姫様が代表者の理由
「駒姫殿。その、何故に最上家は駒姫殿が名代なのか、それ相応の理由があるのですかな?あるのでしたらば、教えてもらいたいのじゃが」
俺の質問に駒姫は
「父上曰く、柴田播磨守様の元には最上家よりも先に、近場の幾つかの大名家が臣従の申し出をしているだろうから、
それが終わってから、領地に戻るその者達と入れ違いになった場合、自身と兄上達が居ないと戦になった場合、
負けてしまう可能性が高くなるので、そうならない為に、末娘の私を使者に立てて、領地を守る為。との事です!
女子で、年齢が九歳と小娘な私が使者では、誠意が通じにくいでしょうが、奥州の戦が終わる気配が無いためであると、ご理解の程お願いします!」
戦が起きた時の為に、男手を残す必要がある為、自分が使者として来た。と説明するが、六三郎は
(嘘くせえな!最上義光と言えば、「羽州の狐」なんて、あまりよろしくない二つ名を持っている程の謀略大好き人間だろ?そんな人間が、
「戦で人間が少ないんです!」なんて自分の弱みを正直に話すか?それも、末娘に言わせてまで!
あれか?俺が史実の秀吉みたいに、女に弱いスケベ人間だと思われているのか?だとしたら、俺にもっと子供が居てもおかしくないだろ!
おっと、考えが散らばってしまった!とりあえず、文か何かしらをもらって、駒姫にも早く帰ってもらおう!)
半信半疑だった。それでも、最低限のやり取りはやろうと決めた六三郎は
「その様な理由ならば、仕方ないですな。それでは、出羽守殿からの臣従の申し出の文等はありますか?
それと、拙者からの口添えの文を添えて安土城へ届けますので、いただきたいのですが」
申し出のふみを渡す様に促すと、駒姫は
「はい。父上が書いた臣従の申し出の文は此方なのですが、もう一つの文を渡す様に言われました
それから、柴田播磨守様に読み上げてもらう様にと言われましたので、お願い出来ますでしょうか?」
六三郎に文を2つ渡す。1つは、臣従の申し出の文との事だが、もう1つの中身とは?読み上げる様に頼まれた六三郎は
(おいおいおい!他の家の人達は、こんな事しなかったぞ?こんな小さい子供に、何をやらせてんだよ!
はあ、仕方ない。ささっと読んで終わろう。そして、駒姫達にも帰ってもらおう)
内心、そう思っていたが、口に出さずに
「そうですか。分かりました。では、「柴田播磨守殿、最上従五位上出羽守にございます。まだお会いした事も無いのに、文での挨拶、申し訳ない
末娘の駒が臣従の申し出の使者として目の前に居ると思いますが、今、柴田殿が読んでいる文は臣従の申し出とは関係ない内容ですが、協力をお願いしたい
簡潔に言いますが、使者一行の代表者である駒と、使者の中に居る駒の姉の竹の嫁ぎ先、とまでは行かずとも、柴田殿が良き男と思える武士との仲を取り持ってもらいたい!
理由として、奥州の男に良き男が居たとしても、祖父母か曽祖父母、もしくはそこら辺に近い親類が血縁者の可能性があるので、もはや、奥州以外に嫁がせないと、家が広がりませぬ
なので、柴田殿の人脈の中から、竹と駒の嫁ぎ先候補を見つけてもらいたく!まだまだお若い柴田殿に、
この様な無茶な頼み事をするのは、申し訳ないと思うが、よろしくお願いします!いさどなれば、柴田殿本人か嫡男、それか兄弟親類でも構いませぬ!
何卒よろしくお願いします」と、出羽守殿は言っておりますが、駒姫殿、竹姫殿。お二人はそれでよろしいのですか?」
文を読み終えた六三郎は、駒姫と竹姫に質問する。件の竹姫が駒姫の隣に移動して来ると、六三郎は
(おいおい!姉妹揃って美少女とか、最上義光も嫁さんも、どれだけ美形なんだよ!あれ?待てよ、確か最初に来た安房里見家も、常陸佐竹家も、使者はイケメンだったな
で、前に来た伊達家も小次郎さんはイケメンで、お袋さんは美人だったな。で、今日の最上家。うん、うっすら記憶にあったけど、この4家の共通点は、
里見家と佐竹家と最上家はそもそも源氏の血筋で、伊達家はお袋さんの実家が最上家だから、近い血筋に源氏の血筋が入っているという事か!武田家の皆さんも、イケメンだし。そう言う事だな!
いや、それで納得しても、この案件は終わらないんだからしっかりしろ!とりあえず、年齢を聞いて、誰かしら歳の近い人の親に話を持っていってみるか)
4家と武田家が美男美女揃いの理由を考える等で、現実逃避をしたが、社畜根性が六三郎を現実に引き戻す
そして、六三郎はいくつかの質問をする
「竹姫殿。今年で何歳になられましたかな?」
「今年で十二歳になりました」
竹姫の年齢を聞いた六三郎は、竹姫と駒姫に深い質問をする
「竹姫殿は十二歳、駒姫殿は九歳。お二人共、お父上である出羽守殿から、二人の嫁ぎ先候補を探してくれと言われましたが、それだと奥州から離れてしまいますが、それでもよろしいのですか?」
聞かれたら2人は、
「はい。父上は、私達に戦の無い場所に嫁いで欲しいからこそ、柴田様に頼んだと思われます!」
「なので、奥州から離れても、父上ならば納得してくれるでしょう!なので、よろしくお願いします!」
「地元から離れても良いから、嫁ぎ先候補をよろしく!」
と、平伏して頼んで来た。その様子に六三郎は
「虎次郎様。拙者の考えがまとまるまで、姫達を躑躅ヶ崎館に置いてもらえませぬか?」
虎次郎に2人の寝泊まりの許可を申し出る。虎次郎は、
「まあ、仕方ないですな。ですが、姫達二人にも、掃除などの簡単な仕事をやってもらいます。よろしいですな?」
竹姫と駒姫に、「タダ飯は食わさないよ?」と伝えて、2人も
「「はい。出来る範囲で頑張ります!」」
と、了承したので、最上家の姫達の寝泊まりが決まった。これで一安心。と判断して、この日の対応は終了した。




