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文の内容に3人の反応は

天正十五年(1587年)六月二十二日

甲斐国 躑躅ヶ崎館


「よし!書き終えた!それでは、これを安土城へ急いで届けてくれ!」


「ははっ!」


皆さんおはようございます。甲斐国での土木作業前に、殿達へ雪の事を含めた色々な事を書いた文を書き終えて、早馬で出発させました柴田六三郎です


内容としては、基本的には雪と五郎さんの事ですが、甲斐国の復興の為の提案改善も提案しておりますので、どの様な反応をするか、楽しみと心配が半々なのですが、とりあえず土木作業を進めましょう


天正十五年(1587年)七月十五日

近江国 安土城


「殿!甲斐国の柴田様からの文でございます!」


「ほう!六三郎からとは、甲斐国で何かしら動きがあった様じゃな!父上と松も呼んで来てくれ!」


「ははっ!」


六三郎の文は家臣がかなり頑張ったのか、1ヶ月もかからずに安土城へ届けられた。文を受け取った信忠は松姫と信長に大広間へ来てもらうと


「勘九郎様!六三郎殿は、甲斐国の復興のついででも良いので、雪に良き殿方を見つけてくれましたか?」


「勘九郎!六三郎は甲斐国の復興をどれくらい進めておる!?」


2人共、知りたい目的は違えど、信忠に文の内容を聞いてくる。そんな2人に信忠は


「父上、今から読みます。松も慌てないでくれ」


と、宥めてから読み出す


「では。「殿、松姫様、そして大殿。文を受け取った時点で大体、文の内容を推測していただけると思いますが、先ず最初に、


甲斐国の復興の進捗状況の報告ですが、拙者が毛利征伐に出陣していた約一年の間に、武田家で岩の板を作り、


甲斐国から見て信濃国と西の方の境の川に設置したそうです。そこでは、信濃国とも繋がっている川の水を引き入れて、水の流れを早くした事もありまして、


米の収穫量も増えたそうです。元々の収穫量が少なかった可能性もありますが、その話を聞いて拙者は、甲斐国を東側へ進みながら復興を進めようと思いまして、


甲斐国の中央から見て西北西の位置にあたる場所の川の土木作業を、三河国で実施した方法で行なったところ、


領民から「山崩れが起きて、家が潰れてしまう可能性があるので、その方法はやめてくれないか」との訴えが来ました


そこで、今一度、甲斐国の標高を含めた国土の色々な部分を調べましたところ、中央が窪んでおり、そこは水の流れが悪い事もあり泥かぶれに罹る領民が特に多い地域だと分かりました


