その役目は俺じゃなきゃダメですか?
天正十六ねん(1588年)一月十八日
近江国 安土城
「はああ!柴田様の妹君達のお話も、何て素敵なのですか!妹君を嫁に迎える為に、母君から「武功を挙げて来い」と言われて、その為に出陣し、妹君達は、
無事を祈って、屋敷で待っている!そして、柴田様は妹君の幸せの為、義弟となる長宗我部様と上杉様が武功を挙げやすい様に、知恵を振り絞る!
そして、柴田様を信頼して行動する義弟となる長宗我部様と上杉様も、素晴らしいです!更に、更に!
讃岐守様と勝姫が繋いだ甲斐武田家の若き当主である虎次郎様が、柴田様の三番目の妹君の為に、甲斐国の復興を柴田様と共に頑張っておられる事が!もう!」
皆さんおはようございます。朝から良い表現だと作家、悪い表現だと腐女子な、安芸乃さんに茶々、初、江の馴れ初めを伝えております柴田六三郎です
本当なら、一昨日で全員の話を伝えて終わりの予定だったのですが、安芸乃さんが寝不足で執筆途中で寝てしまいましたので、前日からの再開となり、
やっと今日、終わりました。まったく、働き過ぎて、倒れるなんて、どこかの社畜みたいだな!
※六三郎は自分も過労で倒れた経験を忘れております
でも、やっと明日には甲斐国へ出立出来る!さあて、今日は明日の為に、ゆっくり休むぞ!
※六三郎の希望は叶いません
翌日
皆さんおはようございます。今日、甲斐国へ出立する挨拶をする為に、大広間に来ております柴田六三郎です
予定としては、挨拶したら直ぐに出立!のつもりだったのですが、現在、そんな予定がダメになる事が確定な状況となっております。その理由として
「六三郎!丁度良いところに来た!のう、半介」
「誠でございます。六三郎殿、少しばかり頼みたい事があるのじゃが」
「柴田様!お初にお目にかかります!佐久間摂津守の三男、新十郎にございます!」
「佐久間摂津守の嫡男の甚九郎じゃ」
「これ!甚九郎!その様な挨拶があるか!!六三郎殿、愚息が済まぬ」
何やら佐久間家の皆さんが集まっておりました。これは、親父と違って人生経験の少ない俺でも分かります
絶対に面倒くさい案件です。それでも、勝手に出立するわけにはいかないので、話を聞きましょう
「佐久間様。気にしておりませんので。それで大殿、そして殿。何故、佐久間様がご子息の方々と共に居られるのですか?」
俺の質問に大殿から答えるが
「うむ。実はな、半介から隠居の申し出があったのじゃ。普通に考えたら、嫡男の甚九郎にそのまま家督相続させたら良い。だが、六三郎も知ってのとおり、
甚九郎は毛利との戦に出陣しなかった。それは、織田家の家臣として、あるまじき行為じゃ!本来ならば、佐久間家は改易されてもおかしくない程じゃ!」
かなり、怒り心頭な様子です。こんな時は静かに過ごしたいのに、甚九郎とやらは
「お言葉ですが大殿!拙者は命令があれば、直ぐにでも出陣しました!ですが、出陣命令も無ければ、
いつの間にやら戦が終わり、父上が大怪我を負っていて、家督相続の話になっていたのです!」
空気の読めない発言をしております。更には
「拙者も、この柴田六三郎殿と同じ一万以上の軍勢を与えてくだされば、柴田六三郎殿以上の武功を挙げました!」
俺と同じ軍勢を与えてくれたら、俺以上の武功を挙げている。と、大殿と殿、両方が嫌う言葉を口にしております。これを聞いた大殿は
「甚九郎!!貴様、言うに事欠いて、その様な世迷言をぬかすとは!良いか!!六三郎の与力として参戦した尼子家と黒田家は、
「六三郎が大将だから参戦した!」と言っておったのじゃぞ!尼子家と黒田家、共に手の者を使い情報収集をしておったそうじゃ!そこで六三郎の事を知り、
武功を挙げる絶好の機会だと判断したからこそ、六三郎の元に集まったのじゃ!
つまり、六三郎という見た事すら無い、名前しか知らない若造を信頼したからこそ、尼子家と黒田家は参戦したのじゃ!お主でそれが出来たか!?答えよ!」
おおう。めっちゃブチギレです。ですが、殿がフォローに入って、
「父上。そこからは拙者が話しますので、落ち着いてくだされ。さて、甚九郎よ。お主の「出陣命令があれば武功を挙げていた」という言葉に関しては、次の戦の機会に実行してもらうとするが、
先の毛利との戦において、援軍の大将を務めるに値しないと、儂が判断した結果じゃ。それは、お主のこれまでの出陣回数と挙げた武功の数を鑑みたからじゃ
そして、お主の父の佐久間摂津が隠居の申し出をした時、お主の武将としての器量と才覚を確認したが、
佐久間摂津は、甚九郎よりも新十郎に武将としての才覚を感じるから、そのまま甚九郎に家督を譲っても良いのかと本音を漏らしておった
だからこそ、儂と父上は、お主と新十郎を呼び寄せたのじゃ!先程、父上が仰っていたが甚九郎よ、お主に出陣命令を出さなかったのは、お主のこれまでの行動の結果である
だが、父の佐久間摂津のこれまでの働きがあるからこそ、領地を召し上げず、微増させた。だが、お主が家督相続した場合、見るのはお主の働きじゃ!
つまり、お主が出陣もしない、内政で銭を増やす事もしないのであれは、佐久間家は領地を減らされて、最終的に、
改易されて何処かの家で陪臣として仕えながら再起を図るか、織田家から放逐されるかのどちらかじゃ!
佐久間摂津は、その可能性を分かっているからこそ、新十郎に家督相続させた方が良いかもしれぬとの事で、儂と父上に話を持って来たのじゃ!それすら分からぬか?」
遠回しに「お前次第では佐久間家が改易されるかもしれないから、お前の親父は家督相続を相談しに来たんだよ」と伝える。その後
「しかしじゃ、当分は戦は無い。だからこそ、儂の弟達が争った内政で決着をつけよ!」
三介様と三七様が戦った、内政での勝負で佐久間家の家督相続の決着をつけろ!と発表する。その発表に佐久間様が
「大殿、殿。これより先は父である拙者から言わせてくだされ。甚九郎と新十郎よ、お主達が争う内政じゃが、甚九郎は領地である摂津国で三千貫の儲けを、
新十郎は六三郎殿と共に、甲斐国の復興にあたり、先に達成した者に佐久間摂津家の家督を相続させる
これが大殿と殿を交えて話し合い、出た結論じゃ。この内容に異論は無いな?」
対決内容を伝えると、甚九郎は
「父上、その様な簡単な争いでよろしいのですか?だとしたら、拙者の勝ちの可能性か圧倒的に高いですな」
と、早くも勝利宣言をする。あれ、この光景、何処かで見た事あるな。デジャヴか?
俺がそんな事を考えていると、新十郎くんは
「家督の事はとりあえず置いておきまして、戦でも内政でも、織田家中において知らぬ者が居ない程の働きを見せております柴田様とお役目にあたれる事、
とても嬉しく、そして誇りに思います!柴田様、よろしくお願いします!」
めっちゃ腰低いし、俺と働く事を嬉しいと言ってくれる。これは頑張らないといけないよなあ
佐久間家が改易されたら、繰り上がりで柴田家が家臣の中で一番仕事を割り振られそうだし。ただ、内政勝負の役目は俺じゃなきゃダメですか?