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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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バレてるけど接待すべきか?

「では、儂が先手で始めるぞ」


「はい。お願いします」


「では」


パチン


「では拙者も」


パチン


パチン


パチン


パチン


「ふっふっふ。吉六郎よ」


「何でございますか徳川様」


「お主、国松との対戦では手を抜いていたであろう?」


「見抜いておりましたか。正直、国松殿は拙者と同じく元服前なのに見事な武辺者の片鱗を見せております。まともに武芸で競ってはとてもとても。


だからこそ将棋で戦ったのです。ですが、あれ程のお人が周りを使える様になれば徳川様も戦が楽になると思いますが」


「ふっ。元服前にも関わらず主家の同盟相手を気遣うか」


「父上から常に「うつけな振る舞いをするな」と口うるさく言われております。だからこそうつけな振る舞いにならない将棋は少しばかり気が楽になり、


相手を気遣う事も出来るのです。もっとも、それは相手が拙者より将棋が弱い時の話ですが」


パチン


「ふっ。ならば現在戦っている儂には全く気遣っておらぬ様じゃな」


パチン


「ええ。徳川様はお強いからこそ、手を抜いては失礼に当たると思っております」


パチン


「ふっふっふ。いつ振りかのう?これ程楽しめる将棋は」


パチン


「家臣の皆様やご家族の皆様とは将棋をしないのですか?」


パチン


「皆も将棋はやるが、強いと思ったのはお主が昨日話した弥八郎と平八郎と、他数人じゃな」


パチン


「殆どの家臣の方は将棋がお嫌いなのですか?」


パチン


「恐らく今川義元公の影響じゃろう」


パチン


「どう言う事でございますか?」


「吉六郎。お主は知らぬかもしれぬが、三郎殿が桶狭間で義元公を倒した当時、儂は一応今川の親族衆ではあったが、


実質的には三河国を今川の領地として自由に使う為の人質であり駒であった。


その義元公が将棋と囲碁を好んでいたから、家臣の殆どは将棋が嫌いなのかもしれぬ」


パチン


「それは、その時代を知っている家臣の方ほどそうなると拙者は思います」


パチン


「ふっ。元服前の小童にも関わらず達観しておるな」


パチン


「父上や父上と歳の近い家臣が常に戦場に居て、拙者は父上の代わりに領地の統治を周りの助けを得ながら頑張って来た結果にございます。


ただ、小童なので達観しているとは思っておりませぬ」


パチン


「万千代も言っていたが、中々に謙虚じゃな」


パチン


「井伊殿もそう仰っておりましたが、拙者は目立つ事が苦手だからこそ謙虚と呼ばれる程控えめに生きているのです」


パチン


「武田を撃退する程の策を立てておきながら目立つ事が苦手とは」


パチン


「徳川様。拙者は別に大領も華美な褒美も欲しい訳ではないのです。だから控えめに過ごしつつ、戦乱の世を早く終わらせて悠々自適に過ごせたら良いと思っているだけでございます」


パチン


「それは随分と難しい話じゃな」


パチン


「何故でございますか?」


パチン


「三郎殿は、お主が武田を撃退した事を声高に喧伝する様に書いた書状を儂含めて、周辺に出しておるぞ」


パチン


「え?」


パチン


「ふっふっふ。動揺しておるな。差し手が乱れておるぞ?」


パチン


「あ!こ、これは」


パチン


「ほう。少しばかり立て直したか。ならば、これはどうじゃ?」


パチン


「これは。ではこの手で」


パチン


「む!そこからその手を出すか。では、こう返す」


パチン


「ならば、ここで香車を此処に」


パチン


「ほほう。その一手を出すか。ならば返しの角じゃ」


パチン


「これは、この銀で対応します」


パチン


「ならばこの飛車で王手角取りじゃ」


パチン


「参りました」


「ふっふっふ。元服前ながら見事な将棋の腕じゃ。これは家中の元服前の子供では歯が立たぬのも納得じゃ」


「ありがたきお言葉にございます」


俺が平伏した時だった


「殿」


謀臣さんの声だった


「弥八郎。ここじゃ」


家康の声を聞いて弥八郎が襖を開けた


「殿、此方に、おや将棋をしていたのですか?」


「うむ。吉六郎とな。勝てたが吉六郎は中々の腕じゃぞ」


「それでは次は拙者と。ではなく、お耳を」


「何じゃ?」


二人がこそこそ話をしてるけど、それなら家康の私室でやってくれないかな?と俺が思っていると


「誠じゃな。これならば武田に勝つ可能性も増えるというものよ」


何だか家康がめちゃくちゃテンション上がったけど、武田軍にアクシデントとかか?

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