名前の変更と突然の出張命令
元亀三年(1572年)十月二十三日
美濃国 柴田家屋敷内大広間にて
「さて、源太郎と源次郎。お主達が求めておる名前の変更についてだが」
「「大殿のお名前からいただけるのですか?」」
おはようございます。家臣の名前変更の場面に柴田吉六郎です。親父から「お前も将来関わる事だから、側に居ろ」と言われて今に至ります
「うむ。名前に関して聞きたい。お主達の通字である「昌」の字は下の方に使う事が決まっておるのか?」
「はい。父上と同じく下で使いたいのです。上に使えば、我等兄弟の仇である今の武田の「赤備え」を率いるあの男と同じになってしまうので、それだけは」
「そうか。上に使って良いなら儂の名前を一字ずつ分けようと思ったのだが、下で使うならば、これとこれにしよう。二人共、しばらく目を瞑ってくれ」
親父に言われて二人は閉じた。そして親父は紙に文字を書き始めた。そして間もなく
「よし」
完成した様だ。此処で俺が見るのも変な感じになるから動かないでおこう。そう思っていたら親父が
「源太郎、源次郎。お主達の新しい名前が出来たぞ!目を開けよ」
「「ははっ」」
二人が言われて目を開けると源太郎さんの前の紙には「虎昌」と、そして源次郎さんの前の紙には「猛昌」と書いてあった
「大殿!こ、この名前は父上と同じ名前ですが?」
「うむ。お主のお父上の話を聞いて、お主にはお父上の飯富家を再興の意思も強いからこそ同じ名前の二代目に合致すると思ったからこその、この名前じゃ!気に入らぬか?」
「いえ。若様に「赤備え」の大将に任命されただけでなく、大殿から父上と同じ名前を使って家の再興を後押しされる事がとても嬉しいのです」
「ならば、これからお主は飯富源太郎虎昌の名前で吉六郎に仕えよ」
「ははっ」
「そして源次郎!お主の新しい名前もお父上に関する事じゃ」
「この「猛」の文字が父上とどの様な関係があったのでしょうか?」
「うむ。お主達のお父上の通り名が「甲山の猛虎」と呼ばれていた事じゃな。そして戦において比類なき「猛将」になりお父上を超えて欲しい!という願いも込めて、この名前じゃ!どうじゃ?」
「仕えて間も無い拙者にそれ程の期待を。誠に嬉しい限りであります」
「ならば、これからお主は飯富源次郎猛昌の名前で吉六郎に仕えよ」
「ははっ」
「うむ。新しい名前に決まって心機一転として、源太郎と源次郎。そして吉六郎。お主達に儂が殿から授かった御役目として来月から一月程、遠江国の徳川様の元へ儂と共に行ってもらう」
おいおい待て待て。来月から徳川家に出張とか戦場に行く決死隊みたいなものだろ!
「ち、父上!それは父上だけの間違いではないのですか?」
「いや、殿はお主も連れて行け!と仰っていた。源太郎と源次郎は護衛じゃ。これは決定じゃ!諦めよ!」
これ、史実と違う三方ヶ原の戦い起きないよな?それ以上に武田との第二ラウンドが始まらない事を祈るしかないか。
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