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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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隠れ花嫁修行が進む頃、あの縁組が成立し、愚か者が立ち上がる

天正十六年(1588年)十一月十三日

備中国 備中高松城


「さて、三乃。今日は文字の書き方を教えます。始めますよ」


「はい!寧々様、よろしくお願いします!」


今日も三村家は全員、出仕して、父と兄は紀之介の仕事の在庫管理を手伝い、母は千代と共に女中としての仕事を行ない、三乃は寧々の元で読み書きを教えてもらっていた


これが隠れた花嫁修行である事を、三村家全員が知らない。そんな中でも三村家は小さくとも領地を手に入れる為、脇目も振らず働いている


羽柴家がそんな状況で一日が過ぎている頃、織田家中の2つの家に動きがあった


天正十六年(1589年)十一月三十日

越前国 明智家屋敷


場面は変わり、越前国へ移動して来た明智家の元に、顔馴染みの者達が集結していた


「婿殿!輝子の事、何卒、何卒よろしく頼むぞ!」


「もう、内蔵助様、飲み過ぎですし、泣き過ぎですよ。せっかくの輝子と十兵衛殿の祝言なのですから」


「そ、そうは言っても、弓。やはり、娘の嫁入りは嬉しいものじゃ」


「はっはっは!猛将として知られる佐々殿も、慶事の前では、そうなっても仕方ないですから、気にしても仕方ないですぞ」


「明智殿。それは言わないでくだされ」


明智家に集結していたのは、佐々越中守暮らし成政と継室の弓、その他にも参加者は居たが、その中で成政よりも落ち着いていたのが、


「父上。姉上の祝いの場なのですから、しっかりしてくだされ」


弓之助ゆみのすけ、少しは父の味方をせんか」


成政と弓の間に生まれた嫡男の弓之助だぅた。今年で数え8歳とは思えない程、落ち着いている弓之助に成政は


「弓之助よ、少しは子供らしい振る舞いをしても良いのだぞ?」


弓之助に対して、子供らしく振る舞えと言うが、弓之助は


「父上。そうは仰いますが、父上は日頃から「六三郎殿の様に」と言っておるではないですか。その事で、父上の他に、六三郎様と共に働いた経験のある母上から


六三郎様の為人や、やっていた事を教えていただきましたら、今の拙者と同じ歳で初陣を経験したり、元服したらしたで、各国に居て働いている。と言う、休む暇無く働いておられるのに、愚痴を一つも溢さずに


働いておられる、忍耐強いお方だと思っておりますから、そんな六三郎様の様になるには冷静でないと駄目ですから」


「六三郎みたいになるには、冷静じゃないと駄目でしょ?」と、成政に返した。そんな成政は弓からも


「内蔵助様。弓之助を六三郎様の様に鍛えたいのであれば、内蔵助様は六三郎様のお父上である、越前守様の様に弓之助に色々とやらせながらも、ご自身は


遠い所で働かないとなりませんよ?それも、一年以上も離れる事は前提としてです」


「あなた、六三郎の親父みたいに一年以上の単身赴任に耐えられるの?」と聞かれると


「それは、無理じゃ!戦の無い時は、弓之助の側に居てやりたい!」


と、また大泣きした。それを見て弓之助は


「母上、父上を泣かせないでくだされ。それに母上も、拙者の弟妹がこれから生まれるのですから、あまり興奮しないでくだされ。明智様、義兄上、父上と母上が申し訳ありませぬ」


光秀と光慶に頭を下げる。その様子に光秀は


「はっはっは!佐々殿、そして奥方殿。弓之助殿は、誠に素晴らしい子ですな。きっと、お二人の子育てが良かったのでしょうな」


弓之助だけでなけ、成政と弓も褒める。そんな穏やかな空気の中、祝言も最終盤に入り、光慶から成政へ


「義父上。義父上の様な勇猛果敢でも、父上の様な器用でもない拙者ですが、人生をかけて輝子殿に苦労をかけさせない事を、お約束します」


言葉が贈られると、成政は


「輝子の事、よろしく頼む」


と言いながら、光慶の手を握る。握り終えた後に一杯飲むと


「今日の酒は、我が人生で最高の一杯じゃ」


と、喜び、弓と弓之助以外が締めの一杯を飲むと、そのまま祝言も終了した


天正十七何(1589年)五月一日

越後国 五十公野城


場面は本来の流れに戻り、越後国へ。越後国の五十公野城に、景勝の決断への不満から上杉家への出仕を拒否している新発田重家が居た。出仕を拒否して半月、


自身の考えは変わらないが、その中で一部の家臣どころか、領民までもが減っている事を知ると重家は


「ええい!何故、儂の領地から人間が減っておる!!儂に不都合な事ばかり起きておるではないか!!


相変わらず、殿は織田家のやり方を取り入れる事を改めない事も気に入らぬ!おのれ!おのれ!おのれ〜!」


苛立ちを募らせて、更には景勝へ憎しみを持ち始めていた。そんな時、側に居た家臣から


「殿。家臣や領民達が落ち延びた先が分かりましたぞ!」


重家へ逃げた者達の情報がもたらされた。その流れで重家は


「誠か!その者達は何処に居るのじゃ?見つけて連れ戻してやる!」


とても興奮していた。そんな重家に家臣は


「ははっ!逃げた者達は上野国から甲斐国へ行き、そこで新たな土地と仕事を手に入れた様です


しかも、どうやら、その甲斐国で逃げた者達に仕事を斡旋している者、なんと、大殿の義兄にあたる人物との情報です」


六三郎が逃げた者達に仕事を与えていると伝えると、重家は


「また、織田の者か!織田のせいで誇り高き上杉家が壊れて行く!その様な事、断じて許せぬ!こうなったら出陣し、その者の頸を取り、殿の御前に出して、

考えを改めさせてやる!皆に出陣と伝えよ!」


「ははっ!」


家臣に出陣命令を出し、家臣は他の家臣に伝える為に重家の部屋を出ていくが、この家臣の正体は


(くっくっく。幻庵様の見立てどおりじゃ。上杉家の中に、現在のやり方に不満を持つ愚か者が居る。その者を焚き付けて、甲斐国で埋め立てをしている


柴田の鬼若子の戦の腕を見せてもらおうではないか。と、仰っていたが、こうも上手く行くとは。自らに都合の良い流れが続く事を疑わないとは、やはり愚か者じゃな。それでは、家臣達に出陣を伝えてくるか)


北条家の忍びの風魔だった。北条家は、六三郎の埋め立ての目的と戦の腕を知りたいが為、上杉家中の愚か者を煽って、出陣を決断させた


これで六三郎の出陣が決まったが、六三郎本人は当然この事を知らない。

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― 新着の感想 ―
揚北から甲斐国に逃げるなんてことは距離的にあり得ないのに、まんまと風魔に踊らされて哀れ。 しかも、戦を仕掛けるにしても周りは景勝派ばかりで越後から出られまい。 史実と開戦理由は違えど、景勝と織田連合軍…
これで織田家と何かあったとしても、埋め立ての手伝いと上杉の不穏分子の炙り出しで恩を売ってくスタイルか。 流石は幻庵爺さんですね。
おぉわざわざ六三郎の為に上杉の膿を炙り出してくれるとは、北条の爺さんの事をこれからはドクダミ爺と呼んであげようwww
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