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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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新たな家臣達の生還

元亀三年(1572年)十月二十日

美濃国 柴田家屋敷内にて


おはようございます。目の前の大人数が壮観なので驚いている柴田吉六郎です


「吉六郎様!我等全員、岐阜城より戻って参りました!本日よりお仕えさせていただきます」


「うむ。よろしく頼むぞ!森様の軍勢の全てと佐久間様の軍勢の半分が居るとはいえ、武田が再び攻めてきた場合、先の戦の様に行かぬどころか、被害が大きくなるだろうから、源太郎達が戻って来た事、誠に嬉しい」


「有り難きお言葉にございます!」


「まあ、こちらから攻める事は現状無いから皆は物足りないかもしれぬが、戦になるまでは領地を再び堅牢にする事と、領民達の畑の修復をしながら武芸の鍛錬をしてくれ」


「「ははっ」」


「ただし、源次郎!」


「は、はい」


「お主は今言った事に加えて、利兵衛から戦における大将の細かい事を教えてもらえ」


「な、何故拙者だけなのでしょうか?」


「お主は兄の源太郎の様にいずれ軍勢を率いる立場になる可能性が高い。だが今のままでは家臣の言葉を聞かずに無策で敵陣に突っ込んで多くの家臣を討ち死にさせてしまうどころか、お主自身も討ち死にしてしまうぞ?」


「そ、その様な事は」


「無い!と言い切れるのか?」


源次郎が言葉に詰まる。正直俺も言い過ぎた感があると思ったので空気を変えよう


「まあ、少しずつ知っていけば良い。それよりも此度は皆が岐阜城から戻って来た事と新たに家臣として仕えて儂を支えてくれる事への褒美として、これを貰ってくれ!利兵衛、襖を開けよ!」


「ははっ」


俺に言われて利兵衛が襖を開けると


「こ、これは」


源太郎達がざわめく。それもそのはず


「そうじゃ!お主達二百人全員分の「赤」で統一した甲冑じゃ」


「ま、誠に良いのですか?我々は未だ武功を挙げてないのですぞ?」


「武功なら源太郎。既にお主が四つも挙げているではないか。思い浮かばない様なら説明しよう。一つ、岩村城内で武田の者達にお父上の事を愚弄されても皆の事を思い耐えた事、二つ、こちらへ戻る時に武田を混乱させた事、三つ、源次郎達を説得した事、四つ、殿や父上を前にしても全てを話し、生きて岐阜城から戻って来た事。源太郎、これがお主が挙げた四つの武功じゃ」


「それらを武功として取り上げてくださるのですか?」


「戦も知らないどころか元服も未だの童の甘い考えかもしれぬが、生きておればやり直しの機会などいくらでも来る。そして儂の考えじゃが、「大将の武功は兵の武功」ではあるが、「兵の咎は大将の責」と思っておる。此度は源太郎が四つ武功を挙げた。だから、皆の武功でもある。そして首を取らずとも武功は挙げられると思っておる。だからこそ、皆に赤で統一した甲冑を渡すのじゃ」


俺が此処まで言うと、源太郎さんと源次郎さんは泣いていた


「父上の「赤備え」を奪われて以降、二度と手にする事は無いと思っていたのに」


「兄上。これも全て兄上が挙げた武功の賜物。きっと父上も喜んでくださりましょう」


かなりしんみりして来たな。聞きたかった事を聞いて、皆に周知させておこう


「さて改めてじゃが、皆。柴田家の「赤備え」を率いる大将は飯富源太郎で良いか?皆の意見を聞きたい。異論はあるか?」


「有りませぬ」


「飯富源太郎殿が適任でございます」


「異議なし」


他の皆も同じ様に「大将は源太郎さんが良い」と言っているので、決定ですね


「源太郎。皆が「赤備え」の大将はお主以外居ない。と言っておる。率いる覚悟は有るか?」


「勿論でございます。「赤備え」を率いる大役、務めさせてもらいます」


覚悟の目をしている。これなら大丈夫だろう。でも、釘は刺しておこうか


「うむ。その覚悟、誠に嬉しいぞ!だがな、まだ武田の「赤備え」が存在している以上、我々の「赤備え」は武田の真似事と馬鹿にされるだろう。来たる武田との大戦の時まで耐えられるか?」


「当然でございます!我々の「赤備え」が真の「赤備え」である事を示す為ならば、それくらいの事は些事にございます」


「それ程強い気持ちが有るなら、確かに些事であるな。儂の予想ではあるが武田とは四年以内にぶつかるだろう。その時まで鍛錬を怠るでないぞ」


「「「「「ははっっっっっ」」」」」


こうして俺の新たな家臣達との顔合わせと甲冑の贈呈式は終わった


同日夜

屋敷内 吉六郎私室にて


「若様。源太郎と源次郎の兄弟が何やら申し出がある様で」


「何事かのう?呼んでくれ」


何やら飯富兄弟からのリクエストがある様なので、来てもらおうじゃないですか


「「吉六郎様、いきなりの申し出に対応していただき、ありがたき」」


「とりあえず何事じゃ?儂に対応出来るなら、内々に済ませてしまおうと思うが。先ずは、どの様な申し出じゃ?」


「はは。我等兄弟、武田と決別し柴田家に忠誠を誓う事を示したいので名を変えたいと思っており、吉六郎様か大殿の一字を賜りたく」


おいおい。俺は元服前だから一字もへったくれもないぞ?そもそも柴田家の通字って、「勝」なのか「家」なのかも俺は分からないんだが?今年家臣になった利兵衛も知らないし、これはまた親父に書状を書くしかないか


「源太郎、源次郎。その気持ち、誠に嬉しいが、儂は未だ元服もしておらぬから名前に関しては父上へ書状を出してから色々聞かないと何も出来ぬ。しばし待ってくれるか?」


「「お待ちしておりまする」」


これで何度目の親父への丸投げだろうか?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 感動して涙がちょっとでました。 感動させようとする文章を読むと逆に醒めるんですが あなたの文章は自然と心が震えて涙が出ました。 [一言] これからも楽しく読まさせていただきます。 できた…
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