そこで、泥かぶれに罹る領民を一人でも多く減らす為に、中央を含めた水の流れが悪い地域を埋め立てる事は勿論ですが、数年は様子見をしないといけませぬ


そこで、虎次郎殿にも伝えている事として、良くて数年は甲斐国では米以外の物、それこそ麦や果物も年貢として見る事を提案したく存じます


若造が何を言うかと思うかもしれませんが、甲斐国は周辺を山に囲まれておりますので、水に関してはどうにかして、甲斐国の東西南北全てに行き渡る様にしないと、


人が生きていくのも、やっとな土地です。これから更に色々と調べて、虎次郎様に提案した後に、虎次郎様が安土城へ向かい、殿達にお頼みすると思います


その時の為に、事前報告とさせていただきます。そして、甲斐国で米以外の農作物として、麦や果物の種が欲しいので、父上にお伝えしていただきたく


父上が新たな領地に移動してなければ、越前国へ居るでしょうし、居なければ仮の本拠地と決めた伯耆国に居るはずですので、ご迷惑でなければ、お願いします」と、


甲斐国の復興の進捗状況に関しては、ここ迄しか書いてありませぬ。父上、納得しておりますかな?」


読み終えた信忠は、信長に質問すると


「納得は出来た。が、それ程の状況ならは、六三郎に一度、細かく聞く必要がある!そうじゃなあ、甲斐国で、米を収穫出来る地域と、


出来ない地域を大まかに分けて、そこから更に地域毎の状況も報告してもらおう!麦や果物の種を買う銭は織田家からの支援として、安い利子を付けて返してもらうとしよう」


そう答えて、信忠も


「分かりました。それでは、堺で麦や果物を買わせて、それを甲斐国へ届けさせましょう」


と、決断した。そんな中で松姫は


「勘九郎様、雪の事は書いてないのでしょうか?」


雪の事を気にかけていた。信忠は、


「もう一枚ある。恐らく、この中じゃろう」


と、言いながら読み出す


「どれ。「書く場所か無くなったので、二枚目になりますが雪の事についてです。雪が拙者に、「良き殿方を紹介して欲しい」と頼んで来ましたので、


雪の希望する唯一の条件である、「自身を出世や栄達の道具としてではなく、一人の女子として見てくださる殿方」ですが、思ったよりも近くに居ました


その殿方は、松姫様の兄である仁科五郎様です。仁科様ならば、畿内の政に関わる事も無いですし、何より雪が躑躅ヶ崎館に到着した日に話している際、


仁科様は。顔を真っ赤にしながらも笑顔で接していたので、悪い印象は持っていないはずでしょう


ですが、無理矢理夫婦にするのは良くないと思ったので、拙者としては、皆様のお許しが得られたら、仁科様の為人を知ってもらう為、雪に仁科様の身の回りの世話をしてもらいながら、


当面の間、躑躅ヶ崎館で働いてもらい、土木作業以外で、甲斐国の復興に一役かってもらいたい。と、思っております。


雪は美濃屋と神戸家で共に働いた戦友ですので、幸せにしてくれる殿方に嫁入りして欲しいと思っております。なので、ご了承をお願いします。


ちなみに、武田家の長老である典厩様も、雪が仁科様の嫁になる事に賛成しております」と書いておるな


松、六三郎は、まさかの五郎殿を雪の嫁入り候補に推挙したぞ。お主としてはどうじゃ?」


文を読み終えた信忠は、松に質問すると、松は


「五郎兄上ならば、私も賛成です。優しい兄上ですし、最初の正室は数年前に亡くなっておりますから、雪が継室になる事も、問題はありません」


雪が五郎に嫁入りする事に反対しなかったが、


「ただ、ひとつ懸念点があるとしたら、五郎兄上の娘達です」


五郎の娘達が懸念点だと伝える。それを信忠と信長は


「「何故、娘達が懸念点なのじゃ?」」


同じタイミングで聞いてくる。松は


「五郎兄上の娘は四人居ますが、誰一人として嫁いでないのです。それを考えると、父である五郎兄上が先に新しい嫁をもらう事に反発する可能性が」


娘達が独身だから、反発するかもしれないと話す。それを聞いた信長は


「松、五郎の娘達は上から何歳なのか、知っておるか?」


五郎の娘の人数と年齢を聞くと、松は


「確か、上から十五歳、十三歳、十一歳、九歳です」


と答えて、答えを聞いた信長は


「六三郎の赤備え達の中で独り身の者の嫁にしてしまえば、どうにかなりそうじゃな。勘九郎と松。これはお主達が連名で六三郎と典厩に文を書け。さすれば、


六三郎も、五郎の娘達の事、赤備え達の事、両方を儂達が気にかけている事が分かるじゃろう」


「「ははっ!」」


「それでは、急いで書いてくれ。五郎はなんだかんだで、武田家を支える柱じゃ!不安定になる要素はひとつでも排除せねばなるまい!


これで五郎に雪が嫁入りして、男児が生まれたのであれば、更に役目に邁進するじゃろうからな!」


こうして六三郎に。甲斐国の復興支援に続いて、雪の嫁入りと、五郎の娘達と赤備えの独り者を夫婦にさせる無茶振りが決定した。

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― 新着の感想 ―
仁科さんちの長女は真田信繁と5歳違い、四女9歳は柴田さんちの京六郎君満8歳(数え9歳)とちょうどいいのではと思った。
赤備えが…よりも(一部)赤備えにいる真田さん家の次男以降の争奪戦になるかも? (信幸兄ちゃんは史実通りなら伯父の娘を娶っているはずなので?)
赤備えの嫁にするとしたら、流石に次女より下の娘は六三郎からストップかかりそうではあるw しかし、こういう時の根回しと依頼の仕方は本当に慣れたものですなぁ。
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