せなかった。

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― 新着の感想 ―
まさかの睡眠時間から六三郎が定期的に倒れる理由が分かった気がするw なんちゃってだろうと、まず最初の試作品を作るのが一番大変ですからねぇ。 ワインと合わせて造酒業界が一気に働き手不足になりそうだw
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